アルツハイマー型認知症

アルツハイマーとは?250万人以上の患者がいる認知症

アルツハイマー

アルツハイマーについて見ていきます。

アルツハイマー型認知症は250万人の患者がいるといわれ、もっとも患者数の多い認知症とされています。

しかし、「アルツハイマー」という言葉は聞いたことがあっても、どんな認知症なのかについて知らない人も多いのではないでしょうか?

そこでアルツハイマー型認知症の

  • 概要
  • 前兆
  • 症状
  • 進行
  • 周囲の対応
  • 予防
  • 若年性アルツハイマー

について解説していきます。

気になる点だけ確認してもらうだけでも、アルツハイマー型認知症への理解につながるかと思います。

1.アルツハイマー型認知症とは?

  • もっとも患者数の多い認知症
  • 脳が萎縮する病気
  • 60歳以降に症状が現れる

認知症の中でもっとも患者数が多いとされており、脳の神経細胞が長期間にわたり死んでいき、脳全体が徐々に委縮していく病気です。

そのため、記憶や思考能力が徐々に損なわれ、最終的には単純作業を行う能力さえも失われます。

アルツハイマー型認知症患者のほとんどが60歳以降に初めて症状が現れます。

1-1.日本国内のアルツハイマー型認知症患者数の推移

アルツハイマー型認知症の患者数が増加

  • 患者数は250万人を超える
  • 高齢者の増加に伴い、患者数が増えている

国内のアルツハイマー型認知症患者数は、1995年126万人、2000年156万人、2005年189万人、2010年226万人と年々増え続けています。

2015年は250万人を突破。患者数262万人となりました。

さらに、高齢者人口の増加にともない、今後数十年でより多くの人がアルツハイマー型認知症になると予想されており、2035年には330万人を超えるとされています。

1-2.アルツハイマー型認知症の寿命

アルツハイマー型認知症の寿命は人それぞれ

  • 発症から10~15年以上
  • 人によって期間はさまざま

アルツハイマー型認知症は他の認知症と比較すると、進行がゆっくりとしているため、その寿命は発症から10~15年以上ともいわれています。

とはいえ、あくまで平均的な数値に過ぎず、人それぞれの状態や環境などによって大きく変わってきます。

また、80歳を過ぎてから発症した場合は3~4年といわれています。

2.アルツハイマー型認知症の前触れ・前兆

アルツハイマー型認知症の前触れ

  • 物忘れから始まる
  • 軽度認知障害(MCI)からアルツハイマー型認知症へ移行する
  • 発見は困難

多くのアルツハイマー型認知症は軽い物忘れから始まるといわれています。

認知症と診断される5~7年ほど前から物忘れが多くなります。

アルツハイマー型認知症に移行する前段階として、軽度認知障害(MCI)になるとされていますが、この段階で発見・対策できればアルツハイマー型認知症への移行を止められるといわれています。

アルツハイマー型認知症の前触れ・前兆として見られる具体的な症状は以下のようなものです。

  • 新しいことを覚えられない
  • 人や物の名前が出てこない
  • 気が短くなる
  • スケジュールを立てられない
  • 憂うつになる

2-1.アルツハイマー型認知症になりやすい人は?

肥満女性はアルツハイマー型認知症になりやすい

アルツハイマー型認知症は女性がなりやすい?

以下はアルツハイマー型認知症になりやすい傾向の人です。

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 動脈硬化
  • 60歳以上の高齢者(高齢になるほどなりやすい)
  • 偏食
  • 喫煙
  • 運動不足
  • 女性

多く当てはまる人は注意が必要ですが、必ずアルツハイマー型認知症になるというものではありません。

反対に、多くが当てはまらないからといって、アルツハイマー型認知症にならないというものではありません。

3.アルツハイマー型認知症の具体的な症状

アルツハイマー型認知症の症状

アルツハイマー型認知症は、具体的にどのような症状が現れるのでしょうか。

ここでは、アルツハイマー型認知症の症状の特徴を一緒に確認していきましょう。

3-1.記憶障害

物忘れが起きるようになります。

一般的な物忘れと違い、アルツハイマー型認知症の患者は少し前に起きた事を思い出せません。

会話中に席をはずし、5分後に戻ってきて会話を続けようとしても話題を思い出す事ができないといった例があげられます。

3-2.判断能力の低下

例えば「料理に使う食材を自分で判断出来ない」「部屋の片付け方がわからなくなる」「季節外れで、ちぐはぐな服装をする」などの行動が見られるようになります。

判断力の低下により、悪気なく万引きをしたり、詐欺などの事件に巻き込まれる可能性もあるので注意が必要です。

3-3.見当識障害

見当識障害は、記憶障害と並んで早い段階から現われる症状です。

見当識とは、日付や時間、場所など自分がおかれている状況を認識する能力です。

今日の日付や時間を間違う、通い慣れている場所がわからなくなり、症状が進むと自宅さえもわからなくなります。

また、息子を孫と間違ったり、既に成人した子どもを幼児であると思い込むなど、人に対する認識間違いが起きる事もあります。

3-4.周辺症状

家の中や外をウロウロと歩きまわる「徘徊」と呼ばれる行動がしばしば現れます。

また、大切な物を誰かに盗られたという「物盗られ妄想」を訴え、家族を疑って責めるような症状も見られます。

さらに、薬を嫌がって飲まないなどの「介護拒否」や、家族や自分の顔がわからなくなる事もあります。

4.アルツハイマー型認知症の原因

原因は不明

アルツハイマー型認知症の直接的な原因はまだ解明されていません。

脳に「アミロイドβ」や「タウ」と呼ばれる特殊なたんぱく質が溜まる事で神経細胞が壊れて減り脳が萎縮するために、身体の機能が失われることがわかっています。

危険因子(アルツハイマー型認知症の発生を高める病気や習慣)としては、

  • 高血圧
  • 高コレステロール
  • 糖尿病などの生活習慣病
  • 偏食
  • ストレス
  • 運動不足
  • 頭部への強い衝撃
  • 慢性期な脳または脳周辺の炎症

などが挙げられます。

5.アルツハイマー型認知症の7つの進行段階

アルツハイマー型認知症の進行段階

  • 不可逆性で時間の経過とともに進行する
  • 7つの進行段階がある

アルツハイマー型認知症は、時間の経過とともに進行する病気で7段階の枠組みに分けられています。

この7段階の枠組みは、ニューヨーク大学薬学部シルバーステイン老化と認知症研究所の臨床部長であるバリー・ライスバーグ博士により考案されました。

5-1.段階(1)正常

記憶能力は低下しておらず、認知機能の障害がない状態です。

5-2.段階(2)年相応(非常に軽度の認知機能の低下)

