介護

確認しておきたい施設で行われる看取り介護の具体的な流れ

看取り介護

看取り介護について見ていきます。

「看取り介護」という単語を聞いたことはあるでしょうか。なかには、「耳にしたことがない」という人や、漠然と、「介護をし、最期を看取ること」という認識でいる人もいるかもしれません。今回は、この「看取り介護」についてお話していきましょう。

1.看取り介護とは?

まずは、「看取り介護とはそもそも何か」について紹介していきます。

1-1.看取り介護の定義

「看取り介護」という言葉の定義は、「施設などで、亡くなる人の精神的な負担を軽くして、最期のときを安らかに過ごせるようにする介護」のことを指します。

この「亡くなる人」の前には、「近い未来に」というものが付きます。つまり、「身体的な状態などから判断して、医療の手を尽くしても回復する未来がない人」が対象となります。

1-2.看取り介護の考え方

終末期医療(ターミナルケア)に分類されるものであり、「苦痛を取り除く」ということを第一の目的とします。本人の意思を重んじ、苦痛を取り除くさまざまな措置が取られます。肉体的な苦痛緩和措置と同じように、精神的な苦痛の緩和措置と考えられているものであり、スタッフは、対象者が穏やかな終焉を迎えられるように尽力します。

2.看取り介護の流れ

看取り介護は、時間をかけて行われます。実際の看取り介護はどのような流れをとるのかをお話します。

2-1.適応期

看取り介護を行ううえで、最初に考えられるものです。このときは、

  • 要望の確認
  • 本人や家族の気持ちを確認する
  • 施設の医療形態の説明
  • 連絡方法の確認
  • 最期のときの対応

の聞き取りや説明を行います。

「尊厳ある死」という意味や死生観の確立を大切にするものであり、「看取り介護という制度」「看取り介護を行う施設に対する理解」などをしていく過程です。

2-2.安定期

入所半年後以降の段階です。基本的には、上記の「適応期」であげたものと同じ対応がとられますが、「健康状態の確認」や「死ぬことに対する理解や考えをより明確にするための交流を図る」ことを重要視します。

適応期においては、漠然としたものであった「死生観」にもより深く踏み込むものであり、細かく変わっていくであろう家族や本人の意向を、施設側は最大限受け入れる体制を整えています。

2-3.不安定・低下期

体が衰弱していき、肉体的に「死」に近づいていく段階です。この段階になると、「現状を伝えること」「その後どうなるか」「身の周りの世話に、どのような変化があるか」ということを伝えることが必要になってきます。

これらを正確に伝えたうえで、本人や家族がどのように判断するのか、ということを確認していきます。

「死という現実が迫っていること」が突きつけられる段階であるため、本人や家族の心構えも必要になるでしょう。

また、この段階になると、「その人の望み」が最優先されるため、食事なども、本人の望むものが出されるようになります。

2-4.看取り期

手を尽くしても、「回復は見込めない状態」が、この「看取り期」です。施設でできる手当や、看取り介護計画書への同意、そして最期の思い出として会いたい人(会わせたい人)に連絡する、というのがこの段階でできることです。

「亡くなった時にどこに連絡するのか」「亡くなった時に何を着せたいのか」などの確認などもこのときに行われます。お葬式の相談などが行われるのも、このタイミングです。

2-5.看取り

亡くなった時の対応となります。死亡届けの作成や、葬儀会社への現実的な手配などが行われます。最期のときは、できる限り、ご家族に看取られて過ごせるように、手配が行われます。

2-6.看取り後

家族を失った遺族の衝撃というのは、段階を踏んでいたとしても大変なものです。そのため、「看取り後」においては、遺族へのケアが優先されます。場合によっては、職員が葬儀などに参列することもあります。

「看取り介護」は、「介護される人を見送るための介護」だけでなく、「残された遺族に対するケア」も重要視している介護である、と言えるのかもしれません。

3.約7割の特別養護老人ホームで看取り介護が実施されている

特別養護老人ホームは、「最期の住居」ともなるものです。そのため、7割程度のホームで、このような「看取り介護」が行われています。死というのはとてもつらいものですが、看取り介護を受けることは、本人にも、そして残されることになる家族にも、心強いことでしょう。

関連記事:入所難易度が高くなっている?特養老人ホームの入所条件とは

4.まとめ

看取り介護について見てきました。

誰もが避けることのできない「死の瞬間」を、可能な限り穏やかに、そして自分らしく迎えるために、終末医療の「看取り介護」はあります。

特別養護老人ホームの多くで実施されている介護形態であり、家族にとっても、大きな助けとなっています。

参考:
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/committee/list/data/syumatsuki_iryou_houkoku.pdf
http://www.fukushi-kousaikai.or.jp/kawashimahome/sisetu_mitori.htm

費用の9割?介護リフォームで助成金をもらうための3つの条件

介護リフォーム

介護リフォームについて見ていきます。

一般的な家というのは、当然のことですが、「介護」には特化していません。そのため、在宅介護をしているという場合は、しばしば、その「介護のしにくさ」が問題になります。そのため、リフォームを考える人も多いのではないでしょうか。

今回は、「介護リフォーム」についてお話していきましょう。

1.介護リフォームとは?

