介護

デイサービスとデイケアの違いとは?利用目的に応じて決めよう!

デイサービスとデイケアの違い

デイサービスとデイケアの違いについて見ていきます。

介護サービスには、いろいろな種類があります。今回はそのなかでも、混同しがちな「デイサービス」と「デイケア」の違いに焦点をあてていきましょう。

1.そもそもデイサービスとデイケアって何?

デイサービスもデイケアも、「通所サービス」であることは共通しています。どちらも、「基本的には在宅なのだけれども、必要に応じて、施設に足を運んで受ける介護サービス」なのです。そのため、入居型のサービスとは差別化されます。

関連記事:介護サービス|24種類のサービス全まとめ

1-1. デイサービス(通所介護)

「デイサービス」というのは、「施設で、入浴などのサービスを受ける」というものです。機能訓練や食事の世話などをしてくれるところもあります。家族の介護の負担軽減なども目的としています。

1-2.デイケア(通所リハビリテーション)

対して、デイケアは、リハビリテーションを目的としたものであり、特に「機能の回復」に重点をおいたものになります。

2.デイサービスとデイケアの大きな違い

上では、デイサービスとデイケアの概要についてみてきました。しかし、これだけでは、「結局何が違うの?」と疑問に思う人もいるでしょう。そこでここからは、より具体的に、2つを差別化してお話していこうと思います。

2-1.目的の違い

デイサービスは、あくまで、「生活の身の周りの世話」を基本としたものです。それに対して、デイケアは、「リハビリ」に重きを置いたものであり、「訓練」という意味合いが強いです。

しかしそうは言っても、「デイサービスにも機能訓練があるんでしょう?」と思われる人もいるはず。次項では、「機能訓練」と「リハビリ」の違いを解説します。

2-2.従業員の違い

「機能訓練」と「リハビリテーション」は、しばしば混同して使われます。しかし、この2つには、実は違いがあります。

リハビリも機能訓練も、両方とも「機能の向上」を目的としますが、リハビリテーションと銘打つ場合、医師の指導のもと、特定の資格を持ったスタッフが指導にあたる必要性が出てきます。作業療法士や言語聴覚士、理学療法士や看護師といった人材です。

しかしながら、「機能訓練」とした場合、必ずしもこれらの専門的な人材が必要になるわけではありません。介護職であったとしても行うことができます。

もちろん、デイサービスにおいて、「作業療法士などがいてはいけない」という規約があるわけではありません。しかし、「デイケア」と銘打ち、「リハビリテーション」を行う場合は、専門資格のある人が訓練を受け持つ必要があります。

2-3.設備の違い

デイケアの場合、「リハビリ専用のための部屋」を用意し、かつ、リハビリに必要な器材などをそろえておく必要があります。このようなところからも、「目的の違い」がわかるでしょう。

3.ショートステイ

今までは、デイサービスとデイケアの違いに着目してきました。しかしそれ以外にも、「ショートステイ」というサービスがあることもご説明しておきましょう。

これは、「短期的に施設に入所し、身の周りの世話を受ける」というものです。家族のリラックスや旅行などのときに便利に使えます。ちなみに、連続使用期間は30日以内となっています。

関連記事:ショートステイにかかる料金の目安は?料金を決める4つの条件

4.利用の前に介護サービスの主目的を確認しよう

このように、「基本は家で介護をしており、状況に応じて施設を利用する」という場合でも、その種類はさまざまです。

何を目的としてサービスを受けるのか、ということを明確にしておきましょう。

5.まとめ

デイサービスとデイケアの違いについて見てきました。

デイサービスとデイケアの主な3つの違い
1.目的の違い
2.従業員の違い
3.設備の違い

デイサービスとデイケアは間違えやすいものですが、目的も従業員も違います。また、便利に使えるショートステイは、連続使用期間が決められているため、確認が必要です。上手に利用していきたいですね。

確認しておきたい施設で行われる看取り介護の具体的な流れ

看取り介護

看取り介護について見ていきます。

「看取り介護」という単語を聞いたことはあるでしょうか。なかには、「耳にしたことがない」という人や、漠然と、「介護をし、最期を看取ること」という認識でいる人もいるかもしれません。今回は、この「看取り介護」についてお話していきましょう。

1.看取り介護とは?

まずは、「看取り介護とはそもそも何か」について紹介していきます。

1-1.看取り介護の定義

「看取り介護」という言葉の定義は、「施設などで、亡くなる人の精神的な負担を軽くして、最期のときを安らかに過ごせるようにする介護」のことを指します。

この「亡くなる人」の前には、「近い未来に」というものが付きます。つまり、「身体的な状態などから判断して、医療の手を尽くしても回復する未来がない人」が対象となります。

1-2.看取り介護の考え方

終末期医療(ターミナルケア)に分類されるものであり、「苦痛を取り除く」ということを第一の目的とします。本人の意思を重んじ、苦痛を取り除くさまざまな措置が取られます。肉体的な苦痛緩和措置と同じように、精神的な苦痛の緩和措置と考えられているものであり、スタッフは、対象者が穏やかな終焉を迎えられるように尽力します。

2.看取り介護の流れ

看取り介護は、時間をかけて行われます。実際の看取り介護はどのような流れをとるのかをお話します。

2-1.適応期

看取り介護を行ううえで、最初に考えられるものです。このときは、

  • 要望の確認
  • 本人や家族の気持ちを確認する
  • 施設の医療形態の説明
  • 連絡方法の確認
  • 最期のときの対応

の聞き取りや説明を行います。

「尊厳ある死」という意味や死生観の確立を大切にするものであり、「看取り介護という制度」「看取り介護を行う施設に対する理解」などをしていく過程です。

2-2.安定期

入所半年後以降の段階です。基本的には、上記の「適応期」であげたものと同じ対応がとられますが、「健康状態の確認」や「死ぬことに対する理解や考えをより明確にするための交流を図る」ことを重要視します。