  • 日頃よく使う言葉や名前を忘れる
  • メガネや財布など日用品の置き場所を忘れる

など。

健康診断で問題となることなく、友人や家族も気づかない程度の軽度の認知機能の低下が見られる段階です。

5-3.段階(3)境界状態(軽度の認知機能の低下)

  • 文章を読んでもほとんど覚えていない
  • 家族や友人が気付くほど言葉や名前を思い出せなくなる
  • 職場での作業スピードの低下に同僚が気付く
  • 計画を立て整理する能力が低下する

などの症状が現れたら、初期段階のアルツハイマー型認知症である可能性があります。

5-4.段階(4)軽度(あるいは初期段階)のアルツハイマー型認知症

  • 「100から7ずつ引く」など難しい暗算が解けない
  • 最近起きた出来事を知らない
  • 清算、支払い管理など複雑な作業ができなくなる
  • 自分の生い立ちの記憶が薄れる

などのはっきりとした症状が現れ始めます。

5-5.段階(5)中等度(あるいは中期段階)のアルツハイマー型認知症

  • 「40から4ずつ引く」あるいは「20から2ずつ引く」などの簡単な暗算が解けない
  • 服を選ぶのに助けがいる
  • 場所・日付・曜日・季節がわからなくなる
  • 現住所・電話番号・卒業した大学など大切な情報を思い出せない

などの症状が現れます。

記憶が欠落し、認知機能に障害が現れ、日常生活でサポートが必要となり始めます。

5-6.段階(6)やや高度(あるいは中期段階)のアルツハイマー型認知症

この段階では、記憶障害がかなり進行し,性格が大きく変化し、日常生活に大幅な手助けが必要となります。

  • 最近の経験および出来事や周囲の環境がわからない
  • 自分の生い立ちを完全に思い出せない
  • 配偶者や顔なじみの介護者の名前を忘れる
  • 着衣・トイレに手助けが必要となる
  • 徘徊し迷う事が増える
  • 尿失禁や弁失禁がたびたび起きる
  • 妄想や、幻覚、強迫的または反復的な行動

などの行動的症状が見られるようになります。

5-7.段階(7)高度(あるいは後期段階)のアルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症の最終段階では、患者は環境や状況に応じて反応し会話することができなくなります。

そして、最終的には体を動かす事が出来なくなります。

時には単語や文章を話す事もありますが、食事やトイレなどの日常生活を1人では出来なくなり介護が必要となります。

筋肉が硬直し、嚥下に障害が出る事もあります。

6.アルツハイマー型認知症の人にどう対応したらよいか?

アルツハイマー型認知症の人への対応

アルツハイマー型認知症にかぎらず、認知症の人には周りのサポートが不可欠です。

家族や周囲の人がアルツハイマー型認知症になった場合、どう対応したらいいのか、考えていきましょう。

6-1.怒らない、許してあげる

アルツハイマー型認知症の人は、同じ話を繰り返すことも多いのですが、怒らずに出来るだけ付き合うようにしましょう。

6-2.約束は書いておく

約束などを忘れないようにカレンダーに書き出したり、メモなどを使うのも有効です。

家族やヘルパーが薬を管理することで、薬の飲み忘れなどを防げます。

1度にたくさん飲んでしまう事もあるので飲み終わるまで見届けましょう。

6-3.迷うことを前提に対策する

外出先で迷わったときのために、連絡先を服に付けたり、小型GPSをポケットに入れるなどの対策をしておきましょう。

徘徊が始まった場合は、鍵を手の届かない場所に格納し、民生委員などにも連絡して協力をしてもらいましょう。

6-4.話を合わせてあげる

幻視や物取られ妄想などの訴えを否定すると興奮する事があるので話を合わせることも大切です。

6-5.お互いに嫌な気持ちにならないように

どちらかが我慢していると、ストレスがたまっていってしまい、後々のトラブルにつながってしまいかねません。

介護の合言葉は「使えるものは使う」。

介護サービスを使えるだけ使い、介護者と介護される側のどちらも快適に過ごせるように気をつけましょう。

7.アルツハイマー型認知症の予防と改善策

アルツハイマー型認知症の予防に運動

  • 予防には生活習慣の見直しが重要
  • 生活習慣の見直しは発症後の改善にもつながる

アルツハイマー型認知症は時間の経過とともに発症の可能性が高まり、絶対にかからないようにする、という方法は現在のところありません。

ただし、生活習慣の見直しによって、認知症発症の予防につながると考えられています。

また、アルツハイマー型認知症は、早期発見、早期治療により進行が緩やかになる事がわかっています。

異変に気付いたらすぐに、認知症専門病院、神経内科、物忘れ外来、老年病内科などに行きましょう。

大きな総合病院が近くにない場合は、かかりつけ医に相談して専門医を紹介してもらうのも良いでしょう。

7-1.生活習慣の改善

脳の状態を良好に保ちアルツハイマー型認知症を予防するには、食習慣や運動習慣を見直すことが大切です。

認知機能を重点的に使うには、知的行動習慣を意識した日々を過ごすことが重要だと言われています。

7-2.食生活の見直し

野菜・果物を食べてビタミンC、E、βカロチンを摂取し、ポリフェノールを含んだ赤ワインを飲みましょう。

青魚やカマンベールチーズを食べると発症リスクが下がるとも言われています。糖尿病患者はアルツハイマーの発症リスクも高いと言われています。

食べる時は腹八分に抑え、甘い物ばかり食べないように注意し、糖尿病を防ぎましょう。喫煙、飲酒も控えるようにしましょう。

関連記事:今日から実践できる!認知症の予防に効果的な16の食材と食事

7-3.定期的な運動

週3日以上の有酸素運動を心がけましょう。食べた後すぐ横になって寝る生活を改善し、日常的に小まめに体を動かす事も有効です。

7-4.十分な睡眠の確保

睡眠不足もまた認知症と関係があるとされています。

ストレスが原因の睡眠不足に注意し、夜更かしし過ぎないで早く寝る習慣をつけましょう。

また、30分未満の昼寝や起床後2時間以内に太陽の光を浴びるのも良いでしょう。

7-5.脳を活性化させる活動

脳の状態を良好に保つため意識的に、文章を書く・読む、囲碁・将棋・マージャンなど頭を使うゲームをするなどの知的行動習慣を身につけましょう。

  • 数日遅れの日記をつける
  • 旅行の計画を立てる
  • 料理を何品か同時進行で作る
  • 新しい事にチャレンジする

など、脳機能を集中的に鍛える行動は、発症を遅らせる効果的な方法であることがわかっています。

8.若年性アルツハイマーとは?