介護リフォームとは、その名前の通り、「介護しやすい家にするためのリフォーム」のことを指します。段差をなくしたり、あるいは逆に段差を設けることによって動きやすくしたりという「バリアフリー」の概念に基づいて行われます。

2.介護リフォーム費用の9割が負担される?適用される2つの制度

リフォームはお金がかかるものですが、助成金を受けることができます。9割の補助が受けられることもあります。

2-1.介護保険制度

介護保険制度を利用すると、工事費用の10パーセントの自己負担で工事を行うことができます。これは、「高齢者住宅改修費用助制度」と呼ばれるもので、非常に恩恵が大きいものです。

3要件を満たすことにより、このサポートが受けられます。

関連記事:介護保険の申請の仕方|介護サービスを利用するまでの流れ

2-2.各市町村の助成金制度

自治体などで、独自に補助金の支給制度などを設けているところもあります。これを利用することで、さらに金銭的な負担が軽くなることもあります。各自治体によって異なるので、一度役所で相談してみるとよいでしょう。

3.介護リフォームで助成金をもらうための3つの条件

介護リフォームの助成金は、非常にありがたいものです。しかし、本来ならその必要もないのに税金を使ってリフォームをしてしまう、というケースを防ぐため、「条件」が設けられています。

3-1.①そもそも受給対象者であること

介護リフォームを受けられる条件の1つが、「受給対象であるかどうか」です。
この「条件」は、「年をとっているから」ということだけでは満たせません。

3-1-1.要介護認定を受けている

「要支援、もしくは要介護状態にある」という認定を受けていなければなりません。そのため、「80歳を超えているが、足腰はまったく問題なく、日常生活にもまったく不便はない」という場合、「将来のために介護リフォームをしておこう」と考えても、受給対象にはならないのです。

関連記事:介護認定基準とは?要介護認定されるまでの4つのステップ

3-1-2.本人が住んでいる

「頻繁に泊りにくるおじいさんのために、介護リフォームをしたい」という場合も、対象外となります。「要介護認定を受けている本人が住んでいる家」のみが対象となります。

3-2.②助成額の限度を超えていないこと

介護リフォームに限らず、リフォームは、お金をかけようと思えば、いくらでもかけられてしまいます。しかしこれでは、多くの人に介護リフォーム費用をいきわたらせることができません。そのため、「20万円以内の介護リフォーム」に限られます。

3-3.③支援対象となる住宅改修であること

また、「どんな種類の介護リフォームにもお金が支払われるわけではない」ということも知っておかなければなりません。介護リフォームの支援対象となる住宅改修工事範囲は、かなり狭い範囲です。

3-3-1.手すりの取り付け

階段や廊下に手すりを取り付ける、というケースは、「助成金をもらえる要素」を満たせます。

3-3-2.通路等の段差または傾斜の解消

家のなかに段差などがあると、車椅子での行き来が難しいです。これを解消するための工事です。

3-3-3.移動の円滑化のための床材の変更

ツルツルと滑りやすい床材は、足腰の弱くなった人には危険なもの。そのため、床材の張替も、助成金の対象となります。

3-3-4.扉の取り換え

車椅子に一度でも乗ったことのある人ならわかると思うのですが、「押して開ける扉」「手前に引いて開ける扉」というのは、非常に移動しにくいものです。車椅子の上でこの作業をやるのはとても大変です。そのため、引き戸への変更も認められています。

3-3-5.便器の取り換え

「腰を落とし、その状態を維持する」という和式トイレは、足腰が弱い人間にはつらいもの。そのため、負担の少ない洋式トイレの切り替えも可能です。

3-3-6.これらの住宅改修に付帯して必要となるもの

上記のような工事をするために、手すりをつける部分の壁を補強したり、トイレを変更するにあたって排水工事が必要になったりする場合は、これも補助されます。

4.助成制度を利用する際には、事前の打ち合わせが必要

「この介護リフォームは助成金の対象となるのか」という疑問は、実際にその場面に直面しないと、なかなか答えることが難しいものでもあります。そのため、事前に打ち合わせをしておき、「これは対象か、対象外か」ということも含めて、話を煮詰めていきましょう。

5.まとめ

介護リフォームについて見てきました。

介護リフォームで助成金をもらうための3つの条件
1.受給対象者であること
2.助成額の限度を超えていない
3.支援対象となる住宅改修である

介護リフォームのための費用は、介護保険によって9割もまかなうことができます。3つの条件を満たす必要はありますが、かなり恩恵の大きい制度ですから、事前の打ち合わせをしっかりして、有効に利用しましょう。

介護疲れを感じた時にすぐ実践したい3つの具体的対処法

介護疲れ

介護というのは、される側にとっても精神的な負担が大きいものです。しかし同時に、「介護する側」にとっても、精神的・肉体的・経済的な負担が大きいものでもあります。

今回は、介護疲れについてみていきましょう。

1.介護疲れとは?