適応期においては、漠然としたものであった「死生観」にもより深く踏み込むものであり、細かく変わっていくであろう家族や本人の意向を、施設側は最大限受け入れる体制を整えています。

2-3.不安定・低下期

体が衰弱していき、肉体的に「死」に近づいていく段階です。この段階になると、「現状を伝えること」「その後どうなるか」「身の周りの世話に、どのような変化があるか」ということを伝えることが必要になってきます。

これらを正確に伝えたうえで、本人や家族がどのように判断するのか、ということを確認していきます。

「死という現実が迫っていること」が突きつけられる段階であるため、本人や家族の心構えも必要になるでしょう。

また、この段階になると、「その人の望み」が最優先されるため、食事なども、本人の望むものが出されるようになります。

2-4.看取り期

手を尽くしても、「回復は見込めない状態」が、この「看取り期」です。施設でできる手当や、看取り介護計画書への同意、そして最期の思い出として会いたい人(会わせたい人)に連絡する、というのがこの段階でできることです。

「亡くなった時にどこに連絡するのか」「亡くなった時に何を着せたいのか」などの確認などもこのときに行われます。お葬式の相談などが行われるのも、このタイミングです。

2-5.看取り

亡くなった時の対応となります。死亡届けの作成や、葬儀会社への現実的な手配などが行われます。最期のときは、できる限り、ご家族に看取られて過ごせるように、手配が行われます。

2-6.看取り後

家族を失った遺族の衝撃というのは、段階を踏んでいたとしても大変なものです。そのため、「看取り後」においては、遺族へのケアが優先されます。場合によっては、職員が葬儀などに参列することもあります。

「看取り介護」は、「介護される人を見送るための介護」だけでなく、「残された遺族に対するケア」も重要視している介護である、と言えるのかもしれません。

3.約7割の特別養護老人ホームで看取り介護が実施されている

特別養護老人ホームは、「最期の住居」ともなるものです。そのため、7割程度のホームで、このような「看取り介護」が行われています。死というのはとてもつらいものですが、看取り介護を受けることは、本人にも、そして残されることになる家族にも、心強いことでしょう。

関連記事:入所難易度が高くなっている?特養老人ホームの入所条件とは

4.まとめ

看取り介護について見てきました。

誰もが避けることのできない「死の瞬間」を、可能な限り穏やかに、そして自分らしく迎えるために、終末医療の「看取り介護」はあります。

特別養護老人ホームの多くで実施されている介護形態であり、家族にとっても、大きな助けとなっています。

参考:
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/committee/list/data/syumatsuki_iryou_houkoku.pdf
http://www.fukushi-kousaikai.or.jp/kawashimahome/sisetu_mitori.htm

費用の9割?介護リフォームで助成金をもらうための3つの条件

介護リフォーム

介護リフォームについて見ていきます。

一般的な家というのは、当然のことですが、「介護」には特化していません。そのため、在宅介護をしているという場合は、しばしば、その「介護のしにくさ」が問題になります。そのため、リフォームを考える人も多いのではないでしょうか。

今回は、「介護リフォーム」についてお話していきましょう。

1.介護リフォームとは?

介護リフォームとは、その名前の通り、「介護しやすい家にするためのリフォーム」のことを指します。段差をなくしたり、あるいは逆に段差を設けることによって動きやすくしたりという「バリアフリー」の概念に基づいて行われます。

2.介護リフォーム費用の9割が負担される?適用される2つの制度

リフォームはお金がかかるものですが、助成金を受けることができます。9割の補助が受けられることもあります。

2-1.介護保険制度

介護保険制度を利用すると、工事費用の10パーセントの自己負担で工事を行うことができます。これは、「高齢者住宅改修費用助制度」と呼ばれるもので、非常に恩恵が大きいものです。

3要件を満たすことにより、このサポートが受けられます。

関連記事:介護保険の申請の仕方|介護サービスを利用するまでの流れ

2-2.各市町村の助成金制度

自治体などで、独自に補助金の支給制度などを設けているところもあります。これを利用することで、さらに金銭的な負担が軽くなることもあります。各自治体によって異なるので、一度役所で相談してみるとよいでしょう。

3.介護リフォームで助成金をもらうための3つの条件

介護リフォームの助成金は、非常にありがたいものです。しかし、本来ならその必要もないのに税金を使ってリフォームをしてしまう、というケースを防ぐため、「条件」が設けられています。

3-1.①そもそも受給対象者であること

介護リフォームを受けられる条件の1つが、「受給対象であるかどうか」です。
この「条件」は、「年をとっているから」ということだけでは満たせません。

3-1-1.要介護認定を受けている

「要支援、もしくは要介護状態にある」という認定を受けていなければなりません。そのため、「80歳を超えているが、足腰はまったく問題なく、日常生活にもまったく不便はない」という場合、「将来のために介護リフォームをしておこう」と考えても、受給対象にはならないのです。

関連記事:介護認定基準とは?要介護認定されるまでの4つのステップ

3-1-2.本人が住んでいる

「頻繁に泊りにくるおじいさんのために、介護リフォームをしたい」という場合も、対象外となります。「要介護認定を受けている本人が住んでいる家」のみが対象となります。

3-2.②助成額の限度を超えていないこと

介護リフォームに限らず、リフォームは、お金をかけようと思えば、いくらでもかけられてしまいます。しかしこれでは、多くの人に介護リフォーム費用をいきわたらせることができません。そのため、「20万円以内の介護リフォーム」に限られます。

3-3.③支援対象となる住宅改修であること

また、「どんな種類の介護リフォームにもお金が支払われるわけではない」ということも知っておかなければなりません。介護リフォームの支援対象となる住宅改修工事範囲は、かなり狭い範囲です。