64歳以下の人もアルツハイマー型認知症になる可能性があります。

64歳以下のアルツハイマーは若年性アルツハイマーと呼ばれます。

若年性アルツハイマーの患者は、大事な予定を忘れたり、書類に日付を書けないなどの症状の他に、例えばドアが見えているにも関わらず部屋から出られなくなり室内を歩き回るなどの視空間失認が起きることがあります。

8-1.若年性アルツハイマー型認知症を扱った作品

若年性アルツハイマー型認知症と宣告された主人公とその家族を描いた映画をご紹介しましょう。

8-1-1.「アリスのままで」

50歳で若年性アルツハイマーを発症した女性を描いた作品。高名な言語学者でありニューヨークコロンビア大学の教授を務めるアリスは、若年性アルツハイマーを宣告され闘病の日々が始まります。

8-1-2.「ビューティフルレイン」

ある日突然、若年性アルツハイマーと診断される父親と幼い娘の親子愛を描く人間ドラマ。

8-1-3.「明日の記憶」

若年性アルツハイマー型認知症と診断された夫と、それを受け止めいたわる妻。痛みを共有し共に病と闘う夫婦の情愛を描いた感動作。

9.認知症とは?

認知症とは、後天的原因で起こる知能の障害です。

生後、正常に発達した精神機能が減退・消失し正常な日常・社会生活ができなくなる状態を指します。

10.まとめ

アルツハイマーについて見てきました。

アルツハイマー型認知症の原因は未だ不明ですが、予防方法は少しずつ解明されています。

食習慣や運動習慣など、生活習慣全般を見直すことで糖尿病、高血圧、脳卒中などの生活習慣病の発症リスクが低下すると同時に、アルツハイマー型認知症も予防可能であることがわかっています。

自身の生活習慣を今一度見直し、健康的な日々を送るように心がけましょう。

アルツハイマー型認知症の7つの進行段階とその症状

アルツハイマー型認知症 症状

アルツハイマー型認知症の症状について見ていきます。

認知症には、さまざまな種類があります。そのなかの一つである「アルツハイマー型認知症」に着目していきましょう。

1.アルツハイマー型認知症はどんどん進行していく

認知症のなかには、「治る認知症」もあります。しかし、治る認知症は、割合としては全体の15パーセントであり、頭のなかに脳髄液がたまったタイプや、事故などで頭を打ち付けた際にできた血栓による認知症などの、限られたタイプです。それ以外のものは、進行速度などや症状には違いがみられますが、不可逆性です。そして、アルツハイマー型認知症も、この「不可逆性の認知症」に当てはまります。

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2.アルツハイマー型認知症は進行状況によって7段階に分けられる

さて、このアルツハイマー型認知症ですが、これは進行状況によって、7つの段階に分けられています。

2-1.段階①正常段階

通常の状態です。アルツハイマー型認知症の症状は見られません。

2-2.段階②年相応(非常に軽度の認知機能の低下)

年を取ると、誰でも物忘れが多くなります。その段階です。ただ、この段階のときは、「症状」としてはっきりわかるものではありません。

2-3.段階③境界型(軽度の認知機能低下)

この段階から、「アルツハイマー型認知症である」と言われるようになります。周囲の人も気づき始めます。

「この人はだれか」ということが分からなくなったり、新しく知り合った人を覚えられなくなったり、スケジュール管理能力が落ちていったりします。

2-4.段階④軽度(あるいは初期段階)

段階3よりも明確にわかり始める段階です。3桁の安産ができなくなったり、経理事務などの能力が減退したりします。これらに伴い、引きこもりがちになったり、人と触れ合うことにためらいを感じるようになります。

2-5.段階⑤中等度(あるいは中期段階)

この段階になると、人の手による支援が必要になります。現在の日時が思い出せなかったり、2桁の暗算ができなくなったりするため、仕事はもとより、日常生活を営むことも難しくなります。

しかし身体的な機能、身の周りのことを自分で行うこと自体には問題なく、習慣化している行動については、サポートは必要としません。

2-6.段階⑥やや高度(あるいは中期段階)

ここしばらくの記憶があいまいであり、排泄にも手助けが必要となります。近親者の顔は忘れてしまいますが、「近親者か、否か」の違いは判ります。また、自分の名前までは喪失しないことが多いようです。

人格的な変化が現れるのはこの段階です。

2-7.段階⑦高度(あるいは後期段階)

日常生活のほぼすべてを、人にゆだねている状態です。寝たきりなどになることもあり、自分自身のコントロールはほぼできません。食事をとることのみならず、「飲み込むこと」にも問題がでてきます。・

3.低い段階での発見と段階に応じた対応が必要

アルツハイマー型認知症は、確かに治らない病気です。しかし、薬などによって、進行を遅らせることができます。

家族にとって、「大切な人がアルツハイマー型認知症になった」ということを認めるのは、勇気がいることです。しかし早期に気づき、対応していくことは、アルツハイマー型認知症の進行を遅らせることに寄与します。

4.進行段階とアルツハイマー型認知症の寿命の関係性

アルツハイマー型認知症と寿命の関係については、いろいろと意見が出されています。若年性アルツハイマー型認知症の場合は10~15年と言われていますが、高齢者のアルツハイマー型認知症の場合、「平均寿命」に関しては諸説あり、断定するのが難しいのが現状です。7年~15年程度とも言われていますが、個人差によるでしょう。

5.まとめ

アルツハイマー型認知症の症状について見てきました。

アルツハイマー型認知症の症状の進行7段階
1.正常段階
2.年相応(非常に軽度の認知機能の低下)
3.境界型(軽度の認知機能低下)
4.軽度(あるいは初期段階)
5.中等度(あるいは中期段階)
6.やや高度(あるいは中期段階)
7.高度(あるいは後期段階)

アルツハイマー型認知症の場合、7段階にわけられています。早期に発見―治療することによって進行を遅らせることはできますが不可逆性の病です。早めに気づいて対処していくことが重要となります。

その症状もしかして?アルツハイマーが持つ3つの特徴的症状

アルツハイマー 症状

アルツハイマーの症状について見ていきます。

アルツハイマーは、とても難しい病気です。この病気の特徴などについてみていきましょう。

1.アルツハイマーとは?