介護疲れとは、その名前の通り、介護による疲労が蓄積して疲れ切ってしまうことをいいます。この「負担」は、経済的なもの、精神的なもの、肉体的なものなどがあります。

介護疲れによる殺人や自殺、あるいは虐待といったものは問題視されています。特に虐待は増加傾向にあります。

2.介護疲れの原因

介護疲れの原因はさまざまです。後で詳しく触れる、精神的な疲労や肉体的な疲労が中心ですが、それ以外にも、「自分の時間が思い通りにならない」「プライバシーもなく、常に介護のことで頭が支配される」といった「時間的な制約にまつわる疲れ」もあります。また、介護が続くことによって、看護や介護にかかる費用に生活が圧迫されることもあります。介護のために仕事を辞めると経済的な負担はより大きくなりますが、経済的な不安がある状況というのは精神的にもよくなく、それが疲れの原因となることもあります。

2-1.肉体的な疲れ

老老介護で、特に女性が男性の面倒を見ている、という場合、肉体的な疲れがたまることは、想像に難くありません。入浴の介助や排泄の介助、あるいは褥瘡ケアのための寝返りを打たせる、といったことは、若い人であってもつらいものです。自分自身の体もそれほど丈夫ではないのに、このような介護が必要になった場合、肉体的な負担は極めて大きいと言えるでしょう。

2-2.心理的な疲れ

介護の心理的な疲れは、大きく分けて2つあります。

1つは、「自分が頼りにしてきた相手が、今では自分が介護するべき相手になっている」とう事実との葛藤です。特に、親や配偶者が認知症を患ったという場合、普段は極めて冷静で合理的な判断ができる人であっても、かたくなにそれを認めようとしないこともあります。

もう1つは、「介護はいつ終わるのかわからない」ということでしょう。子どもの世話などは、基本的には成長と同時に少しずつ楽になっていきますが、介護はそうではありません。また、「終わること」を望むということはすなわち、「この人の死を願っているのだ」ということになり、自責の念にさいなまれる人もいます。

このような「自分の内側との葛藤」だけでなく、周囲の人からの心無い言葉に傷つけられたり、時間的な余裕がないことで追い詰められたりすることもあります。

3.介護疲れによる悲惨な事件

介護疲れによる悲惨な事件というのは、後を絶ちません。2015年の2月に、同じ年の認知症患者である妻を介護疲れの末殺害した夫の話などは、記憶に新しいでしょう。

また、検察官側が、加害者の熱心な介護に触れ、執行猶予つきの温情判決が下された京都市伏見の事件なども有名です。

4.介護疲れになりやすい人

介護疲れになりやすい人は、以下のようなパターンに分けられるでしょう。

  • 介護のテクニックを知らない
  • 一人で抱え込んでしまう
  • 介護施設の知識に乏しい

この3つに着目していきます。

4-1.介護テクニックを知らない

専門的な知識を持っている人ならばいざしらず、多くの人は、「初めての介護」にはとまどいを持つのが普通です。特に、「頼りにしていた人が少しずつ変わっていく」という認知症においては、「できないこと」にいらだってしまったり、否定をしたりしてしまいます。

しかしこのようなことを繰り返せば、介護される側は、介護されることを拒否してしまったり、家から飛び出てしったりすることなどを考えてしまいます。その結果、ますます介護がやりにくくなる、という悪循環があるのです。

4-2.一人で抱え込んでしまう

子育てもしていて、家事もこなしており、かつ介護もしている、ということであれば、物理的な時間が不足します。「睡眠」はストレスや疲れを癒す有効な手段ですが、物理的に時間がなければ、この「睡眠時間」さえも圧迫されてしまいます。また、ストレスを解消するための「自分の時間」がとれないのも問題です。自分の時間がとれなくなれば、友人と話をする時間も少なくなるし、相談できるところが少なくなってしまいます。

介護疲れと密接な関係のある「介護うつ」では、「一人で頑張りすぎてしまう人」「人に頼るのが苦手な人」「真面目な人」が患いやすいとされています。「ほどほど」で切り上げることができませんし、また、「できない自分」をせめてしまうことが、介護疲れを加速させます。

4-3.介護施設の知識不足

介護施設には、さまざまなものがあります。介護レベルや利用する日数に応じて形態はかわりますが、その種類は非常に豊富です。そのため、リラックスのために、これらの施設を利用して、一時的に預かってもらうということはそれほど難しいことではありません。

しかし、これらの施設の知識がなかったり乏しかったりすると、「家で介護すること」が当たり前になってしまい、施設を利用しようとしません。その結果として、介護疲れはますます加速するのです。

「知識」というのは、一つの「武器」です。知ることによって、介護疲れに対抗していくことができるのです。

5.具体的な対処法

ここまでは「概要」でしたが、ここからはより実践的な方法を学ぶようにしましょう。

5-1.①肉体的対処法

もっとも簡単なのは、1人の介護者がすべてを負担せず、家族の手などを借りることです。特にメインとなる介護者が女性の場合、男性の手を借りることができるのは非常に大きなメリットです。

また、現在は、「立ち上がりの補助」「寝返り」などを学べる動画や介護教室などがあります。これらを参考に、「体に負担のかからない介護のやり方」を学ぶのもよいでしょう。

5-2.②心理的対処法 周囲を頼る・専門機関に相談

一つ覚えておいてほしいのは、介護される側の行動というのは、介護者を困らせることを目的としているのではない、ということです。それはあくまで「症状」の一種なのです。また、メインとなる介護者1人だけで抱え込まなければならない問題ではなく、「相談すれば誰かが助けてくれる」というものなのです。

5-2-1.保険センター

地域にある保健センターに相談に行くことは、自分の現状を知る上でも役立ちます。保健センターの場合、明確に「介護疲れである」「介護うつである」「専門的な施設を探したい」というような目的があっていく必要はなく、現状を吐き出し、整理し、相談できる、という特徴があります。

5-2-3.高齢者相談センター

「シルバー110番」とも呼ばれ、各都道府県に1つずつ用意されています。相談料は無料であり、電話で相談できます。面接なども行ってくれますし、専門的なアドバイスが期待できます。