3-3-1.手すりの取り付け

階段や廊下に手すりを取り付ける、というケースは、「助成金をもらえる要素」を満たせます。

3-3-2.通路等の段差または傾斜の解消

家のなかに段差などがあると、車椅子での行き来が難しいです。これを解消するための工事です。

3-3-3.移動の円滑化のための床材の変更

ツルツルと滑りやすい床材は、足腰の弱くなった人には危険なもの。そのため、床材の張替も、助成金の対象となります。

3-3-4.扉の取り換え

車椅子に一度でも乗ったことのある人ならわかると思うのですが、「押して開ける扉」「手前に引いて開ける扉」というのは、非常に移動しにくいものです。車椅子の上でこの作業をやるのはとても大変です。そのため、引き戸への変更も認められています。

3-3-5.便器の取り換え

「腰を落とし、その状態を維持する」という和式トイレは、足腰が弱い人間にはつらいもの。そのため、負担の少ない洋式トイレの切り替えも可能です。

3-3-6.これらの住宅改修に付帯して必要となるもの

上記のような工事をするために、手すりをつける部分の壁を補強したり、トイレを変更するにあたって排水工事が必要になったりする場合は、これも補助されます。

4.助成制度を利用する際には、事前の打ち合わせが必要

「この介護リフォームは助成金の対象となるのか」という疑問は、実際にその場面に直面しないと、なかなか答えることが難しいものでもあります。そのため、事前に打ち合わせをしておき、「これは対象か、対象外か」ということも含めて、話を煮詰めていきましょう。

5.まとめ

介護リフォームについて見てきました。

介護リフォームで助成金をもらうための3つの条件
1.受給対象者であること
2.助成額の限度を超えていない
3.支援対象となる住宅改修である

介護リフォームのための費用は、介護保険によって9割もまかなうことができます。3つの条件を満たす必要はありますが、かなり恩恵の大きい制度ですから、事前の打ち合わせをしっかりして、有効に利用しましょう。

介護予防サービスって何?その種類と内容について

介護予防サービス

「介護サービス」というのは、多くの人が耳にしたことのあるものだと思います。しかし、それ以外にも、「介護予防サービス」というものがあることをご存じでしょうか?

1.介護予防サービスとは?

介護というのは、介護される側にとっても介護する側にとっても大変なものです。そこで、「要介護になる前の段階で気を付けよう」という考えが出てきました。そのためのサービスも打ち出されています。

今回は、介護予防サービスについてみていきましょう。

1-1.「介護予防」って?

上でも軽く触れましたが、「介護予防」というのは、その名前の通り、「介護になる前の段階で、症状の悪化を食い止めよう」とするものです。すでに「要介護状態になってしまった人」をサポートするのも大切ですが、「介護状態にならないようにすること」に重点をおいた、予防型のサポートも大切です。介護予防の概念というのは、後者にあたります。

1-2.介護予防サービスの概要について

何度か繰り返していますが、介護予防サービスは、「要介護の状態にならないように、あるいは悪化しないように」取り組むサービスです。可能ならば、支援や介護が必要とならない状態に戻ることができるようにします。そしてそれが難しいのならば、現状維持の状態を長く続かせるためのサポートを行います。

1-3.どんな人が介護予防サービスの対象になる?

介護予防サービスは、あくまで「予防のためのサービス」です。そのため、現状で、介護の手を必要とするタイプの人には、基本的には行われません。
介護予防サービスが受けられるのは、以下の3タイプの人です。

  1. 要支援1の人
  2. 要支援2の人
  3. 要介護の状態だが、要介護1の区分けに属する人であり、介護予防サービスを受けることによって、現状維持ができたり、状況が改善できたりする可能性が高い人

1-4.地域支援事業の対象者と内容について

「地域支援事業」は、国や都道府県、市町村、そして40歳以上の人が支払う介護保険によって財源が確保されているものであり、その地域に住む人にさまざまな介護予防事業を提供するものです。

名称からもわかるように、これが利用できる人は、その地域の住人だけです。通所型や住居型の介護が用意されています。

2.介護保険サービスの種類

介護保険サービスにはさまざまなものがあります。それについてみていきましょう。

2-1.自宅訪問型

読んで字のごとく、「自宅にヘルパーなどが訪れる」という形式のものです。これにもさまざまな種類があります。

2-1-1.介護予防訪問介護

「身の周りのことは基本的には自分でできるが、若干不便に感じることがある」という人向きのものであり、入浴や食事などの手助けをしてくれます。1回あたり1220円程度で利用できます。

2-1-2.介護予防訪問入浴介護

私たちが何気なく行っている「入浴」という行為は、実は非常に力のいるものです。服を脱いで、髪の毛を洗い、体を洗い、バスタブに入り、そして最後に湯船から出なければなりません。

現在の建築物のバスルームの場合、バスタブも年を取ってからでも使いやすいように工夫されていますが、昔の家だとそのような工夫もされていないことが多いです。しゃがんだりたちあがったりという行動は意外なほどに大変です。
このような大変な「入浴」をサポートするために、介護用のバスタブなどを使って行ってもらえる介護があります。それが、「介護予防訪問入浴介護」です。1回の利用料金は854円です。

2-1-3.介護予防訪問看護

「介護要望訪問介護」と響きは似ていますが、できることに違いがあります。介護の場合、点滴や注射のような医療行為はできません。「介護」ができるのは、あくまで「身の周りの世話」だけです。

そのため、家で点滴などをしている人の場合は、こちらをお願いすることになります。
「どこから派遣されるのか」「時間はどれくらいかかるのか」によって負担額は違いますが、255円~1138円の間です。

2-1-4.介護予防訪問リハビリテーション

自分自身の体を自分の思うように動かすことは、年を取ってくると難しくなります。運動機能の向上や維持を目指して行われるのが、この「訪問リハビリテーション」です。理学療法士(PT)・言語聴覚士(ST)・作業療法士(OT)などが家を訪れ、リハビリサービスを提供します。費用は305円から505円まで。