アルツハイマーとは、認知症の種類のうちの一つです。記憶障害などをもたらす病であり、1907年に、精神科医により報告されました。その原因についてはまだはっきりとは断定できませんが、βアミロイドというタンパク質がたまることによって起こる、と考えられています。

関連記事:アルツハイマーとは?250万人以上の患者がいる認知症

2.代表的な3つの症状

アルツハイマーには、代表的な3つの症状があります。ここからはそれについてみていきましょう。

2-1.①記憶障害

記憶障害は、アルツハイマーの代表的な症状のうちの一つです。物忘れが頻繁に起こるようになります。スケジュールの管理が難しくなり、約束した日時などを思い出しにくくなります。

この「物忘れ」はしばしば、加齢や疲れによる単純な「思い出せないこと」と間違えられます。しかしアルツハイマーの場合、周りの人から、「この日に約束したよね」「この日の会議のことを覚えている?」と聞かれても、「その約束(会議)があったことそのものを忘れ、思い出せなくなる」という形で見られます。

2-2.②判断能力の低下

判断能力の低下も起こります。これによって、「今までできていたことが分からなくなる」という症状がみられます。代表的なのは、「料理」でしょう。料理というのは、なれてくれば、目分量や感覚で調味料の量がわかるようになります。しかしアルツハイマーを患ってしまうと、今まで作れていた料理が作れなくなったり、極端な味になったりします。これはただの「料理の失敗」で片付けられるものではなく、明らかな異常性がみられるものです。

2-3.③見当識障害

私たちは日常の生活のなかで、意識することなく、「現在いる場所」「今日の日時」などを把握して生きています。アルツハイマーにかかると、それらの認識が乱れてしまいます。これを「見当識障害」と呼びます。

「今日の日付」「今いる場所」などがわからなくなります。また、症状が進むと、一緒に住んでいた家族の顔やその人の立場(娘や夫といった続柄)もわからなくなってしまいます。アルツハイマーが家族にとって非常につらい病気であるのは、「自分の大切な家族が、私のことを認識できなくなる」という、この「見当識障害」によるところもあります。

3.さまざまな周辺症状

上であげた3つの例は、アルツハイマーの代表的な症状です。しかしそれ以外にも、「妄想」が出てくることもあります。よくあるのは、「財布を盗まれた」のような症状です。また、自分の家にいるにも関わらず、「自宅に帰るために」と徘徊が始まったりすることもあります。

4.症状の段階

人にもよりますが、アルツハイマーは、比較的ゆっくりと進行します。しかし不可逆性のものであり、治ることはない、と考えるべきでしょう。ここからは、「進行の段階」についてお話していきます。

関連記事:アルツハイマー型認知症の7つの進行段階とその症状

4-1.きわめて早期(アルツハイマーの前触れ)

言葉が出にくくなったり、軽微な記憶障害が起こったりします。しかしこのような症状というのは、単に「仕事をやめて、人とあまり話さなくなった人」などにも起こりうる症状であるため、その症状は、なかなか周りにはわかりにくいでしょう。

4-2.軽度

迷子になったり、同じ質問を繰り返したりするようになる段階です。忘れ物が増えてくるのもこの段階です。この状況になると、周りの人も、「何かおかしいかな?」と気づき始めます。しかし、自分の親などがアルツハイマーになったとはなかなか受け入れがたいことであるため、病院に連れていくことにためらいを感じるケースもあります。

4-3.中等度

この段階になると、記憶の混乱が起こりやすくなります。妄想などが出てくるのも、中等度以降です。日常生活を自分の力で行うことが難しくなります。

アルツハイマーには、しばしば「周囲への暴力」「大声」などの症状が伴います。これは軽度のときにも起こりうることではありますが、中等度から深刻化していくことが多いです。

4-4.高度

この段階になると、「周囲と関わる能力」そのものが衰え、身体的にも、寝たきりに近い状態になります。体重が減っていったり、飲み込む能力が衰えたりするため、人の手を借りなければ生活することができなくなります。

5.まとめ

アルツハイマーの症状について見てきました。

アルツハイマーの代表的な症状
1.記憶障害
2.判断能力の低下
3.見当識障害

アルツハイマーは、「今まで頼っていた人が変わっていく」という病気であり、親しい人であればあるほど、受け入れることが難しいものです。

しかしアルツハイマーは、徐々に進行していくものです。代表的な症状を知り、早期の段階で受診し、対策に努めるようにしたいものです。

参考:
http://www.ninchisho.jp/kind/01.html
https://info.ninchisho.net/type/t10
http://www.mental-navi.net/ninchisho/rikai/shojo1.html

認知症にはどんな種類がある?認知症種類別の特徴まとめ

認知症の種類

認知症の種類について見ていきます。

「認知症」と聞いて、漠然としたイメージをお持ちの方も多いと思います。実は認知症にはその原因や症状によって、種類が分かれており、それぞれに行うべき対処法も異なっています。

ここではまず、認知症にはどのような種類があるのかについてご紹介していきます。

1.認知症とは?

人間の活動をコントロールしている脳。脳の細胞がいろいろな原因で壊れてしまったり、働きが悪くなると精神や身体に障害が起こります。認知症とは、そのような障害が約6カ月以上継続し日常生活、社会生活を営めない状態を指します。

65歳以上の高齢者のうち認知症を発症している人は2012年時点で約462万人、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の高齢者も約400万人いるとされており、65歳以上の4人に1人が認知症とその“予備軍”であることがわかっています。

さらに2015年1月に発表された厚生労働省の推計によると、2025年の認知症患者は今よりもさらに増え700万人を超えるといわれています。これにMCI患者を加えると、近い将来65歳以上の3人に1人が認知症患者とその予備軍となる時代がやってくるのです。

2.認知症の種類とそれぞれの特徴・症状

認知症には「アルツハイマー型認知症」、「血管性認知症」、「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症(ピック病)」などさまざまな種類があり、原因となる病気によって症状が異なります。中でも最も多いとされる代表的な症状は「アルツハイマー型認知症」です。

2-1.アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、アミロイドβやタウと呼ばれるタンパク質が脳に蓄積することで、神経細胞が壊れ脳の委縮が進行し、体の機能も徐々に失われる病気です。男性よりも女性に多く見られます。

早期の診断が可能で、認知症状の起こる数年前には、紙に立体図形が描けない、時計の図に針を記入できないなどの特徴が認められます。

特徴としては、記憶障害により物忘れがひどくなる、判断能力が鈍り不必要な買い物をする、時計が読めなくなる、家の中のトイレの位置がわからなくなるなどの症状が現れます。病状が進行すると、暴言・暴力・徘徊などの問題行動、幻覚症状などが現れ、身体機能が低下し、すべての生活に介護が必要となります。