5-3.③両方の対処法 施設の利用

心理的な負担も肉体的な負担も軽くしてくれる、という意味では、施設の利用が有効です。特に認知症の場合は、特養・老健やグループホームなどがよく使われます。

5-3-1.特養・老健

特養は「特別養護老人ホーム」と呼ばれるものであり、長期間にわたる入所が可能です。「最後の居場所」としても使える場所で、要介護の度合が進んだ人でも受け入れてくれます。

対して老健は「介護老人保健施設」と呼ばれるものであり、3か月に1回の判定が行われ、長期入所は難しいものの、機能訓練は特養に比べて厚いという特徴があります。

5-3-2.グループホーム

認知症患者でも対応しており、機能訓練もしっかりあります。専門的知識を有した職員が常駐するため、安心感もあるでしょう。料金に関しては施設ごとに異なるため、チェックが必要です。

グループホームも特養・老健も、「必ず利用しなければならない」というものではありません。しかし、その存在を知り、「いざというときには頼れる」という選択肢を持つことは、介護疲れを軽減するための大きな要素となります。

6.まとめ

介護疲れというのは、介護する側にとってもされる側にとっても悲劇です。そのため、介護には精神的な負担と肉体的な負担、さらには経済的な負担もあり、それを軽減するための処置が必要である、と考えておかなければなりません。専門的な施設の知識を持っておくのも、そのうちの一つです。

参考:
https://info.ninchisho.net/care/c100
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000072782.html
http://www.sankei.com/affairs/news/150208/afr1502080015-n1.html

介護者の4人に1人!介護うつにならないための4つの約束

介護うつ

介護というのはとても大変なものです。介護される側にも苦しみがありますが、介護をする人間にとっても非常に負担が大きいのも事実です。4人に1人が介護うつを患っているという現状を鑑みる必要があります。

今回は「介護うつ」についてみていきましょう。

1.介護うつとは?

介護うつとは?介護うつとは、その名前の通り、介護をしている人(以下「介護者」)がうつ病になってしまうことです。

介護うつというと、介護をしている最中だけでなく、介護が終わった後に介護うつになるケースもあります。ただ、一般的には「介護うつ」という言葉は前者を指すことが多いので、今回はこちらを主に取り上げていきます。

2.介護うつの原因とは

介護うつの原因はさまざまです。一つとしては、自分自身の健康状態がすぐれないのに介護をしなければならない、といった肉体的なもの。介護をするために仕事を辞めたり貯金を切り崩したりといった経済的なものがのしかかってくることが原因になることもあります。また、多くの人がイメージしやすい、精神的な負担によるものもあります。

2-1.介護によるストレス

同居介護者のストレス有無グラフ
参考:厚生労働省 平成22年国民生活基礎調査の概況「同居の主な介護者の悩みやストレスの有無」

厚生労働省の調査によれば、「介護に関してストレスがある」と答えた人の割合は60%を超えています。特に、「家族(介護される側のこと。以下「被介護者」)の介護や病気がストレスになっている」と答えている人の割合は7割近くに上ります。続いて、「自分の病気や介護」が3割ほど、3位には「家族との人間関係」が続きますが、3位の場合は、女性と男性では10%程度の開きがあります。

2-2.責任感による無理

責任感介護者はしばしば、「責任感」によって無理をします。特に、前時代的な考えをしている環境に身を置いている場合、「施設やプロの手を借りるのは無責任だ」というプレッシャーがあることも。このプレッシャーは、必ずしも外部からかけられるものではありません。介護者本人が自分自身に対してそう思い込んでおり、その結果として、「人の手を借りない介護」をしてしまい、追い詰められることがよくあります。

2-3.孤独/相談相手がいない

孤独介護をするために仕事を辞めたり、趣味をセーブしたりする人は非常に多いと言えます。「自分の本来したいことをやめなければいけなかった」というのはそれだけでも大きなストレスとなります。

これに加えて、社会生活から身を遠ざけることによって、相談相手がいないという「孤独感」が介護者にとって大きな負担になります。また、たとえ相談相手がいたとしても、「暗い話をしていたら相手に悪いのではないだろうか」という気持ちにさいなまれ、自分自身の悩みを打ち明けられなくなることもあります。

3.介護うつになりやすい人

介護うつになりやすい人上でも触れましたが、介護うつになりやすい人には、いくつかの特徴があります。

  • 責任感が強く、自責心も強い
  •  真面目な気質である
  •  周囲に相談せずに、自分自身で解決しようとする

これらは、介護うつに限らず、一般的なうつ病になりやすい人にも共通している特徴です。

この特徴に合致している人は、「自分が介護うつになるかもしれない/なっているかもしれない」と考えておくことも重要です。

4.介護うつに見られる症状

介護うつの症状介護うつもうつ病の一つですから、その症状は、ほかのうつ病のときとそれほど大きくは変わりません。虚無的な感覚やマイナスの感情にとらわれたり、今まで楽しくできていたことができなくなったり、強い自責心を抱いてしまったりするなどです。

4-1.億劫(おっくう)感

億劫最初に言っておきたいのですが、「億劫感」というのは、うつ病に至っていないときでもありうることです。365日続く介護を、愉快な気持ちだけでやっていける人はいないでしょう。「億劫だ」と感じられることがあるのは当然のことです。

