アルツハイマー型認知症を予防するための3つの知識

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
アルツハイマーの予防

4人に1人が65歳以上という高齢社会を迎えている日本で、認知症はとても難しい問題の一つです。そのなかで、アルツハイマー型認知症は、遺伝子レベルでの研究が進められているものの、治療法がまだ判明せず、発症する前に予防することが非常に重要だと言われています。今回はこのアルツハイマー型認知症について、予防という観点から、絶対に知っておきたい3つの知識を紹介します。

1.そもそもアルツハイマー型認知症って何?

過去から現在にしたがって、認知症の患者数は増え続けています。「昔に比べて平均寿命が延びたのだから、その分認知症患者が増えるのは当たり前だ」と思う人がいるかもしれません。しかしこの増加は、決して絶対数だけの変化ではありません。実は、「65歳以上の人口が占める認知症の割合」自体が増え続けており、単純な数の増加だけの問題ではないのです。1955年には6.9%にすぎなかった割合が、いまでは8.4%に上っています。

認知症にはさまざまな種類があります。そのなかでも、アルツハイマー型認知症はその比率がもっとも大きく、全体の約半数にもなると言われています。

1-1.アルツハイマー型認知症の症状

アルツハイマー型認知症は、その進行度によって症状が違います。進行度別に見ていきましょう。

1-1-1.軽度

アルツハイマー型認知症の初期段階です。この段階では、

  • 現在の日時が答えられなくなる
  • 買い物のときに、支払いがうまくいかなくなる。また、本来ならば不要であるものを買ってしまう
  • 同じ質問を何度も繰り返してしまう
  • 物をなくしやすい
  • 感情や性格に変化が起こる
  • 今まで時間をかけずにできていたことなのに、時間がかかるようになる

などの特徴が見られます。アルツハイマー型認知症は徐々に進んでいく上に、上記であげた症状は、アルツハイマー型認知症を患っていない人でも見られるものです。そのため、周りや本人も、症状の変化に気づきにくいというリスクがあります。

1-1-2.中度

軽度より症状が進んでいる状態です。この段階では、

  • 迷子になりやすくなる
  • 記憶障害を起こす
  • よく知っている相手なのに、誰だかわからなくなる
  • その場にそぐわない行動(大声をあげるなど)をとってしまう
  • 徘徊を繰り返す
  • 新しいことを記憶できなくなる

などの特徴が見られます。迷子になるという症状は、軽度の段階でも見られますが、中度の段階になると頻度が増加します。論理的な処理ができなくなるのが特徴です。

1-1-3.重度

重度になると、今までのような問題行動も起きにくくなり、寝たきりに近い状態へと変化していきます。この段階では、

  • コミュニケーションがとれなくなる
  • 体重が極端に減る
  • 食事をうまく飲み込めなくなる
  • 寝ている時間が多くなる
  • 排泄に障害を抱える

などの特徴が見られます。中度の段階で起きる、相手が誰だかわからなくなるという症状は、重度の段階でかなりひどくなります。

1-2.アルツハイマー型認知症の原因

このような症状が出るアルツハイマー型認知症の原因は、いったいどのようなものなのでしょうか。

1-2-1. 明確な原因は不明

アルツハイマー型認知症の原因について正確に議論するとなれば、その原因は不明ということになります。「このような行動をとり、このような病気にかかったりすればアルツハイマー型認知症である」といった明確な判断基準は解明されていません。ただ、その原因やメカニズムに関する研究は進んでいるため、判断材料となりうる要素は見つかっています。

1-2-2.アミロイドβ仮説

その1つが、アミロイドβと呼ばれるものです。老人斑(加齢とともに出てくるものであり、茶褐色の斑点が体に浮き出るもの。別名「アミロイド斑」)を作ると言われているものに、アミロイドβというものがあります。これは老人斑を作るだけでなく、神経にも影響を及ぼすと考えられています。アミロイドβは特殊なたんぱく質なのですが、これが脳に蓄積していくと、脳神経細胞の死につながります。この脳神経細胞の死滅が、認知症の原因の要素だと考えられています。

1-3.アルツハイマー型認知症になりやすい人

アルツハイマー型認知症の確定的な原因はわかっていませんが、どのような人がなりやすいか、ということは研究によってある程度解明されています。では、どのような人がこの病気にかかりやすいのでしょうか。

1-3-1.60代以上の高齢者

アルツハイマー型認知症の出現率は、10代においては数えられないほど少なく、40代においても0.025%以下の有病率にとどまっています。50代ですら、その有病率は0.1%にすら達しません。しかし、60代で1.5%、70代になると前半で3.6%、後半で7.1%と格段に割合が飛躍します。80代後半になると27.3%まで急増します。増加率は、年齢を重ねるにつれ大きくなっています。

