認知症

徹底調査!アルミが原因でアルツハイマーになる危険性はあるのか?

アルミ鍋

「アルミニウムの影響でアルツハイマー型認知症になってしまう」。そんな説を聞いたことはありますか? 一時期、「アルミニウム鍋を使っていると認知症になる」といった噂まで広まりました。アルミニウムは、鍋だけでなくその他の日常用品にもよく使われているありふれた素材ですが、本当に認知症の原因となってしまうことがあるのでしょうか?

1.「アルミニウムでアルツハイマー」は否定派が多い

1-1.「アルツハイマーの原因になるかどうか」よくわかっていない

結論としては「よくわかっていません」。アルミニウムとアルツハイマーとの関連性を訴える説に対し、明確に否定するような根拠がないためです。

1-2.公的機関は「アルミニウム原因説」否定派が大多数を占める

ただし、「アルミニウムによる影響でアルツハイマーになる」という考えを支持する説は非常に少なく、特に公的機関ではこの考えに否定的な発表が多く見られます。

2.「アルミニウム原因説」とは?

そもそもなぜアルツハイマーの「アルミニウム原因説」が出てきたのでしょうか?

2-1.地下水のアルミニウムイオン濃度が高い地域に認知症

地下水にアルミニウムアルミニウムイオン濃度が高い地下水を常飲していたと考えられる地域で、認知症患者が多いとされていました。

第二次世界大戦後に米軍がグアム島を統治した際に、島民の老人たちに認知症の割合が高いことが認められ、地下水を検査すると高濃度のアルミニウムイオンが確認されました。

また、日本の紀伊半島でアルツハイマー患者が非常に多い地域がありました。こちらも同様に地下水のアルミニウムイオンが高濃度であったことが確認されています。

いずれの場合も、他所からの給水や上水道の完備を進めることにより(アルミニウムイオン濃度の低い水を飲むようになったことで)、認知症患者の割合が減ったことから、アルミニウムがアルツハイマーの原因である、とする説がうまれました。

ただし、飲用の水のアルミニウムイオン濃度とアルツハイマーの発症に関連性が見られないという研究報告もあります。近年ではアルミニウムとアルツハイマーの関連性について否定的な説が多く見られる傾向があるようです。

2-2.アルツハイマー患者の脳からアルミニウム検出

脳にアルミニウムカナダのある学者の研究によると、アルツハイマー患者の脳から健常者の数十倍ものアルミニウムが検出されたそうです。この研究結果も「アルミニウム原因説」の一つの根拠という見方をされています。

2-3.「アルミニウム原因説」に対する日本での反応

上記のカナダの研究結果の例について、1996年に毎日新聞が報道したところ、大きな反響を呼ぶ結果になり、他の新聞社も追随した記事を掲載しました。このときから「アルミニウム原因説」が世間で注目を浴び、いまでもこの説を支持する層がいます。

アルミニウムに関する新聞報道これにより、「アルミ鍋」などのアルミ製品への拒絶が始まり、「アルミ鍋を使うと認知症になる」という噂が一気に広がりを見せました。

3.実際、アルミニウムは「毒」なのか?

では、私たちの身の回りにあふれているアルミニウムですが、実際にアルツハイマーの原因になったり、人体に悪影響を与えたり、ということはあるのでしょうか?

3-1.アルミニウムの毒性

毒性の薬物動物実験では、ラットに対しアルミニウムを多量に投与した際に、腎臓や膀胱への影響が見られました。その他にも握力の低下も認められています。

人体において同様の影響は明確には確認されておらず、アルツハイマーの原因となっているかの具体的な根拠もいまのところありません。

3-2.アルミニウムの摂取に関する許容摂取量について

国際機関であるJECFA(FAO/WHO Joint Expert Committee on Foood Additives;FAO/WHO 合同食品添加物専門家委員会)が定めるアルミニウムの許容摂取量は、体重1kgあたり1週間に2mg、体重50kgの人であれば1週間に100mg(約14mg/日)です。

これは決して「これ以上摂取してはいけない」という基準ではなく、「これだけ摂取し続けても、一生涯健康に悪影響はない」というものなので、かなり低い水準で見積もりされています。そのため、実際にはこの許容摂取量を大きく超えるような量を摂取しても、短期的なものであれば特に問題ないだろうと考えられています。

3-3.一般的な生活で摂取するアルミニウムの量

一般的な食事WHOの報告によると、アルミニウムの1日あたりの摂取量は2.5~13mgとのことです。地域差や食生活に大きく左右されます。

調理器具や保存容器などすべてアルミニウム製品を使ったとしても、容器由来のアルミニウム摂取量は最大で6mg/日程度なので、JECFAの許容摂取量内か、わずかに超えるくらいにおさまるといえるでしょう。

3-4.摂取したアルミニウムはどうなる?

ちなみに食べ物などから摂取したアルミニウムはどのようになるのでしょうか?

約99%は体内に吸収などされることなく、そのまま体外に排出されます。また、残りの1%もほぼすべてが腎臓を通り、尿として排泄されるので体内にはほとんど残りません。

3-5.身近な食材のアルミニウム含有量

実施に普段口にする食材のアルミニウム含有量は以下の通りです。

食材 アルミニウム含有量
玄米 0.12mg
菜っ葉類 0.12mg
根菜類 0.26mg
肉類 0.18mg
0.2mg
貝類 3.8mg
海藻 8.5mg

※食材100mgあたり

種類や部位によっても若干の変動はあるため、あくまで目安と考えていただきたいのですが、海藻や貝類に多く含まれていることがわかります。

食品添加物また、ミョウバンなどの膨張剤や、色止め剤、着色料といった食品添加物の一部にアルミニウムを多く含むものがあります。これらは、現状では使用基準はないものの、各食品メーカーなどに使用量の自主的な低減化などを厚生労働省が求めています。

4.まとめ

影響の可能性が0%ではないため、科学では「絶対にない」とすることはなかなかできません。どうしても気になるならアルミニウム製品を使わず、アルミニウムが含まれる食材を食べないという生活を心がけることです。

参考:
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail970.html
http://www.omicsonline.org/2161-0460/2161-0460-3-118.php?aid=16579
http://www.rouninken.jp/member/pdf/16_pdf/vol.16_07-19-02.pdf
http://www.niph.go.jp/journal/data/42-4/199342040005.pdf
http://www.aluminum.or.jp/aluminum-hc/p_3/index.html
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/aluminium/