しかし介護うつの場合、この億劫な気持ちが長く続き、今まできちんとできていたことが実際にできなくなることもあります。

4-2.憂うつ感

憂うつうつ病の症状として、もっとも想起しやすいのがこの症状でしょう。何をしても気分が沈んでおり、心が晴れません。

ただ、「うつ病」であることと「嫌なことをやりたくない」ということには、大きな違いがあります。うつ病にかかっているときは、今までなら楽しくできた趣味などをやっても心が晴れない、という特徴があるのです。

4-3.不安や焦燥(しょうそう)感

言いようのない不安や焦燥感にかられるのも、うつ病の特徴です。「介護をしているのだから不安があって当然」と見る向きもあるでしょう。しかしこの「不安」は、「現状、そして未来においても、特に問題がない」という状態であっても起こり得ます。

不安というのはそもそも、「何かよくわからないけど、心が落ち着かない」という状態を指します。「経済的な問題がある」などのように明確な懸念材料がなくても、「なんとなくそわそわする」などのような感情に支配されることもあります。

5.介護うつにならないためには? 4つの予防方法

介護うつは悪化すると、介護者の死をも招きかねません。そのため、自分が介護をする立場になった場合は、「自分もなるかもしれない」といった心構えを持ち、予防していくことが大切です。

5-1.自分が感じているストレスに気づく

気づきまず重要なのは、「自分は今ストレスがかかっているのだ」と自覚することです。がんばり屋さんの人などだと、「もっとつらい人もいる」と自分のストレスを軽視しがちです。そのため、まずは、「自分はいま疲れている、ストレスを受けているのだ」と自覚するところから始めましょう。

5-2.ストレスを減らす

ストレスを減らすその次に重要なのが、「ストレスを減らす」ということです。うつ病は、休養などでストレスを受ける要因から意識的に離れることが大切です。

例えば、専門家に頼ること、専門施設に被介護者を預けることが挙げられます。これらを活用して、介護者が休養をとることは、決して責められるようなことではありません。むしろ、専門家の適切な介護をうけたり、グループワークをしたりすることは、被介護者にとってもプラスの効果をおよぼします。

リフレッシュのためにどこかへ旅行をしたり、ショッピングをしたりという時間を設けましょう。

5-3.相談をする

相談する相談をすることは、介護うつを軽減するために必要不可欠なことです。「周りの人には話しづらい」ということであれば、市町村の窓口や国の機関を使いましょう。現在の介護の状況はどうなのか、自分が困っていることは何なのか……。それをすべて話してしまいましょう。

専門家は介護者を否定しません。「相談するなんて薄情な人だ」「自分でどうにかできないのか」などとは思いません。

5-4.情報を得る

情報を得る知識というのは、困難に立ち向かう武器になります。介護にはどのようなサービスがあり、どのような補助金があり、どのように助けてもらえるのかを調べるようにしましょう。「介護を外注するのは高いから」と二の足を踏んでいた人が、調べてみたら、サービスの安さにびっくりした、というケースはよくあります。特に、経済的な問題がストレス源になっている人にはおすすめです。

また、介護うつについての情報を集めることも有効です。「介護」の情報と「メンタルヘルス」の情報、2つを並行して得るのが望ましいでしょう。

6.介護うつの治療

介護のストレスの原因グラフ
参考:生活向上WEB 「どんなことにストレスを感じますか」

介護に関するストレスのなかでもっとも大きいのは、「先が見えないこと」であり、全体の29%近くの介護者がこれをあげています。「心身の疲労」よりも、出口のない、終わりの見えない介護に人は疲れてしまいます。そのため、施設への入居などを考えることは、決して悪いことではありません。

しかし、それでも、「預けることを考えたら家でみる方が精神的に楽」「経済的に難しい」などのような事情もあるでしょう。

その場合、「介護うつをどのように治療していくか」が大切になってきます。

6-1.薬による治療

薬による治療うつ病は、幸福物質とも言われるセロトニンの伝達がうまくいかないことが原因の一つです。

そのため、セロトニンの量を調整するSSRIなどが処方されます。それ以外にも、SNRIやNaSSAなどの薬が用いられます。

しばしば、「うつ病の薬を飲むとくせになる」「一生飲み続けなければならない」「依存する」という意見を見かけますが、うつ病の薬には依存性は認められていません。分量などを自分で調整することは禁忌です。医師の指示に従いましょう。

6-2.休養

休養介護うつに限らず、一般的なうつ病の治療としても使われるのが、「休養」です。介護をいったん自分の生活から切り離し、ゆったりと過ごしましょう。

もっとも、被介護者が要介護5の場合、「ほとんど終日介護をしている」と答える介護者が半数を超えます。このような場合、すべての介護を他に委任する、というのは難しいかもしれません。

ただ、「自分の時間が持てないことがストレスになっている」と答えている人は12%もいる、ということを考えれば、「1日に2時間でも3時間でも、介護から完全に解放される時間」を設けることは重要だと思われます。

同居の他の家族に任せるなどして、私的な時間を確保するようにしましょう。

6-3.精神療法

精神療法うつ病になると、物事を悲観的にとらえたり、否定的にとらえたりするようになります。これは病がこのような思考回路で考えさせているのですが、こういった状態に陥ってしまうと、周囲の言葉はなかなか耳に入らなくなることもあります。

