介護者の4人に1人!介護うつにならないための4つの約束

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
介護うつ

介護というのはとても大変なものです。介護される側にも苦しみがありますが、介護をする人間にとっても非常に負担が大きいのも事実です。4人に1人が介護うつを患っているという現状を鑑みる必要があります。

今回は「介護うつ」についてみていきましょう。

1.介護うつとは?

介護うつとは?介護うつとは、その名前の通り、介護をしている人(以下「介護者」)がうつ病になってしまうことです。

介護うつというと、介護をしている最中だけでなく、介護が終わった後に介護うつになるケースもあります。ただ、一般的には「介護うつ」という言葉は前者を指すことが多いので、今回はこちらを主に取り上げていきます。

2.介護うつの原因とは

介護うつの原因はさまざまです。一つとしては、自分自身の健康状態がすぐれないのに介護をしなければならない、といった肉体的なもの。介護をするために仕事を辞めたり貯金を切り崩したりといった経済的なものがのしかかってくることが原因になることもあります。また、多くの人がイメージしやすい、精神的な負担によるものもあります。

2-1.介護によるストレス

同居介護者のストレス有無グラフ
参考:厚生労働省 平成22年国民生活基礎調査の概況「同居の主な介護者の悩みやストレスの有無」

厚生労働省の調査によれば、「介護に関してストレスがある」と答えた人の割合は60%を超えています。特に、「家族(介護される側のこと。以下「被介護者」)の介護や病気がストレスになっている」と答えている人の割合は7割近くに上ります。続いて、「自分の病気や介護」が3割ほど、3位には「家族との人間関係」が続きますが、3位の場合は、女性と男性では10%程度の開きがあります。

2-2.責任感による無理

責任感介護者はしばしば、「責任感」によって無理をします。特に、前時代的な考えをしている環境に身を置いている場合、「施設やプロの手を借りるのは無責任だ」というプレッシャーがあることも。このプレッシャーは、必ずしも外部からかけられるものではありません。介護者本人が自分自身に対してそう思い込んでおり、その結果として、「人の手を借りない介護」をしてしまい、追い詰められることがよくあります。

2-3.孤独/相談相手がいない

孤独介護をするために仕事を辞めたり、趣味をセーブしたりする人は非常に多いと言えます。「自分の本来したいことをやめなければいけなかった」というのはそれだけでも大きなストレスとなります。

これに加えて、社会生活から身を遠ざけることによって、相談相手がいないという「孤独感」が介護者にとって大きな負担になります。また、たとえ相談相手がいたとしても、「暗い話をしていたら相手に悪いのではないだろうか」という気持ちにさいなまれ、自分自身の悩みを打ち明けられなくなることもあります。

3.介護うつになりやすい人

介護うつになりやすい人上でも触れましたが、介護うつになりやすい人には、いくつかの特徴があります。

  • 責任感が強く、自責心も強い
  •  真面目な気質である
  •  周囲に相談せずに、自分自身で解決しようとする

これらは、介護うつに限らず、一般的なうつ病になりやすい人にも共通している特徴です。

この特徴に合致している人は、「自分が介護うつになるかもしれない/なっているかもしれない」と考えておくことも重要です。

4.介護うつに見られる症状

介護うつの症状介護うつもうつ病の一つですから、その症状は、ほかのうつ病のときとそれほど大きくは変わりません。虚無的な感覚やマイナスの感情にとらわれたり、今まで楽しくできていたことができなくなったり、強い自責心を抱いてしまったりするなどです。

4-1.億劫(おっくう)感

億劫最初に言っておきたいのですが、「億劫感」というのは、うつ病に至っていないときでもありうることです。365日続く介護を、愉快な気持ちだけでやっていける人はいないでしょう。「億劫だ」と感じられることがあるのは当然のことです。

しかし介護うつの場合、この億劫な気持ちが長く続き、今まできちんとできていたことが実際にできなくなることもあります。

4-2.憂うつ感

憂うつうつ病の症状として、もっとも想起しやすいのがこの症状でしょう。何をしても気分が沈んでおり、心が晴れません。

ただ、「うつ病」であることと「嫌なことをやりたくない」ということには、大きな違いがあります。うつ病にかかっているときは、今までなら楽しくできた趣味などをやっても心が晴れない、という特徴があるのです。

4-3.不安や焦燥(しょうそう)感

言いようのない不安や焦燥感にかられるのも、うつ病の特徴です。「介護をしているのだから不安があって当然」と見る向きもあるでしょう。しかしこの「不安」は、「現状、そして未来においても、特に問題がない」という状態であっても起こり得ます。

不安というのはそもそも、「何かよくわからないけど、心が落ち着かない」という状態を指します。「経済的な問題がある」などのように明確な懸念材料がなくても、「なんとなくそわそわする」などのような感情に支配されることもあります。

5.介護うつにならないためには? 4つの予防方法

介護うつは悪化すると、介護者の死をも招きかねません。そのため、自分が介護をする立場になった場合は、「自分もなるかもしれない」といった心構えを持ち、予防していくことが大切です。

5-1.自分が感じているストレスに気づく

気づきまず重要なのは、「自分は今ストレスがかかっているのだ」と自覚することです。がんばり屋さんの人などだと、「もっとつらい人もいる」と自分のストレスを軽視しがちです。そのため、まずは、「自分はいま疲れている、ストレスを受けているのだ」と自覚するところから始めましょう。