レビー小体型認知症の3つの進行段階と予後|初期~中期~末期

レビー小体型認知症のケア

レビー小体型認知症の進行と予後について見ていきます。

レビー小体型認知症にはさまざまな症状が見られ、中には他の病気と誤診されてしまうケースもあるのだとか。

レビー小体型認知症の進行度によってどのような症状の変化があるのか、またどのようにケアをしていけばよいかについてみていきましょう。

1.レビー小体型認知症の進行は速い

レビー小体型認知症の進行

3大認知症と言われる「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」の中でも、レビー小体型認知症は進行が速いと言われていて、発症からの全経過が10年未満とされています。

ただし、症状や進行は個人差が大きく、治療やケアによって進行を遅らせることができると考えられています。

関連記事:レビー小体型認知症とは?第二の認知症と呼ばれる病

2.レビー小体型認知症の進行度別の症状とケア対策

レビー小体型認知症では、進行の初期、中期、末期に症状や身体の状態に変化が見られます。

2-1.レビー小体型認知症の初期症状

初期からさまざまな症状が見られますが、特にレビー小体型認知症で特徴的な症状は「3徴」といわれるものです。

関連記事:幻視が危険信号!レビー小体型認知症に見られる主な3つの症状

2-1-1.レビー小体型認知症の「3徴」

レビー小体型認知症の3徴

「3徴」といわれる3つの特徴的な症状は、

  • 認知機能の動揺
  • 幻視症状
  • 運動機能障害[パーキンソン症状]

の3つの症状です。

上記のいずれかの症状が認められる場合には、レビー小体型認知症を疑った方が良いでしょう。

2-1-1-1.認知機能の動揺とケア対策

「認知機能の動揺」は高頻度で起こりやすい症状で、一日の中で数分から数時間、急にボーッとしたり、はっきりした状態を繰り返したりします。

家族、介護者の方はいまどちらの状態にあるのかを把握することが重要です。

あまり状態が良くない場合は無理に働きかけしないようにしておきましょう。

関連記事:幻視が危険信号!レビー小体型認知症に見られる主な3つの症状

2-1-1-2.幻視とケア対策

幻視症状

レビー小体型認知症の中でも最も特徴的な症状で、人物や動物、虫などの幻視が繰り返し現れます。

本人には本物にしか見えないほど具体的に現れるため、ひどく不安におそわれたり、混乱してしまったりすることもあります。

幻視が見えている方には、「そんなものはいない!」などと否定しないことです。よく話を聞き、その話の内容に合わせて声かけや対応をしてあげるようにしましょう。

そうすることで落ち着きを取り戻すことができます。

例えば、「寝室に知らない人がいる」と言っている場合、「玄関はこちらですよ」と「知らない人」を玄関まで誘導してあげます。

そして、「間違って入ってきちゃったみたいだから、帰ってもらったよ」と本人には説明してあげましょう。

不安を感じると幻視が現れやすくなるため、夕方以降の暗くなる時間帯に多く現れる傾向があります。

屋内を明るく保つよう工夫をしたり、日中に散歩して夜に早い時間に寝られるようにしたりしましょう。

関連記事:幻視が危険信号!レビー小体型認知症に見られる主な3つの症状

2-1-1-3.パーキンソン症状とケア対策

筋肉がこわばることがあり、日常生活の動作が遅くなったり、歩くのがゆっくりになったりすることがあります。

ちょっとしたものにつまづいてしまうことが多くなるので、転倒しないように注意が必要です。

  • 家の中のつまづきやすいものを片づける
  • 後ろから話しかけない(振り向きざまにバランスを崩してしまう)
  • 歩くときは無理せずにステッキ・杖などを使う
  • 手すり、スロープ、滑り止めなどできる範囲で家をバリアフリー化する(介護保険サービスの住宅改修が利用可能な場合も)
  • 動きやすい服装にする

関連記事:幻視が危険信号!レビー小体型認知症に見られる主な3つの症状

2-1-2.「3徴」以外の症状

2-1-2-1.認知機能障害や記憶障害とケア対策

レビー小体型認知症の認知機能障害

他の認知症と同様に、物忘れのような記憶障害や、判断力の欠如、注意力の散漫などが目立ってくるようになります。

認知機能の障害が見られる場合には、ゆっくりとしたスピードで話をするように気をつけましょう。

また、一度にたくさんのことを伝えたりせず、ひとつひとつ説明し、必要があれば繰り返し確認するようにしましょう。

運動をしたり、他人との交流がこういった認知機能障害の進行を和らげることもあるので、症状が落ち着いている間は、積極的に外出をしてもいいかもしれません。

2-1-2-2.レム睡眠行動障害とケア対策

レム睡眠行動障害

睡眠中に寝言とは思えないような大声を出したり、手足をバタバタと激しく動かしたりすることがあります。

症状が出たら、部屋を明るくし、起こしてあげるようにしましょう。

ただし、身体をゆすったり、叩いたりして無理に起こしてしまうと、夢と現実の区別がつかなくなってしまい、ひどく混乱してしまうことがあるので、懐中電灯を顔に当てるなどの工夫が必要です。

また、ベッドから落ちてケガなどしないように、ベッドの周りにクッションを置いたり、柵を設置したりしましょう。

転落しないように、布団に寝るのもひとつの方法です。

2-1-2-3.うつ症状とケア対策

うつのような症状が見られ、「元気がない」「食欲がない」ということがあります。

うつ症状は、レム睡眠行動障害と同様にレビー小体型認知症の最初期に見られる傾向があります。

これらの症状が同時期に確認されるようになった場合は、認知症の専門医に相談されることをおすすめします。

うつに対しては、絶対に本人の意思に反して無理をさせるようなことのないよう注意してください。

「がんばれ」「自分でやれ」などと対応しないようにしましょう。

関連記事:幻視が危険信号!レビー小体型認知症に見られる主な3つの症状

2-2.レビー小体型認知症の中期の症状

この段階になると、日常生活の中で支援を必要とする場面が出て(増えて)きます。

目を離せない状態が続くので、家族だけで面倒を見ている場合は無理をせず、ケアマネージャーなどに相談されることをおすすめします。

2-2-1.パーキンソン症状の悪化とケア対策

レビー小体型認知症のパーキンソン症状

歩行が困難になり、一人で外出しようとすると転倒してしまう危険性が高いです。

外出には付き添いが必須です。

また、付き添いをしても通行する道によっては困難に感じられることがあると思われますので、目的地までどのように向かうと負担が少ないのかを事前に考えておくことが大切です。