しかし、専門家である医師が「治療」という形で向き合うことによって、状況が大きく改善することもあります。

精神療法として代表的なものは、支持的精神療法、認知療法、対人関係療法があります。

6-3-1.支持的精神療法

本人が抱える悩みについて話してもらい、医師が共感することによって安心を感じ、症状などを和らげる治療法です。うつ病に関して詳しく説明をすることで、理解を深めるといったこともこれに含まれます。

6-3-2.認知(行動)療法

物事の考え方・とらえ方を変えていくアプローチです。うつ病の人は悲観的・マイナスに考えがちなので、悪く考える必要はない、ということに気づかせるような技法が用いられます。

6-3-3.対人関係療法

「重要な他者(自分の情緒に大きな影響を与える相手)」との「現在の」関係性に焦点を当てることで行う治療方法です。

7.まとめ

介護というのは、被介護者だけの問題ではありません。介護者にも大きな負担としてのしかかってきます。そのため、介護うつなどを患う人の数は非常に多く、4人に1人の割合です。

介護うつを予防するためには、自分自身にかかっているストレスを自覚したり、相談をしたり、情報を得たりすることが重要です。また、既に介護うつを患っている場合は、薬や休養、精神療法による治療の必要性が出てくるでしょう。

介護を外注することは、決して悪いことではありません。介護をしている人が、うまくできない自分を責める必要はありません。自分の時間を確保したり、休養をとったりすることは、非難されることではありません。

介護者が介護うつに押しつぶされないようにするために、周囲の理解も必要でしょう。

参考:
http://www.astellas.com/jp/health/healthcare/depression/basicinformation07.html
http://www.cocoro-h.jp/untreated/recover/medication.html
http://www.seikatsu-kojo.jp/research/vol8.php
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa10/4-4.html

レビー小体型認知症とは?第二の認知症と呼ばれる病

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症について見ていきます。

高齢化の進む日本では年々認知症の人が増えている傾向があります。

その中でもアルツハイマー型認知症に次いで患者数が多いといわれ、「第二の認知症」とも呼ばれる「レビー小体型認知症」という病気が注目されていますが、まだまだ病名も知らない人が多いのが現状です。

そこで、レビー小体型認知症について、

  • レビー小体型認知症とは?(概要)
  • 前触れ・前兆
  • 症状・特徴
  • 原因
  • 進行
  • 治療・改善策
  • 周囲の対応

を解説していきます。

レビー小体型認知症を知るために、気になる点だけでも確認してもらえればと思います。

1.レビー小体型認知症とは?

レビー小体型認知症ってなに?

認知症やアルツハイマーといった単語は聞いたことがあっても、「レビー小体型」については初めて耳にするという方も多いと思われます。

他の認知症にも見られるような症状もあり、「気づかれにくく」「誤解や誤診をされやすい」認知症です。

しかし、実態としては患者数が非常に多いため、レビー小体型認知症の存在を広め、早期発見が行われるようにすることが望まれています。

この「レビー小体」とは、脳に特殊な変化によって溜まってしまうたんぱく質のことです。

このレビー小体は運動機能障害を引き起こすパーキンソン病の人にも見られるものですが、パーキンソン病の場合は脳幹の一部でのみ見られるのに対し、レビー小体型認知症では認知機能を司る大脳皮質全体に出現します。

その症状の特徴からアルツハイマー型の認知症や、パーキンソン病と間違えられるケースもあります。

1-1.どんな人がレビー小体型認知症になりやすい?

レビー小体型認知症は、

  • 75から80歳(が多い)
  • 男性の方が多い(女性の2倍程度の患者)

といった傾向があります。

関連記事:確認しておきたいレビー小体型認知症の原因と症状

1-2.三大認知症とそれぞれの違いとは?

患者数の多い「アルツハイマー型認知症」「レビー小体型認知症」「脳血管性認知症」を指して三大認知症と呼ぶことがあります。

これら3つの認知症で認知症患者全体の約85%にもなるといわれています。

認知症の割合

それぞれの認知症の違いは以下の通りです。

  レビー小体型認知症 アルツハイマー型認知症 脳血管性認知症
割合 20% 50% 15%
性差 男性に多い 女性に多い 男性に多い
年齢 75~80歳 65歳~ 50歳~
特徴
  • 認知機能の動揺(変動)
  • 幻視
  • パーキンソン症状
  • 物忘れが多い
  • 人格が変わることがある
  • 脳に萎縮が見られる
  • 過去の脳梗塞が原因になりやすい
  • まだら認知症
  • 片麻痺や神経障害

2.レビー小体型認知症の3つの症状・特徴

レビー小体型認知症には、

  • 認知機能の動揺
  • 幻視・幻覚
  • 運動機能障害

といった特徴的な主だった症状があります。

それぞれの症状について解説していきます。

関連記事:幻視が危険信号!レビー小体型認知症に見られる主な3つの症状

2-1.認知機能の動揺

脳のイメージ

頻度が高い症状で、頭がはっきりしている状態と、ボーッとしている状態を日に何度も繰り返したりします。

判断能力や注意力の低下が見られます。

2-2.リアルな幻視や幻覚

レビー小体型認知症のもっとも特異な症状としてこの幻視・幻覚が挙げられます。

これらはアルツハイマー型でも見られますが、レビー小体型認知症の場合は「布団の周りを5人の人が囲んでいる」といった、本人には現実としか思えないような、かなりリアルな幻視症状が見られます。