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2-2.レビー小体型認知症

レビー小体病は、アルツハイマー型認知症に次いで多い認知症です。認知症全体の2割を占めており、男性の発症率が高く、女性の約2倍と言われています。

脳内に「レビー小体」という特殊なタンパク質が出現し、大脳皮質や脳幹に集まることにより神経細胞が壊れて減少し、認知症の症状が現れます。

アルツハイマーなど他の認知症との大きな違いは、初期の段階で「幻視」が見られることです。「知らない子どもが部屋で遊んでいる」「蛇が部屋にいる」などの幻視が本人にははっきりと見えています。

若い頃と同じように今も働いていると訴えたり、自宅にいながら自分の家ではないと思い込むなどの誤認妄想が見られることもあります。

また、手が震える、筋肉がこわばる、表情が乏しくなるなどパーキンソン病に似た症状が現れるため、パーキンソン病と間違われることもあります。

症状の進行の仕方にも特徴があり、しっかりしている時とぼんやりしている時を繰り返しながら症状が進んでいきます。

うつに似た症状や、食欲がない、眠れないなどの訴えもしばしば見られ、睡眠中に大声を出すなどのレム睡眠行動障害が出ることもあります。

関連記事:レビー小体型認知症の3つの特徴と家族がすぐ実践できるケア

2-3.脳血管性認知症

脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害の後遺症として発症し、男性の方が女性よりも多く発症している認知症です。脳血管障害で脳がダメージを受けた部位によって症状が微妙に変わることが特徴です。高血圧、糖尿病、脂質異常症などの治療を行うことで予防や進行の抑制が可能な認知症です。

脳血管性認知症では、「まだら認知症」と呼ばれる独特の症状が見られます。例えば、物忘れがひどく計算力が低下しているのに、判断力や理解力が正常に保たれているなどの症状があげられます。起きたばかりの出来事をすぐに忘れてしまうほど酷い物忘れがあるのに、理解力が必要な受け答えはしっかりできるなどの、できたりできなかったりする症状を「まだら認知」と呼びます。

また、脳の血流が悪い状態のときは何もできないので、調子の良い時間帯と悪い時間帯があります。朝は1人で何もできなかったのに、お昼を過ぎると介護なして過ごせることもあります。時間帯だけでなく、日によっても症状が変化します。

泣いたり怒ったりなどの感情の変化が激しくなることもあります。さらに、話しづらくなったり、箸や歯ブラシなど日用品の使い方がわからなくなる場合もあります。

2-4.ピック病・前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症は前頭葉と側頭葉の委縮によって起こる病気でピック病と呼ばれることもあります。

若い人でも発症する認知症で、原因がいまだ解明されておらず有効な薬も出ていません。アルツハイマー型との違いは、記憶障害よりも人格障害が主な症状として現れることです。そのため性格・行動面の変化が目立つことが特徴です。

同じ言葉を繰り返し発し続ける、決まった時間に家の中を歩きまわる、延々と身体を揺すり続ける、机を叩き続けるなどの行動をとることもあります。

また、食行動にも異常が現れ、毎日同じ料理を食べ続けたり、驚くほど濃い味付けを好んだり、食欲が極端に旺盛になる場合もあります。

他にも、集中力が低下するため落ち着きがなくなる、言葉が出にくくなるため自分から進んで会話をしないこともあります。悪気なく万引きをしてしまうなど反社会的な行動が見られることもあります。

関連記事:働き盛り世代が万引きやモラハラ!? ピック病の症状と2つの対策

2-5.若年性認知症

64歳以下の人が認知症と診断された場合、若年性認知症と呼ばれます。物忘れがひどく仕事でミスが重なっても若いため認知症であることに気付かず、病院で診察を受けてもうつ病や更年期障害と間違われることもあります。発症年齢は平均51歳、女性よりも男性に多く見られる認知症状です。

若年性認知症は、初期の段階で記憶障害や見当識障害が見られます。そのため、大切な予定を忘れてしまったり、書類に今日の日付を書くことができなくなってしまうなどといったことが起きます。また、複数の事柄を一度に考えられなくなるので、部屋の片付けができなくなる、料理の手順がわからなくなる、無謀な車の運転をするといった危険な行動が起きることもあります。

若年性認知症は、脳血管性型とアルツハイマー型が多く、脳血管性型やアルツハイマー型以外にも、前頭側頭葉型やレビー小体型、事故による脳の損傷が原因となる頭部外傷後遺症型、アルコール性の認知症などがあり、現れる症状も型によって違います。

関連記事:高齢者だけじゃない!40代50代にも忍び寄る若年性認知症とは?

2-6.MCI(軽度認知障害)

認知機能には、記憶、決定、理由づけ、実行などがあります。MCIとは、それら認知機能のうち1つに問題が生じているものの、日常生活は支障がない状態を指します。

厚生労働省は、65歳以上の4人に1人は、認知症及びMCIであると発表しています。
また、MCIを放置すると、5年間で約50%の人が認知症へと症状が進行する可能性があると警鐘を鳴らしています。症状の進行を阻止するためにも、MCIの段階で認知機能の低下に気づき予防対策に取り組むことが大切です。

2-7.正常圧水頭症

正常圧水頭症とは、脳脊髄液が脳室に溜まり周囲の脳が圧迫されて障害を起こす病気です。正常圧水頭症が原因で起こる認知症は、早期に発見すれば脳外科手術で治療が可能です。
早期に歩行障害が現れるとともに、バランスを崩し転倒しやすくなります。集中力、注意力の低下とともに意欲が低下し、抑うつ状態が現れます。また、切迫性の尿失禁が見られることがあり、排尿の回数も増えます。

3.認知症は早期発見が重要

「同じことを何度も言っている」「大切な物を置き忘れることが多くなった」といった症状が見られたら早めに医師に相談しましょう。認知症は完治の難しい病気ですが、適切な治療によって症状の進行を遅らせることができます。

また、早めに治療を開始した場合ほど高い治療効果が得られ、症状もゆっくりと進むことがわかっています。そのため認知症は早期診断・早期治療が重要です。

3-1.早期発見するには?