時には多少の遠回りをしてでも、負担の少ない方を選ぶようにしましょう。

2-2-2.認知機能障害の進行とケア対策

認知機能障害について、より悪化の傾向が見られます。徐々に認知機能が低下してしまう時間帯の方が長くなってきます。

この影響もあり、幻視で見た内容からネガティブな妄想をしてしまうことがあります。妄想に伴って暴れるようなこともあるので、注意が必要です。

本人の言うことを否定したり、動きを制止しようとしたりするのはかえって余計に興奮・混乱してしまう原因となりやすいため、できるかぎり見守ることが重要です。

ある程度の「慣れ」が必要になるかと思われますが、対応が困難と感じたら専門家に相談するようにしましょう。

2-3.レビー小体型認知症の末期の症状

認知機能障害が進行し、物事の判別などが非常に困難になるケースが多く見られます。

パーキンソン症状の影響もあり、車いす生活や寝たきり生活になってしまうこともあります。

末期に症状が重くなることが多いため、場合によっては入院して治療を行うことも。

この段階になると家族が行えるケアは生活の支援などに限定されるかもしれません。

3.レビー小体型認知症の予後

レビー小体型認知症の予後

レビー小体型認知症の平均的な罹患期間は3~7年程度と幅はあるものの、他の認知症に比べて短い傾向があることが確認されています。

ただし、寿命まで初期症状のままであるケースもあれば、1~2年で症状が一気に悪化してしまうケースもあるため、非常に個人差があるといえます。

少なくとも早期に発見、対策することで進行の緩和は見込めますので、小さな変化も見過ごさず、専門家・専門機関に相談するようにしましょう。

4.まとめ

レビー小体型認知症の進行と予後について見てきました。

ケアのポイントは、「本人の意思の尊重」です。

無理はさせず、否定をせず、共感・同意・協力を行っていけるようにし、少しでも困難に感じたり、ストレスを感じたりした場合は、他者の助けを借りることが本人や家族のためになることを覚えておきましょう。

働き盛り世代が万引きやモラハラ?ピック病の特徴・症状と状況に応じたケアとは

ピック病

ピック病について見ていきます。

「ピック病」は家族や周囲の人が驚いてしまうほどその人の人格を変えてしまう病気で、万引きや痴漢行為をするといった異常行動も見られます。

決定的な治療方法もないと言われているピック病に自分や家族がかかっていることを発見するために何をし、症状をどのように和らげることができるのでしょうか。

ピック病の症状や原因などの詳しい情報を確認した上で、早期発見や患者に対するケアといった対策について見ていきましょう。

1.ピック病とは?

ピック病で万引き?

ピック病とは、脳の前方にある前頭葉と横側にある側頭葉が萎縮する(やせてしまう)ことで引き起こされる神経変性の病気です。

人格や言動に障害が表れるのが特徴で、初老期(40~60歳)に起こりやすく、詳しい原因はいまのところ判明していません。

「前頭側頭型認知症」の一種と考えられているピック病は、アルツハイマー型認知症などと比較すると、社会的な認知度が極めて低く、初めて耳にされる方も少なくないでしょう。

また、現状では明確な診断基準がないため、実際にかかっても気づかれなかったり、場合によっては他の病気と誤診されてしまったりすることもあります。

参考:脳のピック病前頭側頭型認知症

2.ピック病の症状

2-1.人格障害

暴力性

  • 認知症の中で最も強い人格障害
  • 反社会的行動にも及ぶ
  • 栗田貫一さんもピック病が原因でモラル・ハラスメント?

ピック病の最も大きな特徴とも言うべきは人格障害です。

アルツハイマー型や脳血管性の認知症でも確認されることがありますが、ピック病の場合は非常にこの症状が強く表れます。

普段おとなしかった人が大声を出して騒がしくなったり、明るく社交的だった人がふさぎがちで部屋にひきこもってしまったり、と周囲から見ると急に変貌したかのように人格が変わってしまうことがあります。

また、一般的に反社会的ともとれる行動を起こすことも少なくありません。

周囲に暴言を吐いたり、万引きをしたり、痴漢をしたり、運転時に高速道路を逆走したり、といったことを悪気もなくしてしまいます。

それらについて注意する、咎めるなどしても、本人は気にも留めず、場合によって怒りだしてしまうこともあります。

ピック病患者は自分の病気に対する病識(病気であることの認識)がなく、かつ社会的な通念による「抑制」に対し無関心になるため、本能的な行動が目立つようになることが原因となっています。

残念ながら、社会全体にピック病に対する理解がないため、上記のような反社会行動によって、失職するなど社会的地位を失うケースもピック病の人には珍しくないと言われています。

声優、ものまねタレントとして知られる栗田貫一さんもテレビ番組でピック病の疑いがあると診断されました。

番組内では、栗田さんと妻・大沢さやかさん(女優)の生活の様子が取り上げられ、そこでは乱暴な言葉を浴びせたり、急に怒り出したりなど、「モラル・ハラスメント」と思われる言動が見られました。

他にも、いきなり車を購入するといった一見異常行動とも思える場面も。

脳検査の結果、「前頭側頭型認知症(ピック病)」の疑いがある、と診断されていました。

実際のところ罹患しているかどうかについてはわかりませんでしたが、栗田さんの様子は正にピック病の人に見られる障害に似たものでした。

2-2.行動障害(常同行動)

時間を気にする

  • 時刻表的生活
  • 滞続言語

ピック病では行動障害として「常同行動」の傾向が見られます。

常同行動とは、特定の行動や発言を何度も繰り返す状態のことを指し、手を叩くなどの単純な行動から、いつも同じものを持ちたがる、など繰り返される「行動」の範囲は非常に広いです。

この行動は自閉症患者や精神分裂症患者にも見られるため、誤解や誤診されるケースがあります。

常同行動の主だったものとして以下の2点が挙げられます。

  • 時刻表的生活

時刻表的生活とは、毎日「時刻表通り」のように決まった時間に決まった行動をすることです。

時間軸は分や時間単位のケースもあれば、「木曜日はお昼に近くのパン屋でフランスパンを買ってくる」といった曜日で考えるという場合もあります。

  • 滞続言語

滞続言語も常同行動に見られる特有の症状です。

滞続言語とは、話の流れや質問に関係なく同じフレーズ(単語、文章など)を繰り返す症状を指します。

参考:脱抑制行動、常同行動

2-3.失語症症状(進行性失語症)