また、アルツハイマー型の場合は幻視症状は発症後期から出る場合が多いですが、レビー小体型では初期症状として表れます。

2-3.運動機能障害(パーキンソン症状)

パーキンソン病に似た症状が表れます。

具体的には、

  • 手足の震え
  • 動作が遅くなる
  • 筋肉がこわばる
  • バランスが悪くなる
  • 転倒が多くなる

といった症状です。

寝たきりになってしまうこともあります。

2-4.その他の主だった症状

レビー小体型認知症の精神症状

2-4-1.精神症状

気分・態度の起伏が激しく、普段通りの状態から急に無気力になったり、興奮・錯乱状態になったりということを1日の中で何度も繰り返します。

2-4-2.自律神経障害

自律神経に障害が出るため、失禁してしまったり、便秘になったりしやすくなります。

また、起立性低血圧を起こしやすく、立ちくらみやひどい場合には失神してしまうこともあります。

3.レビー小体型認知症の治療と改善策

薬のイメージ

  • 薬での治療
  • 薬以外の改善策

レビー小体型認知症の特徴として、「薬に過敏になってしまう」ということがあります。

そのため、薬量の加減や併用が非常に難しく、処方の際は医師によく相談することが肝要です。

関連記事:レビー小体型認知症に治療方法はある?どんな薬があるのか?

3-1.レビー小体型認知症に効果的なアリセプト

レビー小体型認知症を完全に治す、進行を止める特効薬はいまのところありません。

しかし、アリセプト(コリンエステラーゼ阻害薬)というアルツハイマー型認知症に用いられていた薬が、レビー小体型認知症にも効果があることがわかっています。

特に認知機能の低下・変動、幻視症状に対して有効と考えられていて、2014年9月よりレビー小体型認知症の治療薬として保険が適用となっています。

ただし、副作用によって怒りっぽくなるなど攻撃性が増す場合や、認知機能の低下が進んでしまうということもあるようなので、処方医とはその量なども含めてちゃんと相談するようにしましょう。

関連記事:認知症患者の3分の2に有効な薬?アリセプトとは?

3-2.各症状に応じた薬での緩和も可能

パーキンソン症状には抗パーキンソン病薬、自律神経障害には血圧コントロールが用いられることがあります。

ただし、薬量の加減や併用については調節が難しいため、専門医と相談しましょう。

3-3.薬以外の治療

軽い運動

疲れない程度の軽い運動を行うことで、自律神経障害を和らげる効果があるとも。

また、昼間に身体を動かし夜間に睡眠をきちんととることで、夜に表れやすい幻視症状を避けることにもつながります。

また、周辺症状については積極的な社会参加によって改善が見られることもあるので、デイサービスや「認知症カフェ」を訪れるというのも一つの手段と言えるでしょう。

4.レビー小体型認知症の人に対して家族ができる対応・介護

レビー小体型認知症の人に対して、家族や周りの人がどのように対応していけば良いのでしょうか?

幻視、認知機能の変動、パーキンソン症状といった症状ごとに対応方法を見ていきます。

関連記事:レビー小体型認知症の3つの進行段階と予後|初期~中期~末期

4-1.「幻視」に対する対応・介護

panic

  • 本人には幻視が「現実」、否定はしない
  • 室内環境を整える

幻視が見えたり、話の内容が間違っていたりしても、認知症の人にとってはそれが「現実」という認識です。むやみに否定してしまうと、怒ってしまったり、こちらからのお願いに非協力的になってしまったりと悪影響しかありません。

まずは話に付き合い、不安を取り除いてあげることが先決です。「知らない人がいる」と言うのであれば、「申し訳ないのですが、家を間違っていますので、帰ってもらえますか?」と玄関まで誘導したりなど、話の内容に合わせましょう。

夕方以降の薄暗いときに不安が増大し、幻視をすることが増えます。部屋だけでなく廊下など家の中全体を極力明るく保てるようにしてみましょう。

また、室内で色が目立つものも幻視の原因となることが多いので、レビー小体型認知症の人が過ごす居室や寝室にものをあまり置かないようにしましょう。

4-2.「認知機能の変動」に対する対応・介護

  • 状態の悪いときはそっとしておく
  • 規則正しい生活を送る

しっかりしているときと、別人のように反応がないときがあります。

状態が優れないときにはできるだけそっとしておくようにしましょう。

そのために、いまどちらの状態にあるのか、ということを把握できるように普段から観察しておきましょう。

いずれの症状も疲れたり不安を感じる夜に起きやすいです。

夜の時間を短くできるよう、規則正しく早寝早起きをして、早めに就寝できるような生活を心がけましょう。

早寝のためにも、健康状態を維持するためにも、適度な運動は大事なことです。

4-3.「パーキンソン症状・自律神経障害」に対する対応・介護

  • できる範囲でバリアフリーを
  • 特に注意すべきは階段・風呂・トイレ

ちょっとしたものでもつまづきやすくなったり、よけるのが苦痛に感じられてしまいます。

家の中に生活する上で「障害物」となるものはないか確認し、取り除けるようにしましょう。

可能であれば手すりをつけたり、玄関先にスロープを設置するのも良いでしょう。

また、レビー小体型認知症は運動機能が低下しているのみならず、起立性低血圧(立ちくらみ)による転倒も考えられるため、入浴後や排泄後にも注意してみてあげることが重要です。

