
「老いてからはどこに住むか」という選択肢は、現在では非常に多くなっています。
今回は、代表的な14種類の介護施設について特徴をまとめました。
それぞれについてみていきましょう。
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1.「老後の住まい」としての施設・住宅
老後の住まいは、介護に特化したものから、シニア向けに工夫が凝らされた住宅まで、多岐にわたります。
介護の状況やライフスタイルにあわせて選びたいところです。
2.代表的な14種類の介護施設・高齢者住宅
特に代表的な14種類の介護施設・高齢者住宅について考えていきましょう。
2-1.老人ホーム
「老後の住まい」と聞いて、真っ先に思い浮かぶのがこの選択肢ではないでしょうか。しかし、一口に「老人ホーム」といっても、実はその種類はさまざまです。
2-1-1.有料老人ホーム
これはその名前の通り、有料の老人ホームです。基本的にはどのような団体が運営しているものであれ、費用は発生します。
しかし、一般的に、「有料老人ホーム」といった場合は、民間業者が運営しているものを指します。
2-1-1-1.①介護付き有料老人ホーム
認知症にも対応できる、介護付きの有料老人ホームです。
介護レベルが重度であっても入ることができ、しかも希望すれば比較的簡単に入ることができます。
ただし、料金は少々高め。
2-1-1-2.②住宅有料老人ホーム
軽度の認知症までは対応できたり、中程度の介護度には対応してくれたりするものです。
介護者が常駐しないため、費用は「介護付き有料老人ホーム」よりは若干お買い得。
その一方、症状が悪化した場合は、退去などを迫られることも。
2-1-1-3.③健康型有料老人ホーム
介護がまったくなされないわけではありませんが、基本的な考え方としては、「家事などの煩雑なことをスタッフに任せられる」というものがあります。
スポーツジムなどの設備が整っており、食事の世話などもしてもらえるため、どちらかというとホテルのイメージに近いかもしれません。
費用が高めですが、この形式の場合、「介護を必要としないこと」が基本となるため、重度の介護状態になってしまうと、退去が求められます。
2-1-2.軽費老人ホーム
民間ではなく、自治体などによって管理されている老人ホームです。
民間とは違い、補助金を受けることができるため、安い料金で利用できます。
2-1-2-1.④軽費老人ホームA型
軽費老人ホームは3つの種類があります。
いずれの場合でも、民間の有料老人ホームに比べればかなり割安です。
「A型」の方は、生活の見守りに加えて、食事の世話をお願いできます。
2-1-2-2.⑤軽費老人ホームB型
A型の場合、食事の世話をスタッフが行います。しかしB型の場合は、自分で賄うことになります。
その分、月額費用がとても安く、A型の費用の25%~50%で利用できます。
2-1-2-3.⑥軽費老人ホームC型(ケアハウス)
軽費老人ホームのなかでも、「ケアハウス」に分類されるものです。
一般型(自立はしているものの、一人で生活するには少し不安が残る人を対象とするもの)と介護型に分けられていますが、いずれも費用は安く、月額利用料は7万円~20万円程度です。
2-2.介護保険施設
日常生活において、何らかの手助けが必要となる人が主に利用する施設です。
2-2-1.⑦介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
介護度が進んでも退去を求められることなく住み続けられるのが、この「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」です。
なかなか入居できない代わりに、一度入ってしまえば長く利用することが可能です。
人生の最後の居場所としての利用価値が高く、初期費用も発生しません。
2-2-2.⑧介護老人保健施設
重度の介護が必要となる人であっても受け入れてもらえるのが最大のメリットです。
介護老人福祉施設同様、入居金は必要ありません。
また、医学的なケアもしっかりしてもらえる上に、利用料金は安いです。
ただし、3か月に1度というとても短いスパンで入居継続の可否が決められるため、長期の利用は難しいでしょう。
2-2-3.⑨介護療養型医療施設
重度の介護が求められる人でも入居可能です。
ただし、ここはあくまで「療養のための」施設であり、位置づけとしては「医療機関」にあたります。