ピック病では、失語症の症状が表れることがあります。

スムーズに言葉が出てこず、そういった機会が徐々に増えていきます。

2-4.ピック病のその他の症状

その他の症状

  • 意味性認知症
  • 自発性の低下
  • 注意の転動性の亢進、維持困難(影響されやすい)

ピック病では上記のような症状も現れます。

意味性認知症では、言葉の意味がわからなくなってしまったり、物の名前がわからなくなったりします。

自発性の低下により、常同行動以外には何もしなくなることがあり、また、質問を投げかけても特に考えることなく「適当に」答えるような場合があります。

また、注意がそれやすく、外部からの刺激にすぐ反応してしまい、他者が話したことをオウム返ししたり、書いてある文字を読み上げたり、外部の刺激が無くても、落ち着いていられないということもあります。

このように様々な症状がピック病では発症します。

3.ピック病の症状段階

ピック病の経過

3-1.ピック病の初期症状

常同行動や人格障害は、発症初期の頃から目立ちます。

これらを止めようとすると怒りだして、暴力を振るったりすることもあるため、この病気について知っていればわかりやすいとも言えるかもしれません。

ピック病の疑いがある場合は、早期に専門機関に相談されることをおすすめします。

3-2.ピック病の中期以降の症状

ピック病が進行するにつれ、自発性の低下が顕著になり、活動性や意欲が無くなっていきます。

対して、初期症状としてみられた、粗暴な言動は減っていきます。

常同行動は続きますが、複雑な行動が減っていき、単純行動の反復が増えていきます。

徐々に運動機能も低下していくため、何もせず寝たままで一日を過ごすようになっていきます。

4.ピック病の治療方法

具体的な治療法や、進行を抑えるための薬は現状ではありません。

一般的には対症療法として、行動障害の症状を抑えるために抗うつ薬や抗精神病薬を利用することは多くあります。

参考:脳のピック病

5.ピック病の原因

前頭葉と側頭葉

「ピック球」と呼ばれる異常な構造物が神経細胞内に溜まっていくという状態が確認されますが、ピック病の詳しい原因というのは判明していません。

アルツハイマー型認知症が少しずつ病気の原因が解明されているのに対して、ピック病はピック球以外の特徴的な病理がないため、研究が遅れています。

5-1.診断基準がなく、誤診されやすい

日本国内にピック病の人は約1万人いると推定されていますが、明確な診断基準がなく、誤診が多い病気であるため、実際にはもっと多いとも考えられています。

アルツハイマー型認知症や、うつ病、統合失調症と誤診されるケースがあり、適切ではない治療を受けることで症状の進行を早めてしまう可能性が危惧されています。

5-2.若年層に多い傾向

働き盛りともいえる40代~50代に発症するケースが多く、他の認知症と比較すると、若年層に多いと言えます。

6.ピック病と他の認知症との違い

ピック病と他の認知症ではどのような違いがあるのか、確認してみましょう。

6-1.症状の違い

症状の違い

症状の違いとしては、特に「人格障害」が大きく目立ちます。

時に反社会的な行動をとってしまうこともあり、周囲からは「人が変わった」と見られることが少なくありません。

他の認知症では「もの忘れ」が顕著に出るケースが多いですが、ピック病の場合はあまり目立ちません。

参考:アルツハイマー型認知症の7つの進行段階とその症状幻視が危険信号!レビー小体型認知症に見られる主な3つの症状

6-2.病気の部位

脳の前頭葉や側頭葉に萎縮が起きることが特徴です。

ほぼ同義と考えられていますが、ピック病は「前頭側頭型認知症」の一つであるとされています。

7.ピック病になりやすい人

中年期の男女

7-1.ピック病の平均発症年齢は49歳

40代~60代の働き盛りの世代に多く見られ、平均発症年齢は49歳です。

7-2.ピック病に性差は見られない

他の認知症に性差があるのとは異なり、ピック病に性差はほぼ見られません。

7-3.ピック病は遺伝する?

日本ではピック病の家族歴(患者の家族や近親者の病歴)はほとんど確認されていませんが、海外では家族歴を認めるケースがあり、判断がわかれるところです。

ただし、家族同士は生活環境・生活様式が非常に似通っていることが多いので、そのことが影響している可能性も否定できません。

8.ピック病と介護~家族がピック病になったら~

家族のケア

8-1.ピック病の「人格障害」へのケア

行動はワンパターンであることが多いため、2回目以降は行動の予測がしやすいです。

一人での外出はさせないようにし、問題行動を起こす場所では先回りして周囲に理解をもらうようにしましょう。

周囲に暴力などの迷惑行為をはたらくようなことでもないかぎり、本人の行動を遮るようなことはせずに、見守るようにしましょう。止めようとすると、かえって興奮させてしまうことになります。

また、外部からの刺激に非常に「影響されやすい」ため、こちらが感情的になってしまうと、さらに興奮してしまう可能性が高いです。

ピック病の人を寛容に受け入れる姿勢が重要と言えるでしょう。

8-2.ピック病の「常同行動」へのケア

常同行動は遮ったり乱したりしなければ、むしろスケジュール通りに規則正しく過ごせるため、本人のためにもなるとも言えます。

本人の常同行動にうまく合致するように、作業的な日課を用意してあげて、うまく同じような行動を続けてもらうようにしましょう。

「気分転換に」と言って、色々なところに連れ出したり、新しいことをさせたりすると、急激な変化や刺激に弱いので、機嫌が悪くなるなどピック病の人にとってあまり良くありません。

いい意味で常同行動を「利用」しましょう。

8-3.決して無理はしない

ピック病は、前述の通り、暴言を吐く、暴力をふるうなどの激しい言動が見られる傾向もあるため、介護者にとっても非常に負担となります。

決して無理はしないようにし、デイサービスや老人ホームの短期入所を利用したり、ケアマネージャーに来てもらったりするなど、外部の施設やサービスにお願いすることも選択肢の一つに入れるようにしましょう。

