長寿のお祝いについて見ていきます。
世界一の長寿国日本では節目となる年齢をお祝いする「賀寿」というおもしろい文化があります。
ぜひ、家族やお知り合いの長寿のお祝いをしてあげるためにも、「何歳でお祝いするのか?」「どんな由来があるのか?」を知ってもらえればと思います。
目次(読みたいところまで移動できます)
1.賀寿(年祝い)とは?
賀寿というのは、「長寿のお祝いをすること」を指します。寿賀とも呼び、長生きを寿ぐ(ことほぐ)お祝いです。もっともポピュラーなものは「還暦」ですが、それ以外にもさまざまなお祝いがあります。
2.14種類の主な賀寿について
14種類ある「賀寿」の具体的な年齢と、その由来について解説します。
2-1.還暦
とてもポピュラーで広く知られている「還暦」も賀寿です。
2-1-1.還暦の年齢
還暦は数え年で61歳(満60歳)を指します。
2-1-2.還暦の由来
還暦の由来は、「干支が一周すること」からです。「干支(えと)」というのは、「十二支」と「十干」をあわせた考えです。
十二支は「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」のことで、馴染みのある方も多いでしょう。この十二支を「干支」と思われている方もいるかもしれません。
十干は「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」のことで、十二支と十干を組み合わせたものが「干支」です。
「干支」は暦や時刻などを表す際に昔から使われていました。
十二支と十干がちょうど一周し、生まれた年と同じになることから、「暦が還る」という「還暦」という名称がつけられました。
2-2.緑寿
緑寿は比較的最近生まれた言葉なので、初めて聞かれる方もいるかもしれません。
2-2-1.緑寿の年齢
緑寿の年齢は数え年で66歳(満65歳)です。
2-2-2.緑寿の由来
緑寿は、2002年に日本百貨店協会によって謳われるようになった概念です。かつては60歳以上が「高齢者」でしたが、現在では多くの人が健康なままこの年を迎えています。また、65歳で引退する、という人も増えてきました。
そのため、「現役は退いて、これから本格的に『高齢者』になる年」の境目として提唱されるようになったのです。
「緑」の字が当てられた理由はいくつかありますが、「緑緑寿」からきているともいわれています。
2-3.古希
次は「古希」についてみていきましょう。
2-3-1.古希の年齢
古希の年齢は数え年で70歳(満69歳)です。
2-3-2.古希の由来
古希は、唐時代の中国の詩人である杜甫(とほ)の詩の中の「人生七十古來稀(70年の人生を生きる人は、昔から稀である)」という句が由来とされています。
還暦では赤色のものを贈りますが、古希の場合は紫色のものを贈る習慣が多いようです。
2-4.喜寿
「喜」に「寿」と文字からも、おめでたさが伝わってくる賀寿ですね。
2-4-1.喜寿の年齢
喜寿の年齢は数え年で77歳(満76歳)です。
2-4-2.喜寿の由来
喜寿の「喜」は、楷書で書くと、「㐂」となります。これを分解すると、「七」「十」「七」になるところから、このような考えが生まれました。今でも、この略字を使っている飲食店などがありますね。
2-5.傘寿
漢字と賀寿の関係はとても深いです。それを表すのが、この「傘寿」でもあります。
2-5-1.傘寿の年齢
傘寿の年齢は80歳です。
2-5-2.傘寿の由来
傘寿もまた、喜寿と同じように、「もともとの漢字の略字」からきています。傘は、「仐」と略すことができます。これは、「八」「十」に見えることから、こう名付けられました。
2-6.半寿
「半寿」という言葉は、あまり聞きなれないものかもしれません。しかしこれにも言われがあります。
2-6-1.半寿の年齢
半寿の年齢は、81歳です。
2-6-2.半寿の由来
この言葉の由来は、次に紹介する「米寿」と同じで、「漢字の分解」からきています。「半」という漢字を分解させて反転した場合、「八」「十」「一」に分けられます。