医療機関である以上、状態が改善すれば退去する必要があります。
「病気で入院していたけれど、居心地がいいからずっといたい」というのはできない、と考えるとわかりやすいかもしれません。
2-2-4.⑩介護療養型老人保健施設
介護療養型老人保健施設はしばしば、「新型老健」とも呼ばれます。
流動食を管を使って摂取したり、痰を吸い出したりといった行為が可能です。
介護療養型医療施設との違いは、介護療養型老人保健施設の場合、「病院に入り、専門的な治療を必要とするほどではない人を対象としている」というところにあります。
2-2-5.認知症グループホーム
「グループホーム」という名称はさまざまなところで使われている単語ではありますが、主に認知症の方を対象とした施設を指すことが多いようです。
対象者が認知症の人なので、それに対する手厚いフォローが望めます。
認知症に関する知識なども豊富なスタッフがそろい、安心して任せられるでしょう。
関連記事:グループホームとはどんな施設なのか?8つのポイントから解説
2-3.⑫シニア向け分譲マンション
シニア向け分譲マンションとは便宜上の呼び方であり、明確な定義が存在するものではありません。
ただ、いずれの場合でも、「高齢者にとって住みやすいかどうか」を念頭に作られています。
家事を委託できたり、設備が整っていたりするため、要支援の段階の高齢者には住みやすいでしょう。
また、今まで紹介してきた施設とは違い、分譲型であるため、「資産」として運用することが可能です。
しかし、重度の介護には対応していないケースが多いです。
2-4.賃貸住宅
「シニア向け分譲マンションは確かにいいんだろうけれども、そんなお金はない」という人におすすめなのが、賃貸住宅です。
高齢者を対象としたものは、賃貸住宅であっても、高齢者が住みやすいようにという理念のもとで作られています。
2-4-1.⑬シルバーハウジング
シルバーハウジングは、公営住宅のうちの一つです。
バリアフリーになっているほか、緊急通報装置なども用意されています。
サービスに関しては、それぞれ特色があります。
デイサービスなどのような介護サービスを受けられるものもあれば、安否確認や「何かあったときに連絡したりサポートしたりする」という程度にとどまっているものもあります。
基本的には「介護施設」の位置づけではないので、要介護の度合いが進んだ人の場合は難しいでしょう。
また、「医療機関」でもないため、病院のような治療は受けられません。
2-4-2.⑭サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅は、非常に新しい考え方です。
このサービス付き高齢者向け住宅の登録が始まったのは、平成23年の10月です。
国土交通省と厚生労働省がとりまとめている「高齢者住まい法」によってスタ-トしました。
このサービス付き高齢者向け住宅は、
- 25㎡以上の広さであること(例外はあります)
- 基本的に、台所や水洗トイレ、バスルーム、洗面スペース、収納スペースが専有部分にあること
- 手すりが備え付けられていたり、段差がない床になっていたりするなど、バリアフリー構造になっていること
- 安否確認及び生活に関する相談を受けられるサービスがあること
- 専門家が建物内にいること(夜間は任意)
- 敷金や家賃、サービスに関する対価以外は発生しない
- 入居後3か月以内に退去や入居者の死亡があった場合、前払い金が返還されること
などの条件があります。
費用は設備によって大きく異なります。安いところから高いところまであるため、一概に「安い」とも「高い」とも言い切ることができません。
ただ、料金面でも選択肢が多いのは嬉しいポイントです。
このタイプの住居の場合、「サービスは受けられるけれども、そのサービスはあくまで『訪問介護』のレベルにとどまる」ということは覚えておかなければなりません。
常に介護スタッフがいて、きめ細やかな対応を望めるか、というとそうではありません。
これは、シルバーハウジングにも共通しているデメリットであり、シニア向け賃貸住宅の特徴と言えます。
3.まとめ
「老後の住居」というのは、主に14の種類に分けられます。
それぞれ特徴とメリット・デメリットがあるので、慎重に選ぶようにしましょう。今現在の状況も大切ですが、「今後のこと」や「費用」も考えて、後悔のない選択をしたいものです。