9.ピック病の早期発見のためにできること

できること

ピック病の初期症状で見られる常同行動や人格障害、粗暴な言動は、他の認知症と比較すると表に出る症状としてわかりやすいとも言えます。

自分の家族や周囲の人が、いままでとまるで変わってしまったように感じられたら、できるかぎり早い段階で病院、専門機関に相談するようにしましょう。

10.まとめ

ピック病について見てきました。

この記事のまとめ

1.ピック病は若年層に見られ、診断基準が曖昧なために他の病気と誤診されやすいという特徴を持つ

 

2.ピック病では人格障害・行動障害・失語症などの症状が見られる

 

3.ピック病では人格障害や行動障害に合せた理解・ケアと、決して無理はしない(させない)という姿勢が重要

ピック病を知らない人からすれば驚くような症状ですが、知っていることで対処もしやすくなるのではないでしょうか。

また、遠慮せずに専門家の意見を聞くようにしましょう。

参考:
http://www.aricept.jp/alzheimer/e-clinician/vol59/no608/sp06_02.html
http://www.kikuchi-nhp.jp/pdf/monowasure_gairai/monowasure_gairai2.pdf
http://www.ninchisho.jp/kind/04.html
http://www.juntendo-koshigaya.jp/clinic/neurology/ftd.html
http://www.tyojyu.or.jp/hp/page000000300/hpg000000264.htm
http://www.hochi.co.jp/entertainment/20150511-OHT1T50112.html
http://www.benesse-kaigo.jp/kaigo-chie/vol12

レビー小体型認知症とは?第二の認知症と呼ばれる病

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症について見ていきます。

高齢化の進む日本では年々認知症の人が増えている傾向があります。

その中でもアルツハイマー型認知症に次いで患者数が多いといわれ、「第二の認知症」とも呼ばれる「レビー小体型認知症」という病気が注目されていますが、まだまだ病名も知らない人が多いのが現状です。

そこで、レビー小体型認知症について、

  • レビー小体型認知症とは?(概要)
  • 前触れ・前兆
  • 症状・特徴
  • 原因
  • 進行
  • 治療・改善策
  • 周囲の対応

を解説していきます。

レビー小体型認知症を知るために、気になる点だけでも確認してもらえればと思います。

1.レビー小体型認知症とは?

レビー小体型認知症ってなに?

認知症やアルツハイマーといった単語は聞いたことがあっても、「レビー小体型」については初めて耳にするという方も多いと思われます。

他の認知症にも見られるような症状もあり、「気づかれにくく」「誤解や誤診をされやすい」認知症です。

しかし、実態としては患者数が非常に多いため、レビー小体型認知症の存在を広め、早期発見が行われるようにすることが望まれています。

この「レビー小体」とは、脳に特殊な変化によって溜まってしまうたんぱく質のことです。

このレビー小体は運動機能障害を引き起こすパーキンソン病の人にも見られるものですが、パーキンソン病の場合は脳幹の一部でのみ見られるのに対し、レビー小体型認知症では認知機能を司る大脳皮質全体に出現します。

その症状の特徴からアルツハイマー型の認知症や、パーキンソン病と間違えられるケースもあります。

1-1.どんな人がレビー小体型認知症になりやすい?

レビー小体型認知症は、

  • 75から80歳(が多い)
  • 男性の方が多い(女性の2倍程度の患者)

といった傾向があります。

関連記事:確認しておきたいレビー小体型認知症の原因と症状

1-2.三大認知症とそれぞれの違いとは?

患者数の多い「アルツハイマー型認知症」「レビー小体型認知症」「脳血管性認知症」を指して三大認知症と呼ぶことがあります。

これら3つの認知症で認知症患者全体の約85%にもなるといわれています。

認知症の割合

それぞれの認知症の違いは以下の通りです。

  レビー小体型認知症 アルツハイマー型認知症 脳血管性認知症
割合 20% 50% 15%
性差 男性に多い 女性に多い 男性に多い
年齢 75~80歳 65歳~ 50歳~
特徴
  • 認知機能の動揺(変動)
  • 幻視
  • パーキンソン症状
  • 物忘れが多い
  • 人格が変わることがある
  • 脳に萎縮が見られる
  • 過去の脳梗塞が原因になりやすい
  • まだら認知症
  • 片麻痺や神経障害

2.レビー小体型認知症の3つの症状・特徴

レビー小体型認知症には、

  • 認知機能の動揺
  • 幻視・幻覚
  • 運動機能障害

といった特徴的な主だった症状があります。

それぞれの症状について解説していきます。

関連記事:幻視が危険信号!レビー小体型認知症に見られる主な3つの症状

2-1.認知機能の動揺

脳のイメージ

頻度が高い症状で、頭がはっきりしている状態と、ボーッとしている状態を日に何度も繰り返したりします。

判断能力や注意力の低下が見られます。

2-2.リアルな幻視や幻覚

レビー小体型認知症のもっとも特異な症状としてこの幻視・幻覚が挙げられます。

これらはアルツハイマー型でも見られますが、レビー小体型認知症の場合は「布団の周りを5人の人が囲んでいる」といった、本人には現実としか思えないような、かなりリアルな幻視症状が見られます。

また、アルツハイマー型の場合は幻視症状は発症後期から出る場合が多いですが、レビー小体型では初期症状として表れます。

2-3.運動機能障害(パーキンソン症状)

パーキンソン病に似た症状が表れます。

具体的には、

  • 手足の震え
  • 動作が遅くなる
  • 筋肉がこわばる
  • バランスが悪くなる
  • 転倒が多くなる

といった症状です。

寝たきりになってしまうこともあります。

2-4.その他の主だった症状

レビー小体型認知症の精神症状

2-4-1.精神症状

気分・態度の起伏が激しく、普段通りの状態から急に無気力になったり、興奮・錯乱状態になったりということを1日の中で何度も繰り返します。

2-4-2.自律神経障害

自律神経に障害が出るため、失禁してしまったり、便秘になったりしやすくなります。

また、起立性低血圧を起こしやすく、立ちくらみやひどい場合には失神してしまうこともあります。

3.レビー小体型認知症の治療と改善策

薬のイメージ

  • 薬での治療
  • 薬以外の改善策

レビー小体型認知症の特徴として、「薬に過敏になってしまう」ということがあります。

そのため、薬量の加減や併用が非常に難しく、処方の際は医師によく相談することが肝要です。

関連記事:レビー小体型認知症に治療方法はある?どんな薬があるのか?