5-2.ストレスを減らす

ストレスを減らすその次に重要なのが、「ストレスを減らす」ということです。うつ病は、休養などでストレスを受ける要因から意識的に離れることが大切です。

例えば、専門家に頼ること、専門施設に被介護者を預けることが挙げられます。これらを活用して、介護者が休養をとることは、決して責められるようなことではありません。むしろ、専門家の適切な介護をうけたり、グループワークをしたりすることは、被介護者にとってもプラスの効果をおよぼします。

リフレッシュのためにどこかへ旅行をしたり、ショッピングをしたりという時間を設けましょう。

5-3.相談をする

相談する相談をすることは、介護うつを軽減するために必要不可欠なことです。「周りの人には話しづらい」ということであれば、市町村の窓口や国の機関を使いましょう。現在の介護の状況はどうなのか、自分が困っていることは何なのか……。それをすべて話してしまいましょう。

専門家は介護者を否定しません。「相談するなんて薄情な人だ」「自分でどうにかできないのか」などとは思いません。

5-4.情報を得る

情報を得る知識というのは、困難に立ち向かう武器になります。介護にはどのようなサービスがあり、どのような補助金があり、どのように助けてもらえるのかを調べるようにしましょう。「介護を外注するのは高いから」と二の足を踏んでいた人が、調べてみたら、サービスの安さにびっくりした、というケースはよくあります。特に、経済的な問題がストレス源になっている人にはおすすめです。

また、介護うつについての情報を集めることも有効です。「介護」の情報と「メンタルヘルス」の情報、2つを並行して得るのが望ましいでしょう。

6.介護うつの治療

介護のストレスの原因グラフ
参考:生活向上WEB 「どんなことにストレスを感じますか」

介護に関するストレスのなかでもっとも大きいのは、「先が見えないこと」であり、全体の29%近くの介護者がこれをあげています。「心身の疲労」よりも、出口のない、終わりの見えない介護に人は疲れてしまいます。そのため、施設への入居などを考えることは、決して悪いことではありません。

しかし、それでも、「預けることを考えたら家でみる方が精神的に楽」「経済的に難しい」などのような事情もあるでしょう。

その場合、「介護うつをどのように治療していくか」が大切になってきます。

6-1.薬による治療

薬による治療うつ病は、幸福物質とも言われるセロトニンの伝達がうまくいかないことが原因の一つです。

そのため、セロトニンの量を調整するSSRIなどが処方されます。それ以外にも、SNRIやNaSSAなどの薬が用いられます。

しばしば、「うつ病の薬を飲むとくせになる」「一生飲み続けなければならない」「依存する」という意見を見かけますが、うつ病の薬には依存性は認められていません。分量などを自分で調整することは禁忌です。医師の指示に従いましょう。

6-2.休養

休養介護うつに限らず、一般的なうつ病の治療としても使われるのが、「休養」です。介護をいったん自分の生活から切り離し、ゆったりと過ごしましょう。

もっとも、被介護者が要介護5の場合、「ほとんど終日介護をしている」と答える介護者が半数を超えます。このような場合、すべての介護を他に委任する、というのは難しいかもしれません。

ただ、「自分の時間が持てないことがストレスになっている」と答えている人は12%もいる、ということを考えれば、「1日に2時間でも3時間でも、介護から完全に解放される時間」を設けることは重要だと思われます。

同居の他の家族に任せるなどして、私的な時間を確保するようにしましょう。

6-3.精神療法

精神療法うつ病になると、物事を悲観的にとらえたり、否定的にとらえたりするようになります。これは病がこのような思考回路で考えさせているのですが、こういった状態に陥ってしまうと、周囲の言葉はなかなか耳に入らなくなることもあります。

しかし、専門家である医師が「治療」という形で向き合うことによって、状況が大きく改善することもあります。

精神療法として代表的なものは、支持的精神療法、認知療法、対人関係療法があります。

6-3-1.支持的精神療法

本人が抱える悩みについて話してもらい、医師が共感することによって安心を感じ、症状などを和らげる治療法です。うつ病に関して詳しく説明をすることで、理解を深めるといったこともこれに含まれます。

6-3-2.認知(行動)療法

物事の考え方・とらえ方を変えていくアプローチです。うつ病の人は悲観的・マイナスに考えがちなので、悪く考える必要はない、ということに気づかせるような技法が用いられます。

6-3-3.対人関係療法

「重要な他者(自分の情緒に大きな影響を与える相手)」との「現在の」関係性に焦点を当てることで行う治療方法です。

7.まとめ

介護というのは、被介護者だけの問題ではありません。介護者にも大きな負担としてのしかかってきます。そのため、介護うつなどを患う人の数は非常に多く、4人に1人の割合です。

介護うつを予防するためには、自分自身にかかっているストレスを自覚したり、相談をしたり、情報を得たりすることが重要です。また、既に介護うつを患っている場合は、薬や休養、精神療法による治療の必要性が出てくるでしょう。

介護を外注することは、決して悪いことではありません。介護をしている人が、うまくできない自分を責める必要はありません。自分の時間を確保したり、休養をとったりすることは、非難されることではありません。

介護者が介護うつに押しつぶされないようにするために、周囲の理解も必要でしょう。

参考:
http://www.astellas.com/jp/health/healthcare/depression/basicinformation07.html
http://www.cocoro-h.jp/untreated/recover/medication.html
http://www.seikatsu-kojo.jp/research/vol8.php
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa10/4-4.html

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*