2-1-5.介護予防居宅療法管理指導

「80歳になっても20本の自分の歯を維持しよう」という標語が掲げられている通り、口のなかの健康というのは、非常に重要です。歯が丈夫であれば、食事もおいしく食べることができます。介護予防居宅療法管理指導とは、このような「口内の健康」を保つために行われます。また、それ以外にも、栄養の管理や、療養をするために必要な指導なども行ってもらえます。

医師や歯科医師、薬剤師、栄養管理士、歯科衛生士、看護師などによって行われます。
「医師の場合は料金が高いのではないか?」と心配する人もいるかもしれませんが、もっとも費用がかさむのは、病院の薬剤師に来てもらう方法です。
ただし、そうはいっても、自己負担額は350円~550円です。

2-2.通所型

今までは、「来てもらう形」を紹介しました。ここからは、「通う形」をしょうかいしましょう。

2-2-1.介護予防通所介護

多くの人が「介護」と聞いたときに真っ先に思い浮かべるであろう「デイサービス」がこれにあたります。施設に赴き、入浴などのサービスを受けられます。簡単な機能訓練も行えます。

ちなみに、混同しがちな「機能訓練」と「リハビリ」ですが、この2つには違いがあります。リハビリは医師の指導のもと、理学療法士・作業療法士・看護師・言語聴覚士のような「専門職」が行うものです。対して、機能訓練の場合は、介護職であっても行うことができます。リハビリの場合は、特に「機能の改善」が目的とされますが、機能訓練の場合は「予防」「現状維持」が主な目的となります。1か月あたり2099円~4430円。

2-2-2.介護予防通所介護

デイサービスに続いて、よく耳にするのが「デイケア」という単語です。介護予防通所介護は、この「デイケア」にあたります。

デイサービスとは違い、「医師の指導に基づき、通うこと」がデイケアの特徴です。
このときに受けられるのは、「リハビリ」です。機能訓練とリハビリの違いは上で触れたとおりです。

専門家の指導になるので、費用はデイサービスよりも若干高くなります。1か月あたり2412円~5053円。

2-3.入所型

「施設に入所」というと、「老人ホームに住むこと」をイメージする人もいるかもしれません。しかし実際には、ごく短期間だけ入る、ということもできます。それが、短期入所型です。「ショートステイ」という名称で呼ばれることもあります。

2-3-1.介護予防短期入所生活介護

福祉施設に一時的に入所するものです。上記で述べた「デイサービス」が入所型になったようなものに近いかもしれません。排泄を含めた身の周りの世話や機能訓練をお願いすることができます。施設によって若干の差はありますが、564円~806円で1日間利用できます。

2-3-2.介護予防短期入所療養介護

こちらは「デイケア」の入所型に近いと言えるかもしれません。医師の指導に基づいたリハビリを受けることができます。また、医療的なフォローも受けられます。料金は1日当たり619円~895円です。

3.まとめ

介護サービスだけでなく、「要介護の度合が重くならないために受ける」という介護予防サービスも非常に重要です。要支援1~要介護1の人までが対象となるこれらは、かなり充実しており、さまざまなサービスがあります。訪問型、通所型、入所型……。自分や家族のライフスタイルにあわせて、賢く使っていきたいですね。

参考:
http://homonkango.net/about/expense/feature/difference.html
http://ichigoichie-care.com/%E3%83%AA%E3%83%8F%E3%83%93%E3%83%AA%E3%81%A8%E6%A9%9F%E8%83%BD%E8%A8%93%E7%B7%B4%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84/
http://www.wam.go.jp/wamappl/bb05kaig.nsf/0/0c132016746a8e7c49257140002bd56b/$FILE/gaiyo1.pdf
http://www.kaigo-town.jp/insurance/_050_00prevent.html
http://news.kaigonohonne.com/article/263

介護タクシーとは?活用するための7のQ&A

介護タクシー

「介護タクシー」という言葉を聞いたことはないでしょうか?これは上手に使えば、大変便利なものです。今回はこの「介護タクシー」についてお話していきましょう。

1.介護タクシーとは?その概要

まずは「介護タクシーとはそもそもどのようなものか」ということを考えていきましょう。

1-1.介護タクシーの定義

「介護タクシー」という言葉は、実はかなりのあいまいさを含んだ言葉です。厚生労働省が、「いわゆる介護タクシーの実態調査の結果について」では、下記のものを「介護タクシー」として調査しています。

  1. 介護保険法に基づく指定を受けている指定訪問介護事業者
  2. 通院・外出介助に特化した基準該当訪問介護として市町村が認めている事業者

1-2.介護タクシーの運転手について

介護タクシーの運転手は、ほかのタクシーとはその基本が違います。乗り降りの際の手助けなどを必要とされることが多いため、一般的なタクシーの運転手がそのまま介護タクシーの運転手になる、ということは可能性としては低いと言えます。

多くの場合、介護タクシーの運転手となるのは、訪問看護員2級の資格を有するものです。これが全体の90%を超えています。それ以外には、1級の人員が5%程度、介護福祉士が3%程度、3級の人員が0.5%となっています。

1-3.業務の内容について

上でも挙げましたが、介護タクシーには、「乗り降りの際の手助け」というが入ってきます。これは「身体介護」のなかに含まれるものです。

「乗り降りの際の手助け」というのは、単純に「車から降りるときだけ手伝う」というものではありません。実際に家のなかに入り、健康状態のチェックを行い、着替えを手伝う、というところから始まります。この上で、タクシーにのせ、移動を手助けすることになるのです。場合によっては消灯や火の世話も必要となります。

