徹底調査!アルミが原因でアルツハイマーになる危険性はあるのか?

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アルミ鍋

「アルミニウムの影響でアルツハイマー型認知症になってしまう」。そんな説を聞いたことはありますか? 一時期、「アルミニウム鍋を使っていると認知症になる」といった噂まで広まりました。アルミニウムは、鍋だけでなくその他の日常用品にもよく使われているありふれた素材ですが、本当に認知症の原因となってしまうことがあるのでしょうか?

1.「アルミニウムでアルツハイマー」は否定派が多い

1-1.「アルツハイマーの原因になるかどうか」よくわかっていない

結論としては「よくわかっていません」。アルミニウムとアルツハイマーとの関連性を訴える説に対し、明確に否定するような根拠がないためです。

1-2.公的機関は「アルミニウム原因説」否定派が大多数を占める

ただし、「アルミニウムによる影響でアルツハイマーになる」という考えを支持する説は非常に少なく、特に公的機関ではこの考えに否定的な発表が多く見られます。

2.「アルミニウム原因説」とは?

そもそもなぜアルツハイマーの「アルミニウム原因説」が出てきたのでしょうか?

2-1.地下水のアルミニウムイオン濃度が高い地域に認知症

地下水にアルミニウムアルミニウムイオン濃度が高い地下水を常飲していたと考えられる地域で、認知症患者が多いとされていました。

第二次世界大戦後に米軍がグアム島を統治した際に、島民の老人たちに認知症の割合が高いことが認められ、地下水を検査すると高濃度のアルミニウムイオンが確認されました。

また、日本の紀伊半島でアルツハイマー患者が非常に多い地域がありました。こちらも同様に地下水のアルミニウムイオンが高濃度であったことが確認されています。

いずれの場合も、他所からの給水や上水道の完備を進めることにより(アルミニウムイオン濃度の低い水を飲むようになったことで)、認知症患者の割合が減ったことから、アルミニウムがアルツハイマーの原因である、とする説がうまれました。

ただし、飲用の水のアルミニウムイオン濃度とアルツハイマーの発症に関連性が見られないという研究報告もあります。近年ではアルミニウムとアルツハイマーの関連性について否定的な説が多く見られる傾向があるようです。

2-2.アルツハイマー患者の脳からアルミニウム検出

脳にアルミニウムカナダのある学者の研究によると、アルツハイマー患者の脳から健常者の数十倍ものアルミニウムが検出されたそうです。この研究結果も「アルミニウム原因説」の一つの根拠という見方をされています。

2-3.「アルミニウム原因説」に対する日本での反応

上記のカナダの研究結果の例について、1996年に毎日新聞が報道したところ、大きな反響を呼ぶ結果になり、他の新聞社も追随した記事を掲載しました。このときから「アルミニウム原因説」が世間で注目を浴び、いまでもこの説を支持する層がいます。

アルミニウムに関する新聞報道これにより、「アルミ鍋」などのアルミ製品への拒絶が始まり、「アルミ鍋を使うと認知症になる」という噂が一気に広がりを見せました。

3.実際、アルミニウムは「毒」なのか?

では、私たちの身の回りにあふれているアルミニウムですが、実際にアルツハイマーの原因になったり、人体に悪影響を与えたり、ということはあるのでしょうか?

3-1.アルミニウムの毒性

毒性の薬物動物実験では、ラットに対しアルミニウムを多量に投与した際に、腎臓や膀胱への影響が見られました。その他にも握力の低下も認められています。

人体において同様の影響は明確には確認されておらず、アルツハイマーの原因となっているかの具体的な根拠もいまのところありません。

3-2.アルミニウムの摂取に関する許容摂取量について

国際機関であるJECFA(FAO/WHO Joint Expert Committee on Foood Additives;FAO/WHO 合同食品添加物専門家委員会)が定めるアルミニウムの許容摂取量は、体重1kgあたり1週間に2mg、体重50kgの人であれば1週間に100mg(約14mg/日)です。

これは決して「これ以上摂取してはいけない」という基準ではなく、「これだけ摂取し続けても、一生涯健康に悪影響はない」というものなので、かなり低い水準で見積もりされています。そのため、実際にはこの許容摂取量を大きく超えるような量を摂取しても、短期的なものであれば特に問題ないだろうと考えられています。

3-3.一般的な生活で摂取するアルミニウムの量

一般的な食事WHOの報告によると、アルミニウムの1日あたりの摂取量は2.5~13mgとのことです。地域差や食生活に大きく左右されます。

調理器具や保存容器などすべてアルミニウム製品を使ったとしても、容器由来のアルミニウム摂取量は最大で6mg/日程度なので、JECFAの許容摂取量内か、わずかに超えるくらいにおさまるといえるでしょう。

3-4.摂取したアルミニウムはどうなる?

ちなみに食べ物などから摂取したアルミニウムはどのようになるのでしょうか?

約99%は体内に吸収などされることなく、そのまま体外に排出されます。また、残りの1%もほぼすべてが腎臓を通り、尿として排泄されるので体内にはほとんど残りません。

3-5.身近な食材のアルミニウム含有量

実施に普段口にする食材のアルミニウム含有量は以下の通りです。

食材 アルミニウム含有量
玄米 0.12mg
菜っ葉類 0.12mg
根菜類 0.26mg
肉類 0.18mg
0.2mg
貝類 3.8mg
海藻 8.5mg

※食材100mgあたり

種類や部位によっても若干の変動はあるため、あくまで目安と考えていただきたいのですが、海藻や貝類に多く含まれていることがわかります。

食品添加物また、ミョウバンなどの膨張剤や、色止め剤、着色料といった食品添加物の一部にアルミニウムを多く含むものがあります。これらは、現状では使用基準はないものの、各食品メーカーなどに使用量の自主的な低減化などを厚生労働省が求めています。

4.まとめ

影響の可能性が0%ではないため、科学では「絶対にない」とすることはなかなかできません。どうしても気になるならアルミニウム製品を使わず、アルミニウムが含まれる食材を食べないという生活を心がけることです。

参考:
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail970.html
http://www.omicsonline.org/2161-0460/2161-0460-3-118.php?aid=16579
http://www.rouninken.jp/member/pdf/16_pdf/vol.16_07-19-02.pdf
http://www.niph.go.jp/journal/data/42-4/199342040005.pdf
http://www.aluminum.or.jp/aluminum-hc/p_3/index.html
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/aluminium/

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