3-1.レビー小体型認知症に効果的なアリセプト

レビー小体型認知症を完全に治す、進行を止める特効薬はいまのところありません。

しかし、アリセプト(コリンエステラーゼ阻害薬)というアルツハイマー型認知症に用いられていた薬が、レビー小体型認知症にも効果があることがわかっています。

特に認知機能の低下・変動、幻視症状に対して有効と考えられていて、2014年9月よりレビー小体型認知症の治療薬として保険が適用となっています。

ただし、副作用によって怒りっぽくなるなど攻撃性が増す場合や、認知機能の低下が進んでしまうということもあるようなので、処方医とはその量なども含めてちゃんと相談するようにしましょう。

関連記事:認知症患者の3分の2に有効な薬?アリセプトとは?

3-2.各症状に応じた薬での緩和も可能

パーキンソン症状には抗パーキンソン病薬、自律神経障害には血圧コントロールが用いられることがあります。

ただし、薬量の加減や併用については調節が難しいため、専門医と相談しましょう。

3-3.薬以外の治療

軽い運動

疲れない程度の軽い運動を行うことで、自律神経障害を和らげる効果があるとも。

また、昼間に身体を動かし夜間に睡眠をきちんととることで、夜に表れやすい幻視症状を避けることにもつながります。

また、周辺症状については積極的な社会参加によって改善が見られることもあるので、デイサービスや「認知症カフェ」を訪れるというのも一つの手段と言えるでしょう。

4.レビー小体型認知症の人に対して家族ができる対応・介護

レビー小体型認知症の人に対して、家族や周りの人がどのように対応していけば良いのでしょうか?

幻視、認知機能の変動、パーキンソン症状といった症状ごとに対応方法を見ていきます。

関連記事:レビー小体型認知症の3つの進行段階と予後|初期~中期~末期

4-1.「幻視」に対する対応・介護

panic

  • 本人には幻視が「現実」、否定はしない
  • 室内環境を整える

幻視が見えたり、話の内容が間違っていたりしても、認知症の人にとってはそれが「現実」という認識です。むやみに否定してしまうと、怒ってしまったり、こちらからのお願いに非協力的になってしまったりと悪影響しかありません。

まずは話に付き合い、不安を取り除いてあげることが先決です。「知らない人がいる」と言うのであれば、「申し訳ないのですが、家を間違っていますので、帰ってもらえますか?」と玄関まで誘導したりなど、話の内容に合わせましょう。

夕方以降の薄暗いときに不安が増大し、幻視をすることが増えます。部屋だけでなく廊下など家の中全体を極力明るく保てるようにしてみましょう。

また、室内で色が目立つものも幻視の原因となることが多いので、レビー小体型認知症の人が過ごす居室や寝室にものをあまり置かないようにしましょう。

4-2.「認知機能の変動」に対する対応・介護

  • 状態の悪いときはそっとしておく
  • 規則正しい生活を送る

しっかりしているときと、別人のように反応がないときがあります。

状態が優れないときにはできるだけそっとしておくようにしましょう。

そのために、いまどちらの状態にあるのか、ということを把握できるように普段から観察しておきましょう。

いずれの症状も疲れたり不安を感じる夜に起きやすいです。

夜の時間を短くできるよう、規則正しく早寝早起きをして、早めに就寝できるような生活を心がけましょう。

早寝のためにも、健康状態を維持するためにも、適度な運動は大事なことです。

4-3.「パーキンソン症状・自律神経障害」に対する対応・介護

  • できる範囲でバリアフリーを
  • 特に注意すべきは階段・風呂・トイレ

ちょっとしたものでもつまづきやすくなったり、よけるのが苦痛に感じられてしまいます。

家の中に生活する上で「障害物」となるものはないか確認し、取り除けるようにしましょう。

可能であれば手すりをつけたり、玄関先にスロープを設置するのも良いでしょう。

また、レビー小体型認知症は運動機能が低下しているのみならず、起立性低血圧(立ちくらみ)による転倒も考えられるため、入浴後や排泄後にも注意してみてあげることが重要です。

4-4.限界まで無理をしない

症状が進行するにつれ、家族や周囲の支援なしには生活ができなくなってきます。

それに応じて、家族の介助・介護の負担も増していくことでしょう。

「自分の家族なのだから自分の手で助けたい」という気持ちはすばらしいかもしれませんが、介助・介護する側の人間が疲弊してしまっては元も子もありません。

限界が来る前に各種専門機関に相談するようにし、決して無理はしないようにしましょう。

5.レビー小体型認知症の前触れ・前兆

レビー小体型認知症の前兆として表れるのは、

  • 睡眠時の異常(大きな寝言、手足の激しい動き)
  • うつ症状

といった症状です。

特に睡眠時の異常は、レビー小体型認知症を発症する10年以上前から表れるケースもあるとのことです。

まるで起きて興奮しているかのような行動をとっているにもかかわらず、本人に記憶がない場合などは医師の診断を受けた方が良いでしょう。

6.レビー小体型認知症の原因

レビー小体型認知症のはっきりとした原因はいまのところわかっていません。

レビー小体型認知症は、大脳皮質に「レビー小体」という異常なタンパク質が蓄積することで発症することは解明されていますが、なぜ「レビー小体が蓄積するのか」が判明していないためです。

仮説として、加齢によって、

  • ミトコンドリアに異常が起こる
  • 遺伝子が損傷する

などが考えられていますが、まだ研究段階です。

関連記事:確認しておきたいレビー小体型認知症の原因と症状

7.認知症は早期発見が重要

認知症の症状の改善や進行を防ぐためには早く気づくことが非常に重要です。

早期発見によってケアプランも早く立てることができ、環境を整えるということにも寄与します。

7-1.早期発見するには?