「家を出られる状態になるまで介助をして」「タクシーに乗せて運び」「目的の施設についたらフォローをし」「場合によっては受け付けなどを手伝う」というところまでが、介護タクシーの業務である、と考えるとよいでしょう。

1-4.介護タクシーの位置づけ

このような観点から見ていくと、介護タクシーというのは、「タクシー」としての注目度よりも、「介護」ということに重きを置かれている、ということがわかるでしょう。あくまで、介護タクシーは、「訪問介護の一つ」なのです。

1-5.利用対象者

介護タクシーは、その性質上、「利用できる人」が限られています。それには5つの条件があります。

  • 支給限度額以内での使用である
  • 要介護1以上の状態である
  • 自宅で生活している
  • 契約をしている
  • 必要性がある

大事なのが「要介護1以上の状態である」ということです。見守りは必要だし、生活の基本能力は衰えているけれども、日常的に人の手を借りなければ生活を営むことが難しいわけではない、という「要支援」の場合は、介護タクシーを利用することはできません。また、「必要性がある」というところからもわかる通り、自分自身でバスなどの公共の交通機関を利用できる、という場合も対象外となります。

1-6.料金体制と介護保険

介護タクシーの料金形態に関しては、少し難しい問題があります。「移送方法」として考えた時に割引は発生するのか?介護のときにかかる料金についてはどうなるのか?など、その規定はそれほど明確ではなく、事業者によって異なるのが普通です。介護保険を利用する場合、1割が利用者の負担となりますが、事前に確認する方がよいでしょう。

2.活用するための7のQ&A

ここらは、より実践的に、「活用する際に出てくるであろう疑問」に答えていくことにしましょう。

Q1.車両の種類は?

A.車いすやベッド(ストレッチャー)を備え付けた「福祉車両」と呼ばれるものと、セダンやワゴンといった一般車両の2つに分けられています。「介護タクシー」という名称上、前者の福祉車両の方が多い、という印象を持つ人も多いでしょう。しかし実際には、後者の、福祉車両ではないものの方が圧倒的多数です。その比率は7:93程度であり、福祉車両はとても少ないと言えます。

Q2.利用可能時間は?

A.介護タクシーは「施設などに向かうための車両」です。そのため、その稼働時間も、基本的には、病院や施設が開いている時間、ということになります。ただし、やむを得ない事情のときなどは、夜に利用することも不可能ではないようです。

Q3.緊急時は利用可能か?

A.基本的には、介護タクシーは完全予約制です。このため、緊急時に利用できる、という考え方は捨てた方がよいでしょう。深夜帯などもそれにあたります。介護タクシーを運転する人員などを考えれば、介護タクシーと緊急時のコールは相性が悪いものだ、ということがわかると思います。突発的な事故の場合は、救急車などを利用するようにしましょう。

Q4.法定代理受領サービスとは?

A.介護タクシーの支払い方法には「法定代理受領サービス」というものもあります。これは、事業者側が、使った利用実績をケアマネージャーに報告して、ケアマネージャーがそれを確認し、国保連合会に請求をかけます。これによって、事業者は、介護報酬を受け取ることができる、というものです。

Q5.介護タクシーに家族の同乗は可能か?

A.「おじいちゃんが心配だから、私も一緒に乗っていきたい」と考えるご家族もおられるでしょう。しかし、原則としてこれはできません。というのも、介護タクシーというのは、「介護の必要性がある人」が乗るものであるため、「介護ができる家族がいるのなら、その人の手を借りて、公共の交通機関などを利用することができるだろう」と判じられるからです。このため、「介護者」がいる介護タクシーは利用できません。

ただし、介護できない家族の場合、特段の事情(医師から説明を聞くなど)があれば認められるケースもあります。

Q6.介護タクシー乗務員はどこまで通院のための介助をしてくれるのか

A.基本的には、介護タクシーも「タクシー」ですから、乗り降りまでの補助までとなるでしょう。しかし場合によっては、受付などの手助けをすることもあるようです。これも事業所によって違いがあります。

Q7.通院先としっかり連携がとれているか?

A.介護タクシーと通院先の連携がとれているかどうか、というのは、やはり事業所によって違いがあると言えるでしょう。病院のスタッフや、担当のケアマネージャーに相談してみるのもよいかもしれません。

3.まとめ

「介護タクシー」という言葉は、かなりあいまいな語句であり、事業所によってプランにばらつきがあるという問題があります。しかし、介護と移動をプロにお願いできる、ということは、大きなメリットです。ケアマネージャーや病院と連携し、上手に選んでいきたいものですね。

介護疲れを感じた時にすぐ実践したい3つの具体的対処法

介護疲れ

介護というのは、される側にとっても精神的な負担が大きいものです。しかし同時に、「介護する側」にとっても、精神的・肉体的・経済的な負担が大きいものでもあります。

今回は、介護疲れについてみていきましょう。

1.介護疲れとは?

介護疲れとは、その名前の通り、介護による疲労が蓄積して疲れ切ってしまうことをいいます。この「負担」は、経済的なもの、精神的なもの、肉体的なものなどがあります。

介護疲れによる殺人や自殺、あるいは虐待といったものは問題視されています。特に虐待は増加傾向にあります。

2.介護疲れの原因

介護疲れの原因はさまざまです。後で詳しく触れる、精神的な疲労や肉体的な疲労が中心ですが、それ以外にも、「自分の時間が思い通りにならない」「プライバシーもなく、常に介護のことで頭が支配される」といった「時間的な制約にまつわる疲れ」もあります。また、介護が続くことによって、看護や介護にかかる費用に生活が圧迫されることもあります。介護のために仕事を辞めると経済的な負担はより大きくなりますが、経済的な不安がある状況というのは精神的にもよくなく、それが疲れの原因となることもあります。

