
パーキンソニズムについて見ていきます。
多くの人が、「パーキソン病」という言葉を耳にしたことがあると思います。今回は、このパーキンソン病と紐づけて語られることも多い、「パーキンソニズム」についてお話していこうと思います。
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1.パーキンソニズムとは?
まず、「パーキンソニズムとは何か」ということを考えていきましょう。パーキンソニズムとは、パーキンソン病と同じような症状が出るのですが、「その原因ははっきりとした、明確なものである」という特徴があります。パーキンソン病の方は原因が明らかではないので、この違いは非常に大きいと言えます。
2.薬の副作用による薬剤性パーキンソニズム
パーキンソニズムには、「薬剤性パーキンソニズム」と「脳血管性障害背パーキンソニズム」があります。今回は、前者の「薬剤性パーキンソニズム」についてのみ取り上げます。
2-1.主な原因
本来は体の調子を整える役目のある、「薬」の副作用によって起こるものです。ドーパミンの減少を担う薬(たとえば、妄想などを押さえるための抗精神薬など)を使うことによって、このパーキンソニズムは生じる危険性がある、と考えられています。必要以上にドーバミンの量を減らしてしまうことによって、副作用としてパーキンソニズムが起こりうるのです。
2-2.4つの特徴的症状
薬剤性パーキンソニズムには、4つの代表的な症状があります。
2-2-1.振戦(震え)
パーキンソニズムの代表的な症状のうちの一つが、「震え」です。主に出る箇所は「手」で、小刻みに震えることがあります。
2-2-2.固縮
筋肉が異常に緊張している状態です。この状態になると、「姿勢の維持」が極端な形ででてきます。たとえば、枕などに頭を預けているときに、枕を取り除いても、頭が布団に落ちることなく、そのままの状態で維持されます。
2-2-3.無動
表情が消え失せたり、体の動きが極めてゆっくりになったりします。動き自体が制御されてしまうので、「椅子からの立ち上がり」「歩行」もスピードダウンします。
2-2-4.姿勢保持障害
人間は、基本的には、「現在の姿勢を維持しよう」「転ばないようにしよう」という防御反応を持っています。そのため、私たちは、転びそうになったときとっさに手をついて、顔面や頭部への衝撃から体を防御する、ということができるのです。
しかしパーキンソニズムの場合、このような防御反応が間に合いません。立位の状態で前方から衝撃(胸をとんと押す、など)を与えた場合、健康な人ならば足を一歩引いて転ばないようにするのに、パーキンソニズムを患っていると、その動作が間に合わず、転んでしまいます。
3.症状の改善には?
薬剤性パーキンソニズムの場合、「薬」が原因ですから、薬をやめることによって回復します。回復に必要な基幹は、2か月~半年程度だと言われえています。ただし、この「投薬の中止」は、個人個人の判断によって行うべきではなく、薬を処方している医師に症状を訴えたうえで、服薬の継続―中止を決めるべきです。薬によっては、「中止することで、もっと大きな健康トラブルがおきるもの」というのも存在するからです。
4.まとめ
パーキンソニズムについて見てきました。
パーキンソニズムの4つの症状
1.振戦(震え)
2.固縮
3.無動
4.姿勢保持障害
パーキンソニズムとパーキンソン病は、「原因がはっきりしているか、それともはっきりしていないか」ということで分けられます。しかしその症状自体はほとんど同じであり、4つの代表的な症状を発症します。
薬剤性パーキンソニズムの場合、原因が「薬」ですから、薬の服用をやめることによって、症状は改善し、おさまります。しかし、ものが「薬」であるため、勝手にやめるのは厳禁です。必ず、かかりつけの医師に相談し、薬の服用中止やほかの薬への切り替えなどを指示してもらうようにしましょう。独断は絶対にやめるべきです。