先に挙げた「3徴」の傾向が見られたら、レビー小体型認知症の疑いがあると考えられます。

7-2.「レビー小体型認知症なのでは?」と思ったらすぐ診断

認知症の専門の窓口に相談されることをおすすめします。

未だ医師の中でもその症状や対応方法について詳しく広まっていないという事情もあり、誤った診断を受けてしまう可能性も否定できません。

全国に設置されている「認知症疾患医療センター」や、「地域包括支援センター」の窓口に相談しましょう。

自分の住む地域から近い専門機関がわからない場合は、市区町村などの自治体の窓口に相談すれば紹介してもらえます。

8.レビー小体型認知症の進行

レビー小体型認知症の初期から後期にかけて、症状には以下のような移り変わりがあります。

関連記事:レビー小体型認知症の3つの進行段階と予後|初期~中期~末期

8-1.レビー小体型認知症の初期に見られる傾向「3徴」

レビー小体型認知症の3徴

レビー小体型認知症の3つの特徴的な症状(1.認知機能の動揺 2.幻視症状 3.運動機能障害[パーキンソン症状])を指し、「3徴」ともいいます。

この3徴は比較的初期から見られる症状です。

3つの内、2つ以上に当てはまる場合はレビー小体型認知症を疑ったほうが良いでしょう。

また、3徴以外では以下のような症状も見られます。

  • レム睡眠行動障害…睡眠中に大声で寝言を言ったり、手足を激しく動かしたりする
  • うつ症状…うつのような症状が見られ、「元気がない」「食欲がない」
  • 便秘…自律神経に障害が出るため、がんこな便秘にかかってしまう

8-2.レビー小体型認知症の中期に見られる傾向

中期の段階になると、日常生活の中で他者の支援を必要とする場面が出て(増えて)きます。

  • パーキンソン症状の悪化…歩行が困難になり、一人で外出しようとすると転倒の危険が増える
  • 認知機能低下の時間が長くなる…認知機能の変動についてより悪化の傾向が見られる

8-3.レビー小体型認知症の後期に見られる傾向

パーキンソン症状が悪化し、車いすを必要とするケースが多くなります。

また、認知機能は常に悪い状態となってしまいます。常に介助が必要な状態です。

9.まとめ

レビー小体型認知症について見てきました。

レビー小体型認知症の7つのポイント
●概要
●前触れ・前兆
●症状・特徴
●原因
●進行
●治療・改善策
●周囲の対応

レビー小体型認知症について知り、その進行段階に応じた対応ができるようにしていきましょう。

認知症カフェとは?認知症の人と家族が行く15のメリット

認知症カフェでの交流

認知症カフェについて見ていきます。

認知症になると、認知症の人からは「出かける自信がない」、家族からは「どこに連れて行っていいかわからない」といった意見が聞かれることもあるようです。

このような悩みに対する一助として「認知症カフェ」というものが登場しました。多くの方の外出のきっかけになっています。

認知症の人と家族が認知症カフェに出向き、お互いの介護生活をオープンに話すことで地域での助け合いが生まれているからです。

1.認知症になると出かけたくなくなってしまう?

認知症が原因で出かけるのがおっくうになる

  • 外出先での失敗経験が不安
  • 周囲への遠慮
  • 不安が外出したい気持ちを抑えてしまう

認知症の人の中には、外出先での失敗などを経験してしまうと、「また同じようなこと繰り返してしまうのでは?」という不安を感じてしまったり、周囲(家族や外出先)への申し訳なさや遠慮を感じてしまったりして、外出そのものが嫌になってしまうという方もすくなくありません。

面倒を見る家族としても、ひきこもったままはよくないだろうと、「○○に行かない?」と趣味の場に誘ってはみるものの、なかなか気乗りしないようで、外出する不安や怖さの方が心理的に上回ってしまう、ということもあるようです。

病院であれば、ある種の仲間がいたり、そこに医療の専門家たちが揃っているので、なんとか重い腰を上げてくれるものの、もっと他にどこか日常的に気兼ねなく出かけられるようなところはないか、と認知症の人だけでなく、その家族も頭を悩ませています。

そこで近年注目されつつあるのが「認知症カフェ」です。

2.認知症カフェと急増の背景・目的とは?

では、「認知症カフェ」とはいったいなんのための、どんなものなのでしょうか?

2-1.認知症カフェとは?

認知症カフェで仲間をつくる

  • 認知症の人、家族、専門家、地域住民が集う場
  • 交流や情報交換が主な目的
  • 定期的なイベント的開催のケースが多い
  • 参加費数百円~2000円程度

認知症カフェは、認知症の人やその家族、各専門家や地域住民が集う場として提供され、お互いに交流をしたり、情報交換をしたりすることを目的として近年急増しています。

認知症の人が「スタッフ」として、コーヒーや軽食をふるまうこともあり、自分の存在意義を確認するという役割も果たしています。

カフェといっても現状では、一般的なカフェのように営業するのではなく、月数回の定期イベントとして開催されるケースが多いです。

場所は主催者の自宅などの民家や、各種レンタルスペースなどを借りて実施されることが多く、参加費も数百円~2000円程度のところが多いです。

2-2.認知症カフェ急増の背景・目的は?

コーヒーを飲む2人

  • 高齢者の絶対数が増え、認知症の人が増えた
  • 今後も高齢者の数は増えるため、認知症の人も増えることが懸念されている
  • 対策として厚生労働省は新オレンジプランを策定した

現在、日本では軽度認知障害を含めると、約800万人ほどの認知症高齢者がいるとも言われています。国民の約15人に1人、65歳以上の高齢者の4人に1人が認知症の人ということになります。

今後、高齢化が進む中で、認知症の人がさらに増加することが懸念されるため、彼らに対する支援として、厚生労働省が「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」を策定しました。

この新オレンジプラン内の一施策として、認知症カフェの設置を挙げています。

2-3.新オレンジプランとは?

新オレンジプランでは、

「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す」

ということを基本的な考え方としていて、策定にあたっては認知症の人やその家族といった関係者から広く意見を取り入れています。

そして、新オレンジプランでは具体的な施策として、以下の「7つの柱」を置いています。

  1. 認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
  2. 認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
  3. 若年性認知症施策の強化
  4. 認知症の人の介護者への支援
  5. 認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
  6. 認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進
  7. 認知症の人やその家族の視点の重視

この中の、「認知症の人の介護者への支援」の中で、認知症カフェの設置を推進していく予定となっています。

参考:認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)

2-4.海外で始まった認知症カフェ

海外の認知症カフェ

認知症カフェはイギリスの「メモリーカフェ」、オランダの「アルツハイマーカフェ」などを参考に設計されています。

認知症に対して具体的な国家戦略を持ち、認知症ケア先進国とも言える両国では、「認知症カフェ」が認知症の人たちの社会に参画するための場として大きな役割を担っています。