2-1.肉体的な疲れ

老老介護で、特に女性が男性の面倒を見ている、という場合、肉体的な疲れがたまることは、想像に難くありません。入浴の介助や排泄の介助、あるいは褥瘡ケアのための寝返りを打たせる、といったことは、若い人であってもつらいものです。自分自身の体もそれほど丈夫ではないのに、このような介護が必要になった場合、肉体的な負担は極めて大きいと言えるでしょう。

2-2.心理的な疲れ

介護の心理的な疲れは、大きく分けて2つあります。

1つは、「自分が頼りにしてきた相手が、今では自分が介護するべき相手になっている」とう事実との葛藤です。特に、親や配偶者が認知症を患ったという場合、普段は極めて冷静で合理的な判断ができる人であっても、かたくなにそれを認めようとしないこともあります。

もう1つは、「介護はいつ終わるのかわからない」ということでしょう。子どもの世話などは、基本的には成長と同時に少しずつ楽になっていきますが、介護はそうではありません。また、「終わること」を望むということはすなわち、「この人の死を願っているのだ」ということになり、自責の念にさいなまれる人もいます。

このような「自分の内側との葛藤」だけでなく、周囲の人からの心無い言葉に傷つけられたり、時間的な余裕がないことで追い詰められたりすることもあります。

3.介護疲れによる悲惨な事件

介護疲れによる悲惨な事件というのは、後を絶ちません。2015年の2月に、同じ年の認知症患者である妻を介護疲れの末殺害した夫の話などは、記憶に新しいでしょう。

また、検察官側が、加害者の熱心な介護に触れ、執行猶予つきの温情判決が下された京都市伏見の事件なども有名です。

4.介護疲れになりやすい人

介護疲れになりやすい人は、以下のようなパターンに分けられるでしょう。

  • 介護のテクニックを知らない
  • 一人で抱え込んでしまう
  • 介護施設の知識に乏しい

この3つに着目していきます。

4-1.介護テクニックを知らない

専門的な知識を持っている人ならばいざしらず、多くの人は、「初めての介護」にはとまどいを持つのが普通です。特に、「頼りにしていた人が少しずつ変わっていく」という認知症においては、「できないこと」にいらだってしまったり、否定をしたりしてしまいます。

しかしこのようなことを繰り返せば、介護される側は、介護されることを拒否してしまったり、家から飛び出てしったりすることなどを考えてしまいます。その結果、ますます介護がやりにくくなる、という悪循環があるのです。

4-2.一人で抱え込んでしまう

子育てもしていて、家事もこなしており、かつ介護もしている、ということであれば、物理的な時間が不足します。「睡眠」はストレスや疲れを癒す有効な手段ですが、物理的に時間がなければ、この「睡眠時間」さえも圧迫されてしまいます。また、ストレスを解消するための「自分の時間」がとれないのも問題です。自分の時間がとれなくなれば、友人と話をする時間も少なくなるし、相談できるところが少なくなってしまいます。

介護疲れと密接な関係のある「介護うつ」では、「一人で頑張りすぎてしまう人」「人に頼るのが苦手な人」「真面目な人」が患いやすいとされています。「ほどほど」で切り上げることができませんし、また、「できない自分」をせめてしまうことが、介護疲れを加速させます。

4-3.介護施設の知識不足

介護施設には、さまざまなものがあります。介護レベルや利用する日数に応じて形態はかわりますが、その種類は非常に豊富です。そのため、リラックスのために、これらの施設を利用して、一時的に預かってもらうということはそれほど難しいことではありません。

しかし、これらの施設の知識がなかったり乏しかったりすると、「家で介護すること」が当たり前になってしまい、施設を利用しようとしません。その結果として、介護疲れはますます加速するのです。

「知識」というのは、一つの「武器」です。知ることによって、介護疲れに対抗していくことができるのです。

5.具体的な対処法

ここまでは「概要」でしたが、ここからはより実践的な方法を学ぶようにしましょう。

5-1.①肉体的対処法

もっとも簡単なのは、1人の介護者がすべてを負担せず、家族の手などを借りることです。特にメインとなる介護者が女性の場合、男性の手を借りることができるのは非常に大きなメリットです。

また、現在は、「立ち上がりの補助」「寝返り」などを学べる動画や介護教室などがあります。これらを参考に、「体に負担のかからない介護のやり方」を学ぶのもよいでしょう。

5-2.②心理的対処法 周囲を頼る・専門機関に相談

一つ覚えておいてほしいのは、介護される側の行動というのは、介護者を困らせることを目的としているのではない、ということです。それはあくまで「症状」の一種なのです。また、メインとなる介護者1人だけで抱え込まなければならない問題ではなく、「相談すれば誰かが助けてくれる」というものなのです。

5-2-1.保険センター

地域にある保健センターに相談に行くことは、自分の現状を知る上でも役立ちます。保健センターの場合、明確に「介護疲れである」「介護うつである」「専門的な施設を探したい」というような目的があっていく必要はなく、現状を吐き出し、整理し、相談できる、という特徴があります。

5-2-3.高齢者相談センター

「シルバー110番」とも呼ばれ、各都道府県に1つずつ用意されています。相談料は無料であり、電話で相談できます。面接なども行ってくれますし、専門的なアドバイスが期待できます。

5-3.③両方の対処法 施設の利用

心理的な負担も肉体的な負担も軽くしてくれる、という意味では、施設の利用が有効です。特に認知症の場合は、特養・老健やグループホームなどがよく使われます。

5-3-1.特養・老健

特養は「特別養護老人ホーム」と呼ばれるものであり、長期間にわたる入所が可能です。「最後の居場所」としても使える場所で、要介護の度合が進んだ人でも受け入れてくれます。

対して老健は「介護老人保健施設」と呼ばれるものであり、3か月に1回の判定が行われ、長期入所は難しいものの、機能訓練は特養に比べて厚いという特徴があります。

5-3-2.グループホーム

認知症患者でも対応しており、機能訓練もしっかりあります。専門的知識を有した職員が常駐するため、安心感もあるでしょう。料金に関しては施設ごとに異なるため、チェックが必要です。