2-7.米寿
「米」とつく米寿についてみていきましょう。
2-7-1.米寿の年齢
米寿の年齢は88歳です。
2-7-2.米寿の由来
子どものころ、「米粒には88人の神様がいるから、残したらバチがあたるよ」と言われた人もいるのではないでしょうか。この言葉と米寿の由来は同じです。
「米」という文字を分解し、上の部分を反転させると、「八」「十」「八」と読めます。そこからきています。
2-8.卒寿
これも、その由来の考え方は、喜寿などと同じです。
2-8-1.卒寿の年齢
卒寿の年齢は90歳です。
2-8-2.卒寿の由来
卒寿の「卒」という漢字は、「卆」という略字で表記されることがあります。喜寿などに比べるとシンプルで分かりやすいと思いますが、これを分解すると、「九」「十」に見えますよね。そこからきています。
2-9.白寿
今までの「分解形式」とは違い、クイズのような面白さを持つのが、この「白寿」です。年齢にまで目を通し、「どうして白寿になるのか」というのを少し考えてみてください。
2-9-1.白寿の年齢
白寿の年齢は99歳です。
2-9-2.白寿の由来
白寿の「白」は、何かの漢字に似ていると思いませんか? そう、「百」です。「百」から「一」の部分を取り除いたから、100-1で99、というわけです。
2-10-1.百寿
さて、次はいよいよ3桁。100歳のお祝いです。
2-10-1.百寿の年齢
上でも述べましたが、百寿の年齢は100歳です。
2-10-2.百寿の由来
これはとても想像しやすいのではないでしょうか。そのものずばり、ですが、百歳なので百寿です。ちなみに、百寿は「紀寿」とも書きますが、これは「一世紀分」からきています。
2-11.茶寿
百歳を超えてからも、賀寿はいろいろあります。それについてみていきます。
2-11-1.茶寿の年齢
茶寿の年齢は108歳です。
2-11-2.茶寿の由来
茶寿の由来も、今まで何回かお話してきた「分解方式」です。「茶」を分解すると、「十」「十」「八十八」に分けられるので、それをすべて足し算して、(10+10+88)108歳、というわけです。
ちなみに、「十」「十」は、くさかんむりのところです。
2-12-1.皇寿
何ともおめでたい漢字を冠するのが、この「皇寿」です。
2-12-2.皇寿の年齢
皇寿の年齢は111歳です。
2-12-3.皇寿の由来
「皇」を分解します。まず、上のところで「白」。これは、上記であげた白寿のお祝い同様、賀寿においては99歳の意味を持ちます。次に、下の「王」を、「一」「十」「一」に分解します。
これを足し算すると、99+1+10+1で111才となります。
2-13.大還暦
シンプルな考えに戻るのが、この「大還暦」です。
2-13-1.大還暦の年齢
大還暦の年齢は120歳です。
2-13-2.大還暦の由来
名前の通り還暦と関連していまして、干支が2巡するため、1周する「還暦」に「大」をつけて「大還暦です。
2-14.天寿
今までの賀寿とは少し違う意味合いを持つのが、この「天寿」です。
2-14-1.天寿の年齢
天寿の年齢は250歳です。
2-14-2.天寿の由来
250歳のお祝い、といっても、物理的に、そこまで生きられる人は皆無といってもよいでしょう。また、天寿という言葉は、それそのものが、「天から与えられた寿命」という意味を持ちます。
そのため、天寿は、「250歳のお祝い」という意味よりも、「(十分に長生きして)寿命まで生きて亡くなった」という弔いのあいさつなどに使われることが多いでしょう。「天寿をまっとうした」などの言葉は、よく耳にするものだと思います。
3.まとめ
長寿のお祝いについて見てきました。
賀寿の歴史は古く、奈良時代からだと言われています。そこには、大切な人の長生きを寿ぐ人々のやさしい思いがあふれています。
人生の節目に、誕生日のお祝いに、「賀寿」の文化を思い起こしてみるのもよいのではないでしょうか。