1-3-2.生活習慣の改善が望まれる人

生活習慣をおろそかにしている人は、アルツハイマー型認知症の発症率が高いです。具体的には、糖尿病や高血圧を伴っている人、運動不足の人、乱れた食生活・睡眠サイクルを抱える人は、注意が必要です。特に、糖尿病患者と高血圧患者(収縮期血圧160以上)の場合、正常の人に比べて約2倍もアルツハイマー型認知症を患いやすいという結果が出ています。

2.アルツハイマー型認知症予防のための3つの知識

以上を踏まえた上で、アルツハイマー型認知症を予防するために知っておくべき3つの知識を見ていきましょう。

2-1.①適度な運動をする

運動はとても有効な予防法です。運動をすると、アミロイドβを分解する酵素が活性化され脳神経細胞の死滅を防いだり、体内の酸化ストレスを減少させたりします。現代では、年齢を重ねると運動不足の傾向が強まり、こうした効果を得ることができなくなりがちです。そのため、アルツハイマー型認知症の発症率は高くなってしまいます。

2-1-1.効果的と言われている運動方法

運動不足を解消し、アルツハイマー型認知症を予防するためには、以下の点を意識すると効果的です。

  • ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動をする
  • 激しい運動の継続は避ける
  • 30分程度の軽い運動を週3~4回、できれば毎日行う
  • 楽しみながら運動をする

普段から運動をしているという人ならばともかく、そうではない人の場合、激しい運動は逆効果になります。散歩などの有酸素運動を行いましょう。また、高血圧の人は運動が逆効果となることがあるので、医師の診断を仰ぎましょう。

2-2.②十分な睡眠をとる

睡眠中、脳はたまった老廃物を排出する機能が働きます。その際に、アルツハイマー型認知症の原因の要素だと考えられているアミロイドβも排出されます。しかし、睡眠不足が続くと、このアミロイドβが蓄積され脳神経細胞の死滅につながり、アルツハイマー型認知症の発症を高める可能性があります。実際に、アメリカのワシントン大学の研究グループによると、睡眠効率が悪い人は最大で5倍以上も発症する可能性が高いと報告されています。

2-2-1.効果的と言われている睡眠

高齢になるほど睡眠の質が下がり、睡眠障害を起こす人は多くなります。なので、良質な睡眠をとるために日中の活動量を増やしましょう。上記であげたような運動を定期的に行うことで、上手に睡眠を導入しましょう。運動不足も解消できるため、運動と睡眠を合せて改善することは、アルツハイマー型認知症予防にとても効果的です。

2-2-2.昼寝が認知症リスクを下げる

睡眠についてはもう1つ、昼寝の習慣が予防に効果的だとされています。30分以内の適度な昼寝は、アルツハイマー型認知症の発症リスクを5分の1に下げると報告されています。

2-3.③食事

ビタミンEの多い食物は、アルツハイマー型認知症の発症を抑制する結果が報告されています。その他には、ビタミンB群、ビタミンC、βカロチン、カルシウム、亜鉛、鉄などのミネラル、青魚に多く含まれるDHAが予防につながるとされています。具体的には、

  • サンマなどの青魚(DHA)
  • キウィフルーツ、ほうれんそう(ビタミンE、C)
  • ゴマ(抗酸化物質セサミン)

などがあげられます。

2-3-1.緑茶・ワインが効果的?

また、緑茶がアルツハイマー型認知症の予防に効果的である、という見解が出されています。マウスを対象とした研究で、アミロイドβの抑制につながるという結果が出ています。

ポリフェノールなどを含むため、健康に良いと言われているワインもまた、アルツハイマー型認知症に効果的だと言われています。適量の飲酒をする人は、そうではない人に比べて長生きであるという研究も出ています。

3.まとめ

記憶や行動、人格に変化が起きるアルツハイマー型認知症は、年齢を重ねるとともに誰にでも起こりうるもので、完全に避けることは難しいでしょう。

しかし、生活習慣や生活スタイルを見直すことによって「予防すること」は可能です。運動・睡眠・食事から予防するという意識を、日常生活に取り入れることを強くおすすめします。

参考:
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001yxlj-att/2r9852000001yy9n.pdf
http://allabout.co.jp/gm/gc/313828/
http://www.ninchisho.jp/prevention/01.html
http://www.jhf.or.jp/a&s_info/guideline/post_3.html
http://www.bri.niigata-u.ac.jp/~idenshi/research/ad_1.html
http://adinfo.tri-kobe.org/worldwide-alzheimers-information/symptoms.html
http://www.kawaguchi-hp.or.jp/save_lnk/lnk_K7EvVK.pdf
http://news.wustl.edu/news/Pages/Extra-sleep-fixes-memory-problems-in-flies-with-Alzheimers-like-condition.aspx

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*