グループホームも特養・老健も、「必ず利用しなければならない」というものではありません。しかし、その存在を知り、「いざというときには頼れる」という選択肢を持つことは、介護疲れを軽減するための大きな要素となります。

6.まとめ

介護疲れというのは、介護する側にとってもされる側にとっても悲劇です。そのため、介護には精神的な負担と肉体的な負担、さらには経済的な負担もあり、それを軽減するための処置が必要である、と考えておかなければなりません。専門的な施設の知識を持っておくのも、そのうちの一つです。

参考:
https://info.ninchisho.net/care/c100
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000072782.html
http://www.sankei.com/affairs/news/150208/afr1502080015-n1.html

介護者の4人に1人!介護うつにならないための4つの約束

介護うつ

介護というのはとても大変なものです。介護される側にも苦しみがありますが、介護をする人間にとっても非常に負担が大きいのも事実です。4人に1人が介護うつを患っているという現状を鑑みる必要があります。

今回は「介護うつ」についてみていきましょう。

1.介護うつとは?

介護うつとは?介護うつとは、その名前の通り、介護をしている人(以下「介護者」)がうつ病になってしまうことです。

介護うつというと、介護をしている最中だけでなく、介護が終わった後に介護うつになるケースもあります。ただ、一般的には「介護うつ」という言葉は前者を指すことが多いので、今回はこちらを主に取り上げていきます。

2.介護うつの原因とは

介護うつの原因はさまざまです。一つとしては、自分自身の健康状態がすぐれないのに介護をしなければならない、といった肉体的なもの。介護をするために仕事を辞めたり貯金を切り崩したりといった経済的なものがのしかかってくることが原因になることもあります。また、多くの人がイメージしやすい、精神的な負担によるものもあります。

2-1.介護によるストレス

同居介護者のストレス有無グラフ
参考:厚生労働省 平成22年国民生活基礎調査の概況「同居の主な介護者の悩みやストレスの有無」

厚生労働省の調査によれば、「介護に関してストレスがある」と答えた人の割合は60%を超えています。特に、「家族(介護される側のこと。以下「被介護者」)の介護や病気がストレスになっている」と答えている人の割合は7割近くに上ります。続いて、「自分の病気や介護」が3割ほど、3位には「家族との人間関係」が続きますが、3位の場合は、女性と男性では10%程度の開きがあります。

2-2.責任感による無理

責任感介護者はしばしば、「責任感」によって無理をします。特に、前時代的な考えをしている環境に身を置いている場合、「施設やプロの手を借りるのは無責任だ」というプレッシャーがあることも。このプレッシャーは、必ずしも外部からかけられるものではありません。介護者本人が自分自身に対してそう思い込んでおり、その結果として、「人の手を借りない介護」をしてしまい、追い詰められることがよくあります。

2-3.孤独/相談相手がいない

孤独介護をするために仕事を辞めたり、趣味をセーブしたりする人は非常に多いと言えます。「自分の本来したいことをやめなければいけなかった」というのはそれだけでも大きなストレスとなります。

これに加えて、社会生活から身を遠ざけることによって、相談相手がいないという「孤独感」が介護者にとって大きな負担になります。また、たとえ相談相手がいたとしても、「暗い話をしていたら相手に悪いのではないだろうか」という気持ちにさいなまれ、自分自身の悩みを打ち明けられなくなることもあります。

3.介護うつになりやすい人

介護うつになりやすい人上でも触れましたが、介護うつになりやすい人には、いくつかの特徴があります。

  • 責任感が強く、自責心も強い
  •  真面目な気質である
  •  周囲に相談せずに、自分自身で解決しようとする

これらは、介護うつに限らず、一般的なうつ病になりやすい人にも共通している特徴です。

この特徴に合致している人は、「自分が介護うつになるかもしれない/なっているかもしれない」と考えておくことも重要です。

4.介護うつに見られる症状

介護うつの症状介護うつもうつ病の一つですから、その症状は、ほかのうつ病のときとそれほど大きくは変わりません。虚無的な感覚やマイナスの感情にとらわれたり、今まで楽しくできていたことができなくなったり、強い自責心を抱いてしまったりするなどです。

4-1.億劫(おっくう)感

億劫最初に言っておきたいのですが、「億劫感」というのは、うつ病に至っていないときでもありうることです。365日続く介護を、愉快な気持ちだけでやっていける人はいないでしょう。「億劫だ」と感じられることがあるのは当然のことです。

しかし介護うつの場合、この億劫な気持ちが長く続き、今まできちんとできていたことが実際にできなくなることもあります。

4-2.憂うつ感

憂うつうつ病の症状として、もっとも想起しやすいのがこの症状でしょう。何をしても気分が沈んでおり、心が晴れません。

ただ、「うつ病」であることと「嫌なことをやりたくない」ということには、大きな違いがあります。うつ病にかかっているときは、今までなら楽しくできた趣味などをやっても心が晴れない、という特徴があるのです。

4-3.不安や焦燥(しょうそう)感

言いようのない不安や焦燥感にかられるのも、うつ病の特徴です。「介護をしているのだから不安があって当然」と見る向きもあるでしょう。しかしこの「不安」は、「現状、そして未来においても、特に問題がない」という状態であっても起こり得ます。

不安というのはそもそも、「何かよくわからないけど、心が落ち着かない」という状態を指します。「経済的な問題がある」などのように明確な懸念材料がなくても、「なんとなくそわそわする」などのような感情に支配されることもあります。

5.介護うつにならないためには? 4つの予防方法

介護うつは悪化すると、介護者の死をも招きかねません。そのため、自分が介護をする立場になった場合は、「自分もなるかもしれない」といった心構えを持ち、予防していくことが大切です。