認知症を早く見つけて対処するためのチェックリストがあるので積極的に活用しましょう。下記は「家族の会」の会員が、日常の暮らしの中で認知症ではないかと思われる言動をまとめたものです。

思い当たる言動・行動が多い場合は迷わず医師に相談しましょう。

家族がつくった 「認知症」早期発見のめやす

もの忘れがひどい
1 今切ったばかりなのに、電話の相手の名前を忘れる
2 同じことを何度も言う・問う・する
3 しまい忘れ置き忘れが増え、いつも探し物をしている
4 財布・通帳・衣類などを盗まれたと人を疑う
判断・理解力が衰える
5 料理・片付け・計算・運転などのミスが多くなった
6 新しいことが覚えられない
7 話のつじつまが合わない
8 テレビ番組の内容が理解できなくなった
時間・場所がわからない
9 約束の日時や場所を間違えるようになった
10 慣れた道でも迷うことがある
人柄が変わる
11 些細なことで怒りっぽくなった
12 周りへの気づかいがなくなり頑固になった
13 自分の失敗を人のせいにする
14 「このごろ様子がおかしい」と周囲から言われた
不安感が強い
15 ひとりになると怖がったり寂しがったりする
16 外出時、持ち物を何度も確かめる
17 「頭が変になった」と本人が訴える
意欲がなくなる
18 下着を替えず、身だしなみを構わなくなった
19 趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなった
20 ふさぎ込んで何をするのも億劫がりいやがる

公益社団法人認知症の人と家族の会作成のものを引用)

3-2.認知症にはどんな相談窓口がある?

家族が認知症かもしれないと思ったときは、早めにお住まいの市町村の相談窓口を利用しましょう。ここでは、認知症に関する悩みや疑問を専門家に相談できる窓口をご紹介します。

3-2-1.地域包括支援センター

「地域包括支援センター」は、介護保険法で定められた全国約4000カ所にある相談センターです。病院や介護サービスの情報提供の他に、地域の専門家と連携して総合相談・支援を行い、地域の介護相談の最初の窓口の役目を担っています。認知症の悩みや困り事は、まずは「地域包括支援センター」に相談するのが良いでしょう。

3-2-2.社団法人認知症の人と家族の会

全国47都道府県に支部がある「社団法人認知症の人と家族の会」も相談窓口を設けています。研修を受けた介護経験者が認知症についての相談・疑問への対応、解決に向けてのサポートを行っています。

■認知症の電話相談(社団法人認知症の人と家族の会)

電話受付(月曜~金曜 10:00~15:00)
0120-294-456

【社団法人認知症の人と家族の会ホームページ】
http://www.alzheimer.or.jp/?page_id=146

3-2-3.介護支え合い電話相談(社会福祉法人浴風会)

社会福祉法人浴風会「介護支え合い電話相談」でも相談を受け付けています。介護の経験があり研修を受けた相談員が正確な情報提供を行い、地域ネットワークとの連携支援などを行っています。

■介護支え合い電話相談(社会福祉法人浴風会)

電話受付(月曜~金曜 10:00~15:00)
0120-070-608

【社会福祉法人浴風会ホームページ】
http://www.yokufuukai.or.jp/call/index.html

4.まとめ

認知症の種類について見てきました。

認知症にはさまざまな種類があり、それぞれ違った症状が現れます。中には予防や治療が可能な認知症もあるので、早めに症状に気付き治療を開始することが重要です。完治が難しい認知症であっても早期に適切な治療を施すことによって進行を遅らせることが可能です。

認知症についての相談は、市町村に設置されている「地域包括支援センター」などの電話相談窓口で受け付けています。「認知症かもしれない」と少しでも不安を感じたら迷わず相談しましょう。

参考:
http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/dementia/a01.html
http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/dementia/a05.html
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_recog.html
http://www.ninchishoucare.com/kind/
https://info.ninchisho.net/type
http://www.isshogaiine.com/about/type.html
http://www.alzheimer.or.jp/?page_id=2196
https://info.ninchisho.net/check
http://sodan.e-65.net/check/
http://www.mental-navi.net/ninchisho/shindan/sohki.html
http://www.yokufuukai.or.jp/call/index.html

アルツハイマー型認知症を予防するための3つの知識

アルツハイマーの予防

4人に1人が65歳以上という高齢社会を迎えている日本で、認知症はとても難しい問題の一つです。そのなかで、アルツハイマー型認知症は、遺伝子レベルでの研究が進められているものの、治療法がまだ判明せず、発症する前に予防することが非常に重要だと言われています。今回はこのアルツハイマー型認知症について、予防という観点から、絶対に知っておきたい3つの知識を紹介します。

1.そもそもアルツハイマー型認知症って何?

過去から現在にしたがって、認知症の患者数は増え続けています。「昔に比べて平均寿命が延びたのだから、その分認知症患者が増えるのは当たり前だ」と思う人がいるかもしれません。しかしこの増加は、決して絶対数だけの変化ではありません。実は、「65歳以上の人口が占める認知症の割合」自体が増え続けており、単純な数の増加だけの問題ではないのです。1955年には6.9%にすぎなかった割合が、いまでは8.4%に上っています。

認知症にはさまざまな種類があります。そのなかでも、アルツハイマー型認知症はその比率がもっとも大きく、全体の約半数にもなると言われています。

1-1.アルツハイマー型認知症の症状

アルツハイマー型認知症は、その進行度によって症状が違います。進行度別に見ていきましょう。

1-1-1.軽度

アルツハイマー型認知症の初期段階です。この段階では、

  • 現在の日時が答えられなくなる
  • 買い物のときに、支払いがうまくいかなくなる。また、本来ならば不要であるものを買ってしまう
  • 同じ質問を何度も繰り返してしまう
  • 物をなくしやすい
  • 感情や性格に変化が起こる
  • 今まで時間をかけずにできていたことなのに、時間がかかるようになる

などの特徴が見られます。アルツハイマー型認知症は徐々に進んでいく上に、上記であげた症状は、アルツハイマー型認知症を患っていない人でも見られるものです。そのため、周りや本人も、症状の変化に気づきにくいというリスクがあります。

1-1-2.中度

軽度より症状が進んでいる状態です。この段階では、

  • 迷子になりやすくなる
  • 記憶障害を起こす
  • よく知っている相手なのに、誰だかわからなくなる
  • その場にそぐわない行動(大声をあげるなど)をとってしまう
  • 徘徊を繰り返す
  • 新しいことを記憶できなくなる

