
肺炎について見ていきます。
肺炎は、その病名を聞いたことがない人がいないほど有名な病気だと思います。
ただ、肺炎について「風邪をこじらせたらなるもの」と勘違いしている人も多いのではないでしょうか?
また、肺炎が日本人の死因の第3位だと知っていましたか?
肺炎について知ってもらうために、
- 概要
- 症状
- 原因
- 検査・診断
- 治療
- 予防
について順に解説していきます。
肺炎とその怖さを理解し、少しでも予防のための行動をしてもらえたらと思います。
目次(読みたいところまで移動できます)
1.肺炎とは?
- 微生物が肺に入ることで感染
- 肺が炎症を起こしている状態
- 日本人の死亡原因の第3位
肺に細菌やウイルスなどの微生物が入り込んでしまうことで、肺が炎症を起こす状態を「肺炎」と呼びます。
通常は、身体に微生物が入り込んでも、抵抗力が働いて防御してくれるのですが、微生物の感染力が上回った場合、残念ながら肺炎となってしまいます。
肺炎は日本人の死亡原因の第3位になっていて、かつ肺炎で死亡する人の92%は65歳以上の高齢者であることがわかっています。
1-1.肺炎の種類
肺炎の種類は、
- 細菌性肺炎
- 非定型肺炎
- ウイルス性肺炎
の3種類にわかれます。
それぞれの病原微生物
- 細菌性肺炎……肺炎球菌・インフルエンザ菌・連鎖球菌
- 非定型肺炎……マイコプラズマ・クラミジア
- ウイルス性肺炎……インフルエンザウイルス・麻疹ウイルス・水痘ウイルス
もっとも多く見られるのは細菌性肺炎で、その中でも肺炎球菌による感染が多いとされています。
感染する環境によって、
- 市中肺炎……日常生活を送っている中でかかった肺炎など(適切な治療で完治する)
- 院内肺炎……他の病気で入院してからかかった肺炎など(死亡率が高い)
にわけられることもあります。
2.肺炎の症状
肺炎にかかった場合、以下のような症状が見られます。
- 痰がからんだせき(※非定型肺炎の場合は乾いたせき)
- 胸の痛み
- 38度以上の高熱
- 食欲不振
- 倦怠感
- 悪寒
- 息切れ
ひどい呼吸困難、チアノーゼ(顔やくちびるが紫色)、意識障害などが見られた場合、非常に重症度が高いといえます。
乳児や高齢者の場合、発熱が見られないことがあり、高熱でないからといって、肺炎でないとは言い切れません。
息切れを起こすだけ、というような単一の症状のみのケースもあるため、非常に見極めがむずかしいのだとか。
乳児や高齢者は一つでもそれらしき症状があらわれたら、すぐに医師の検査を受けた方が良いでしょう。
2-1.風邪との違い
肺炎は、風邪よりも症状が重いのが特徴です。
症状の大きな違いとしては、
- 呼吸が浅く、息切れしたり、速い呼吸になったりする
- 黄色・緑色・鉄さび色の痰が出る
- 38度以上の高熱が長く続く
などが挙げられます。
風邪のような症状が3~4日良くならず続いた場合は肺炎を疑った方が良いでしょう。
3.肺炎の原因
肺炎は風邪などと同様に、免疫力が低下している際に微生物に感染することで起こる病気です。
以下のような場合に感染しやすくなります。
- 風邪やインフルエンザで身体が弱っている
- 加齢による体力が低下している
また、高齢者は誤嚥(ごえん)によって細菌に感染し、肺炎になってしまうこともあります。※誤嚥とは、飲食物が間違って気管や肺に入ってしまうことです
3-1.肺炎球菌
- 肺炎の原因菌としてもっとも多い
- 空気中に普通に存在している
- 乳幼児や高齢者は特に注意が必要
市中肺炎(日常生活でかかる肺炎)の原因となる微生物でもっとも多いのは「肺炎球菌」で、実に全体の24.6%と4分の1を占めています。
肺炎球菌は空気中に季節を問わず存在していて、ヒトの鼻や喉につきやすい細菌です。
健康的な状態であれば感染を起こすことはありませんが、免疫機能が未熟な5歳未満の乳幼児や、免疫機能が低下している65歳以上の高齢者は肺炎球菌に感染しやすいといえます。
4.肺炎の検査・診断
- 呼吸音で判断がつく
- X線検査でほぼ確定する
- 原因菌を調べるには特別な検査が必要
肺炎は、胸に聴診器をあて呼吸音を聞くことで異常な音が確認できます。
そして、多くの場合、胸部のX線検査を行うことで肺炎であることが確定します。
その他にも、血液検査によって調べる場合や、原因となった微生物を調べるために喀痰(かくたん)検査や迅速検査を行うことがあります。
5.肺炎の治療
- 抗菌薬が中心
- 各症状に応じた薬物治療も行われる
- 安静にすることも重要
肺炎の原因である微生物を死滅させるための抗菌薬の投与が中心となります。
それ以外に、せきや熱などの各症状に応じた薬物によって治療が行われます。
また、体力や免疫力を高めるために安静にし、じっくり休息を得ることが治療、そして再発防止のために重要です。
6.肺炎を予防するには?
肺炎の予防のためには、以下の対策が有効です。
- 風邪・インフルエンザ予防……うがい・手洗い・マスク着用など
- 規則正しい生活……免疫低下を防ぐ
- 禁煙……細菌への抵抗力がつく
- 肺炎球菌ワクチンの接種……特に高齢者に有効
- まめに歯みがきやうがい…口腔内を清潔に保ち、誤嚥(ごえん)による感染を防ぐ
高齢者は表に症状が出にくい上に、死亡のリスクも高いので、できるだけ肺炎にならないように気をつかうことが肝要です。
65歳以上であれば、肺炎球菌とインフルエンザのワクチンは定期的に接種するようにしましょう。
65歳以上にかぎり、ワクチンの接種を助成制度で無料としている自治体があるので、お住まいの自治体について調べてみてください。
7.まとめ
肺炎について見てきました。
死に至ることもある恐ろしい病気ではありますが、普段から気をつけて暮らしていれば感染を防げる病です。
特に65歳以上の高齢者の方はワクチン接種による予防を怠らないようにしましょう。