5-1.自分が感じているストレスに気づく

気づきまず重要なのは、「自分は今ストレスがかかっているのだ」と自覚することです。がんばり屋さんの人などだと、「もっとつらい人もいる」と自分のストレスを軽視しがちです。そのため、まずは、「自分はいま疲れている、ストレスを受けているのだ」と自覚するところから始めましょう。

5-2.ストレスを減らす

ストレスを減らすその次に重要なのが、「ストレスを減らす」ということです。うつ病は、休養などでストレスを受ける要因から意識的に離れることが大切です。

例えば、専門家に頼ること、専門施設に被介護者を預けることが挙げられます。これらを活用して、介護者が休養をとることは、決して責められるようなことではありません。むしろ、専門家の適切な介護をうけたり、グループワークをしたりすることは、被介護者にとってもプラスの効果をおよぼします。

リフレッシュのためにどこかへ旅行をしたり、ショッピングをしたりという時間を設けましょう。

5-3.相談をする

相談する相談をすることは、介護うつを軽減するために必要不可欠なことです。「周りの人には話しづらい」ということであれば、市町村の窓口や国の機関を使いましょう。現在の介護の状況はどうなのか、自分が困っていることは何なのか……。それをすべて話してしまいましょう。

専門家は介護者を否定しません。「相談するなんて薄情な人だ」「自分でどうにかできないのか」などとは思いません。

5-4.情報を得る

情報を得る知識というのは、困難に立ち向かう武器になります。介護にはどのようなサービスがあり、どのような補助金があり、どのように助けてもらえるのかを調べるようにしましょう。「介護を外注するのは高いから」と二の足を踏んでいた人が、調べてみたら、サービスの安さにびっくりした、というケースはよくあります。特に、経済的な問題がストレス源になっている人にはおすすめです。

また、介護うつについての情報を集めることも有効です。「介護」の情報と「メンタルヘルス」の情報、2つを並行して得るのが望ましいでしょう。

6.介護うつの治療

介護のストレスの原因グラフ
参考:生活向上WEB 「どんなことにストレスを感じますか」

介護に関するストレスのなかでもっとも大きいのは、「先が見えないこと」であり、全体の29%近くの介護者がこれをあげています。「心身の疲労」よりも、出口のない、終わりの見えない介護に人は疲れてしまいます。そのため、施設への入居などを考えることは、決して悪いことではありません。

しかし、それでも、「預けることを考えたら家でみる方が精神的に楽」「経済的に難しい」などのような事情もあるでしょう。

その場合、「介護うつをどのように治療していくか」が大切になってきます。

6-1.薬による治療

薬による治療うつ病は、幸福物質とも言われるセロトニンの伝達がうまくいかないことが原因の一つです。

そのため、セロトニンの量を調整するSSRIなどが処方されます。それ以外にも、SNRIやNaSSAなどの薬が用いられます。

しばしば、「うつ病の薬を飲むとくせになる」「一生飲み続けなければならない」「依存する」という意見を見かけますが、うつ病の薬には依存性は認められていません。分量などを自分で調整することは禁忌です。医師の指示に従いましょう。

6-2.休養

休養介護うつに限らず、一般的なうつ病の治療としても使われるのが、「休養」です。介護をいったん自分の生活から切り離し、ゆったりと過ごしましょう。

もっとも、被介護者が要介護5の場合、「ほとんど終日介護をしている」と答える介護者が半数を超えます。このような場合、すべての介護を他に委任する、というのは難しいかもしれません。

ただ、「自分の時間が持てないことがストレスになっている」と答えている人は12%もいる、ということを考えれば、「1日に2時間でも3時間でも、介護から完全に解放される時間」を設けることは重要だと思われます。

同居の他の家族に任せるなどして、私的な時間を確保するようにしましょう。

6-3.精神療法

精神療法うつ病になると、物事を悲観的にとらえたり、否定的にとらえたりするようになります。これは病がこのような思考回路で考えさせているのですが、こういった状態に陥ってしまうと、周囲の言葉はなかなか耳に入らなくなることもあります。

しかし、専門家である医師が「治療」という形で向き合うことによって、状況が大きく改善することもあります。

精神療法として代表的なものは、支持的精神療法、認知療法、対人関係療法があります。

6-3-1.支持的精神療法

本人が抱える悩みについて話してもらい、医師が共感することによって安心を感じ、症状などを和らげる治療法です。うつ病に関して詳しく説明をすることで、理解を深めるといったこともこれに含まれます。

6-3-2.認知(行動)療法

物事の考え方・とらえ方を変えていくアプローチです。うつ病の人は悲観的・マイナスに考えがちなので、悪く考える必要はない、ということに気づかせるような技法が用いられます。

6-3-3.対人関係療法

「重要な他者(自分の情緒に大きな影響を与える相手)」との「現在の」関係性に焦点を当てることで行う治療方法です。

7.まとめ

介護というのは、被介護者だけの問題ではありません。介護者にも大きな負担としてのしかかってきます。そのため、介護うつなどを患う人の数は非常に多く、4人に1人の割合です。

介護うつを予防するためには、自分自身にかかっているストレスを自覚したり、相談をしたり、情報を得たりすることが重要です。また、既に介護うつを患っている場合は、薬や休養、精神療法による治療の必要性が出てくるでしょう。

介護を外注することは、決して悪いことではありません。介護をしている人が、うまくできない自分を責める必要はありません。自分の時間を確保したり、休養をとったりすることは、非難されることではありません。

介護者が介護うつに押しつぶされないようにするために、周囲の理解も必要でしょう。

参考:
http://www.astellas.com/jp/health/healthcare/depression/basicinformation07.html
http://www.cocoro-h.jp/untreated/recover/medication.html
http://www.seikatsu-kojo.jp/research/vol8.php
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa10/4-4.html