などの特徴が見られます。迷子になるという症状は、軽度の段階でも見られますが、中度の段階になると頻度が増加します。論理的な処理ができなくなるのが特徴です。

1-1-3.重度

重度になると、今までのような問題行動も起きにくくなり、寝たきりに近い状態へと変化していきます。この段階では、

  • コミュニケーションがとれなくなる
  • 体重が極端に減る
  • 食事をうまく飲み込めなくなる
  • 寝ている時間が多くなる
  • 排泄に障害を抱える

などの特徴が見られます。中度の段階で起きる、相手が誰だかわからなくなるという症状は、重度の段階でかなりひどくなります。

1-2.アルツハイマー型認知症の原因

このような症状が出るアルツハイマー型認知症の原因は、いったいどのようなものなのでしょうか。

1-2-1. 明確な原因は不明

アルツハイマー型認知症の原因について正確に議論するとなれば、その原因は不明ということになります。「このような行動をとり、このような病気にかかったりすればアルツハイマー型認知症である」といった明確な判断基準は解明されていません。ただ、その原因やメカニズムに関する研究は進んでいるため、判断材料となりうる要素は見つかっています。

1-2-2.アミロイドβ仮説

その1つが、アミロイドβと呼ばれるものです。老人斑(加齢とともに出てくるものであり、茶褐色の斑点が体に浮き出るもの。別名「アミロイド斑」)を作ると言われているものに、アミロイドβというものがあります。これは老人斑を作るだけでなく、神経にも影響を及ぼすと考えられています。アミロイドβは特殊なたんぱく質なのですが、これが脳に蓄積していくと、脳神経細胞の死につながります。この脳神経細胞の死滅が、認知症の原因の要素だと考えられています。

1-3.アルツハイマー型認知症になりやすい人

アルツハイマー型認知症の確定的な原因はわかっていませんが、どのような人がなりやすいか、ということは研究によってある程度解明されています。では、どのような人がこの病気にかかりやすいのでしょうか。

1-3-1.60代以上の高齢者

アルツハイマー型認知症の出現率は、10代においては数えられないほど少なく、40代においても0.025%以下の有病率にとどまっています。50代ですら、その有病率は0.1%にすら達しません。しかし、60代で1.5%、70代になると前半で3.6%、後半で7.1%と格段に割合が飛躍します。80代後半になると27.3%まで急増します。増加率は、年齢を重ねるにつれ大きくなっています。

1-3-2.生活習慣の改善が望まれる人

生活習慣をおろそかにしている人は、アルツハイマー型認知症の発症率が高いです。具体的には、糖尿病や高血圧を伴っている人、運動不足の人、乱れた食生活・睡眠サイクルを抱える人は、注意が必要です。特に、糖尿病患者と高血圧患者(収縮期血圧160以上)の場合、正常の人に比べて約2倍もアルツハイマー型認知症を患いやすいという結果が出ています。

2.アルツハイマー型認知症予防のための3つの知識

以上を踏まえた上で、アルツハイマー型認知症を予防するために知っておくべき3つの知識を見ていきましょう。

2-1.①適度な運動をする

運動はとても有効な予防法です。運動をすると、アミロイドβを分解する酵素が活性化され脳神経細胞の死滅を防いだり、体内の酸化ストレスを減少させたりします。現代では、年齢を重ねると運動不足の傾向が強まり、こうした効果を得ることができなくなりがちです。そのため、アルツハイマー型認知症の発症率は高くなってしまいます。

2-1-1.効果的と言われている運動方法

運動不足を解消し、アルツハイマー型認知症を予防するためには、以下の点を意識すると効果的です。

  • ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動をする
  • 激しい運動の継続は避ける
  • 30分程度の軽い運動を週3~4回、できれば毎日行う
  • 楽しみながら運動をする

普段から運動をしているという人ならばともかく、そうではない人の場合、激しい運動は逆効果になります。散歩などの有酸素運動を行いましょう。また、高血圧の人は運動が逆効果となることがあるので、医師の診断を仰ぎましょう。

2-2.②十分な睡眠をとる

睡眠中、脳はたまった老廃物を排出する機能が働きます。その際に、アルツハイマー型認知症の原因の要素だと考えられているアミロイドβも排出されます。しかし、睡眠不足が続くと、このアミロイドβが蓄積され脳神経細胞の死滅につながり、アルツハイマー型認知症の発症を高める可能性があります。実際に、アメリカのワシントン大学の研究グループによると、睡眠効率が悪い人は最大で5倍以上も発症する可能性が高いと報告されています。

2-2-1.効果的と言われている睡眠

高齢になるほど睡眠の質が下がり、睡眠障害を起こす人は多くなります。なので、良質な睡眠をとるために日中の活動量を増やしましょう。上記であげたような運動を定期的に行うことで、上手に睡眠を導入しましょう。運動不足も解消できるため、運動と睡眠を合せて改善することは、アルツハイマー型認知症予防にとても効果的です。

2-2-2.昼寝が認知症リスクを下げる

睡眠についてはもう1つ、昼寝の習慣が予防に効果的だとされています。30分以内の適度な昼寝は、アルツハイマー型認知症の発症リスクを5分の1に下げると報告されています。

2-3.③食事

ビタミンEの多い食物は、アルツハイマー型認知症の発症を抑制する結果が報告されています。その他には、ビタミンB群、ビタミンC、βカロチン、カルシウム、亜鉛、鉄などのミネラル、青魚に多く含まれるDHAが予防につながるとされています。具体的には、

  • サンマなどの青魚(DHA)
  • キウィフルーツ、ほうれんそう(ビタミンE、C)
  • ゴマ(抗酸化物質セサミン)

などがあげられます。

2-3-1.緑茶・ワインが効果的?

また、緑茶がアルツハイマー型認知症の予防に効果的である、という見解が出されています。マウスを対象とした研究で、アミロイドβの抑制につながるという結果が出ています。

ポリフェノールなどを含むため、健康に良いと言われているワインもまた、アルツハイマー型認知症に効果的だと言われています。適量の飲酒をする人は、そうではない人に比べて長生きであるという研究も出ています。

3.まとめ

記憶や行動、人格に変化が起きるアルツハイマー型認知症は、年齢を重ねるとともに誰にでも起こりうるもので、完全に避けることは難しいでしょう。

しかし、生活習慣や生活スタイルを見直すことによって「予防すること」は可能です。運動・睡眠・食事から予防するという意識を、日常生活に取り入れることを強くおすすめします。

参考:
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001yxlj-att/2r9852000001yy9n.pdf
http://allabout.co.jp/gm/gc/313828/
http://www.ninchisho.jp/prevention/01.html
http://www.jhf.or.jp/a&s_info/guideline/post_3.html
http://www.bri.niigata-u.ac.jp/~idenshi/research/ad_1.html
http://adinfo.tri-kobe.org/worldwide-alzheimers-information/symptoms.html
http://www.kawaguchi-hp.or.jp/save_lnk/lnk_K7EvVK.pdf
http://news.wustl.edu/news/Pages/Extra-sleep-fixes-memory-problems-in-flies-with-Alzheimers-like-condition.aspx

徹底調査!アルミが原因でアルツハイマーになる危険性はあるのか?