3.認知症カフェの15のメリット

認知症カフェに行くことで認知症の人、そしてその家族が得られる15個のメリットをそれぞれ見ていきましょう。

3-1.主に認知症の人が認知症カフェで得られるメリット

パソコンを見ながら楽しげに話す人たち

3-1-1.本音で話せる

健常者と会話するとなると、「認知症について触れるべきか触れないべきか」、もしくは「できれば話したくないな」などと思うこともあるでしょう。

しかし、お互いに認知症の人だとわかっていれば、自分の症状について話すことについてもあまり抵抗がなくなりますよね。極端な話、自分の失敗談ですら同じ仲間の中であれば笑い話として披露できてしまうものなのかもしれません。

3-1-2.さまざまな情報を受け取れる

お互いの経験を聞けるわけですから、自分ひとりで実際に経験するよりも多くのことを学ぶことができるはずです。

「ここはいいよ」「あそこは危ないよ」などと話している内に外への興味もわいてきて、自然と普段も外出したい、という気持ちになるかもしれません。

3-1-3.心理的な不安の軽減、心のよりどころ

同じ仲間がいるというのはそれだけで不安をやわらげるものです。

そして、次第に「ここに来れば本音で話せるし、同じ悩みを分かち合える」と心のよりどころにもなりえるでしょう。

3-1-4.単純な娯楽として

みんなで世間話をする、音楽を聴く、歌をうたう、料理をする……というような活動をする、運動をすることは気持ちを明るくさせる娯楽になります。

「楽しいから来たい」

それだって十分な理由ですよね。

趣味仲間同士で向き合う

3-1-5.趣味の発見

人と一緒に活動をすることで、いつしかそれが趣味につながるかもしれません。何か熱中するものがあるというのは、脳の働きを活発にするので、認知症の人にとって非常に良いことであるといえるでしょう。

3-1-6.地域や社会との関わり

引きこもったままの生活を続けていると、自分(たち)がその地域や社会から孤立してしまっているような感覚におそわれることがあります。

孤独が不安を呼び、不安が孤独を呼ぶという悪循環を繰り返してしまいます。

「認知症カフェ」を訪れ、他人と会話をし、同じ空間を共有することで、その地域に、社会に、「自分がいるんだ」と改めて認識することができます。

また、「認知症カフェ」では自分がコーヒーやお茶菓子を提供する側にまわることもできるため、他者への貢献を感じることもできます。

3-1-7.友人や仲間ができる

同じ悩みを共有する人たちと、交友関係を深め、情報の交換をしたり、お互いに安否確認をしたり、カフェの外でも同じ趣味を楽しんだり、などといったこともできます。

3-1-8.支援し(助け)てくれる人がいるという気づき

「認知症カフェ」では医療従事者やケアマネージャー、認知症サポーターなどの専門家、または民間のボランティアに出会うでしょう。

家にこもっているとどうしても孤独を感じ、「自分を助けてくれる人などいないのではないか」などと考えてしまいがちですが、カフェを訪れることで自分のことを喜んで助けてくれようとする彼らの存在に気づけるわけです。

3-1-9.専門家(医療従事者、ケアマネージャーなど)とのつながり

医療関係者たちと高齢者

医療や介護の専門家とつながりを持つことは非常に重要で、「認知症カフェ」を継続的に訪れることで、適切な医療・行政のサービスについて提案してもらうことができるでしょう。

3-1-10.各種症状等の早期発見・診断

専門家はちょっとした違いや異変にも気づいてくれることがあるため、重症化しかねない兆候を早期に発見し、その後の適切な処置につなげることができるかもしれません。

また、顔を合わせ会話をすることが、心身の状態を把握するための診断にもなります。

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3-1-11.生き生きとした生活が送れる

不安を取り除き、楽しみを得ることができるので、少なからず生き生きとした毎日の生活につながっていくことでしょう。

3-1-12.認知症の進行を遅らせる

人との触れ合いや、娯楽、刺激などを得ることによって、認知症の予防になったり、進行を遅らせる効果があったりするのではないかと考えられています。

関連記事:アルツハイマー型認知症の7つの進行段階とその症状レビー小体型認知症の3つの進行段階と予後|初期~中期~末期

3-2.主に認知症の人の家族が認知症カフェで得られるメリット

3-2-1.家族同士の情報交換

老人ホーム

認知症の人の家族を持つもの同士の有益な情報交換ができるかもしれません。

普段、自分は何の気なしにしていることも、他の家族からすれば「なるほど」と思うようなこともきっとあるでしょう。

3-2-2.家族の(心理的)負担軽減

「辛い思いをしているのは自分たちだけではないんだ」と感じられるだけでも、心がスッと楽になるのではないでしょうか。

3-2-3.家族の介護についての専門家への相談

「認知症カフェ」には医療・介護の専門家も参加するケースが多いため、今後認知症の人である家族をどのように介護していったらいいか、など相談に乗ってもらったり、アドバイスを求めたりすることができます。

4.認知症カフェの今後の発展について

認知症の人を囲み笑顔の家族(娘と孫)

新オレンジプランでは「認知症カフェの設置」を掲げているため、今後も広がりをみせていくでしょう。

2018年(平成30年)にはすべての市町村に「認知症地域支援推進員」が配置されます。これに伴い、多くの地域で認知症の人や家族が参加できる場が増えていくことが期待されています。

5.まとめ

認知症カフェについて見てきました。

認知症カフェの15のメリット
■認知症の人のメリット
1.本音で話せる
2.さまざまな情報を受け取れる
3.心理的な不安の軽減、心のよりどころ
4.単純な娯楽として
5.趣味の発見
6.地域や社会との関わり
7.友人や仲間ができる
8.支援し(助け)てくれる人がいるという気づき
9.専門家(医療従事者、ケアマネージャーなど)とのつながり
10.各種症状等の早期発見・診断
11.生き生きとした生活が送れる
12.認知症の進行を遅らせる
■家族のメリット
13.家族同士の情報交換
14.家族の(心理的)負担軽減
15.家族の介護についての専門家への相談

超高齢社会となり、認知症の人が増加することが懸念される中、非常に重要な取り組みとして認知症カフェは注目されています。ぜひ一度参加されてみてはいかがでしょうか?

参考:
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12304500-Roukenkyoku-Ninchishougyakutaiboushitaisakusuishinshitsu/01_1.pdf
http://www.sakura-urban.jp/news/pdf/20130327.pdf
http://www.alzheimer.or.jp/webfile/cafe-web_0001.pdf