アルミ鍋

「アルミニウムの影響でアルツハイマー型認知症になってしまう」。そんな説を聞いたことはありますか? 一時期、「アルミニウム鍋を使っていると認知症になる」といった噂まで広まりました。アルミニウムは、鍋だけでなくその他の日常用品にもよく使われているありふれた素材ですが、本当に認知症の原因となってしまうことがあるのでしょうか?

1.「アルミニウムでアルツハイマー」は否定派が多い

1-1.「アルツハイマーの原因になるかどうか」よくわかっていない

結論としては「よくわかっていません」。アルミニウムとアルツハイマーとの関連性を訴える説に対し、明確に否定するような根拠がないためです。

1-2.公的機関は「アルミニウム原因説」否定派が大多数を占める

ただし、「アルミニウムによる影響でアルツハイマーになる」という考えを支持する説は非常に少なく、特に公的機関ではこの考えに否定的な発表が多く見られます。

2.「アルミニウム原因説」とは?

そもそもなぜアルツハイマーの「アルミニウム原因説」が出てきたのでしょうか?

2-1.地下水のアルミニウムイオン濃度が高い地域に認知症

地下水にアルミニウムアルミニウムイオン濃度が高い地下水を常飲していたと考えられる地域で、認知症患者が多いとされていました。

第二次世界大戦後に米軍がグアム島を統治した際に、島民の老人たちに認知症の割合が高いことが認められ、地下水を検査すると高濃度のアルミニウムイオンが確認されました。

また、日本の紀伊半島でアルツハイマー患者が非常に多い地域がありました。こちらも同様に地下水のアルミニウムイオンが高濃度であったことが確認されています。

いずれの場合も、他所からの給水や上水道の完備を進めることにより(アルミニウムイオン濃度の低い水を飲むようになったことで)、認知症患者の割合が減ったことから、アルミニウムがアルツハイマーの原因である、とする説がうまれました。

ただし、飲用の水のアルミニウムイオン濃度とアルツハイマーの発症に関連性が見られないという研究報告もあります。近年ではアルミニウムとアルツハイマーの関連性について否定的な説が多く見られる傾向があるようです。

2-2.アルツハイマー患者の脳からアルミニウム検出

脳にアルミニウムカナダのある学者の研究によると、アルツハイマー患者の脳から健常者の数十倍ものアルミニウムが検出されたそうです。この研究結果も「アルミニウム原因説」の一つの根拠という見方をされています。

2-3.「アルミニウム原因説」に対する日本での反応

上記のカナダの研究結果の例について、1996年に毎日新聞が報道したところ、大きな反響を呼ぶ結果になり、他の新聞社も追随した記事を掲載しました。このときから「アルミニウム原因説」が世間で注目を浴び、いまでもこの説を支持する層がいます。

アルミニウムに関する新聞報道これにより、「アルミ鍋」などのアルミ製品への拒絶が始まり、「アルミ鍋を使うと認知症になる」という噂が一気に広がりを見せました。

3.実際、アルミニウムは「毒」なのか?

では、私たちの身の回りにあふれているアルミニウムですが、実際にアルツハイマーの原因になったり、人体に悪影響を与えたり、ということはあるのでしょうか?

3-1.アルミニウムの毒性

毒性の薬物動物実験では、ラットに対しアルミニウムを多量に投与した際に、腎臓や膀胱への影響が見られました。その他にも握力の低下も認められています。

人体において同様の影響は明確には確認されておらず、アルツハイマーの原因となっているかの具体的な根拠もいまのところありません。

3-2.アルミニウムの摂取に関する許容摂取量について

国際機関であるJECFA(FAO/WHO Joint Expert Committee on Foood Additives;FAO/WHO 合同食品添加物専門家委員会)が定めるアルミニウムの許容摂取量は、体重1kgあたり1週間に2mg、体重50kgの人であれば1週間に100mg(約14mg/日)です。

これは決して「これ以上摂取してはいけない」という基準ではなく、「これだけ摂取し続けても、一生涯健康に悪影響はない」というものなので、かなり低い水準で見積もりされています。そのため、実際にはこの許容摂取量を大きく超えるような量を摂取しても、短期的なものであれば特に問題ないだろうと考えられています。

3-3.一般的な生活で摂取するアルミニウムの量

一般的な食事WHOの報告によると、アルミニウムの1日あたりの摂取量は2.5~13mgとのことです。地域差や食生活に大きく左右されます。

調理器具や保存容器などすべてアルミニウム製品を使ったとしても、容器由来のアルミニウム摂取量は最大で6mg/日程度なので、JECFAの許容摂取量内か、わずかに超えるくらいにおさまるといえるでしょう。

3-4.摂取したアルミニウムはどうなる?

ちなみに食べ物などから摂取したアルミニウムはどのようになるのでしょうか?

約99%は体内に吸収などされることなく、そのまま体外に排出されます。また、残りの1%もほぼすべてが腎臓を通り、尿として排泄されるので体内にはほとんど残りません。

3-5.身近な食材のアルミニウム含有量

実施に普段口にする食材のアルミニウム含有量は以下の通りです。

食材 アルミニウム含有量
玄米 0.12mg
菜っ葉類 0.12mg
根菜類 0.26mg
肉類 0.18mg
0.2mg
貝類 3.8mg
海藻 8.5mg

※食材100mgあたり

種類や部位によっても若干の変動はあるため、あくまで目安と考えていただきたいのですが、海藻や貝類に多く含まれていることがわかります。

食品添加物また、ミョウバンなどの膨張剤や、色止め剤、着色料といった食品添加物の一部にアルミニウムを多く含むものがあります。これらは、現状では使用基準はないものの、各食品メーカーなどに使用量の自主的な低減化などを厚生労働省が求めています。

4.まとめ

影響の可能性が0%ではないため、科学では「絶対にない」とすることはなかなかできません。どうしても気になるならアルミニウム製品を使わず、アルミニウムが含まれる食材を食べないという生活を心がけることです。

参考:
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail970.html
http://www.omicsonline.org/2161-0460/2161-0460-3-118.php?aid=16579
http://www.rouninken.jp/member/pdf/16_pdf/vol.16_07-19-02.pdf
http://www.niph.go.jp/journal/data/42-4/199342040005.pdf
http://www.aluminum.or.jp/aluminum-hc/p_3/index.html
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/aluminium/