4-4.限界まで無理をしない

症状が進行するにつれ、家族や周囲の支援なしには生活ができなくなってきます。

それに応じて、家族の介助・介護の負担も増していくことでしょう。

「自分の家族なのだから自分の手で助けたい」という気持ちはすばらしいかもしれませんが、介助・介護する側の人間が疲弊してしまっては元も子もありません。

限界が来る前に各種専門機関に相談するようにし、決して無理はしないようにしましょう。

5.レビー小体型認知症の前触れ・前兆

レビー小体型認知症の前兆として表れるのは、

  • 睡眠時の異常(大きな寝言、手足の激しい動き)
  • うつ症状

といった症状です。

特に睡眠時の異常は、レビー小体型認知症を発症する10年以上前から表れるケースもあるとのことです。

まるで起きて興奮しているかのような行動をとっているにもかかわらず、本人に記憶がない場合などは医師の診断を受けた方が良いでしょう。

6.レビー小体型認知症の原因

レビー小体型認知症のはっきりとした原因はいまのところわかっていません。

レビー小体型認知症は、大脳皮質に「レビー小体」という異常なタンパク質が蓄積することで発症することは解明されていますが、なぜ「レビー小体が蓄積するのか」が判明していないためです。

仮説として、加齢によって、

  • ミトコンドリアに異常が起こる
  • 遺伝子が損傷する

などが考えられていますが、まだ研究段階です。

関連記事:確認しておきたいレビー小体型認知症の原因と症状

7.認知症は早期発見が重要

認知症の症状の改善や進行を防ぐためには早く気づくことが非常に重要です。

早期発見によってケアプランも早く立てることができ、環境を整えるということにも寄与します。

7-1.早期発見するには?

先に挙げた「3徴」の傾向が見られたら、レビー小体型認知症の疑いがあると考えられます。

7-2.「レビー小体型認知症なのでは?」と思ったらすぐ診断

認知症の専門の窓口に相談されることをおすすめします。

未だ医師の中でもその症状や対応方法について詳しく広まっていないという事情もあり、誤った診断を受けてしまう可能性も否定できません。

全国に設置されている「認知症疾患医療センター」や、「地域包括支援センター」の窓口に相談しましょう。

自分の住む地域から近い専門機関がわからない場合は、市区町村などの自治体の窓口に相談すれば紹介してもらえます。

8.レビー小体型認知症の進行

レビー小体型認知症の初期から後期にかけて、症状には以下のような移り変わりがあります。

関連記事:レビー小体型認知症の3つの進行段階と予後|初期~中期~末期

8-1.レビー小体型認知症の初期に見られる傾向「3徴」

レビー小体型認知症の3徴

レビー小体型認知症の3つの特徴的な症状(1.認知機能の動揺 2.幻視症状 3.運動機能障害[パーキンソン症状])を指し、「3徴」ともいいます。

この3徴は比較的初期から見られる症状です。

3つの内、2つ以上に当てはまる場合はレビー小体型認知症を疑ったほうが良いでしょう。

また、3徴以外では以下のような症状も見られます。

  • レム睡眠行動障害…睡眠中に大声で寝言を言ったり、手足を激しく動かしたりする
  • うつ症状…うつのような症状が見られ、「元気がない」「食欲がない」
  • 便秘…自律神経に障害が出るため、がんこな便秘にかかってしまう

8-2.レビー小体型認知症の中期に見られる傾向

中期の段階になると、日常生活の中で他者の支援を必要とする場面が出て(増えて)きます。

  • パーキンソン症状の悪化…歩行が困難になり、一人で外出しようとすると転倒の危険が増える
  • 認知機能低下の時間が長くなる…認知機能の変動についてより悪化の傾向が見られる

8-3.レビー小体型認知症の後期に見られる傾向

パーキンソン症状が悪化し、車いすを必要とするケースが多くなります。

また、認知機能は常に悪い状態となってしまいます。常に介助が必要な状態です。

9.まとめ

レビー小体型認知症について見てきました。

レビー小体型認知症の7つのポイント
●概要
●前触れ・前兆
●症状・特徴
●原因
●進行
●治療・改善策
●周囲の対応

レビー小体型認知症について知り、その進行段階に応じた対応ができるようにしていきましょう。

認知症カフェとは?認知症の人と家族が行く15のメリット

認知症カフェでの交流

認知症カフェについて見ていきます。

認知症になると、認知症の人からは「出かける自信がない」、家族からは「どこに連れて行っていいかわからない」といった意見が聞かれることもあるようです。

このような悩みに対する一助として「認知症カフェ」というものが登場しました。多くの方の外出のきっかけになっています。

認知症の人と家族が認知症カフェに出向き、お互いの介護生活をオープンに話すことで地域での助け合いが生まれているからです。

1.認知症になると出かけたくなくなってしまう?

認知症が原因で出かけるのがおっくうになる

  • 外出先での失敗経験が不安
  • 周囲への遠慮
  • 不安が外出したい気持ちを抑えてしまう

認知症の人の中には、外出先での失敗などを経験してしまうと、「また同じようなこと繰り返してしまうのでは?」という不安を感じてしまったり、周囲(家族や外出先)への申し訳なさや遠慮を感じてしまったりして、外出そのものが嫌になってしまうという方もすくなくありません。

面倒を見る家族としても、ひきこもったままはよくないだろうと、「○○に行かない?」と趣味の場に誘ってはみるものの、なかなか気乗りしないようで、外出する不安や怖さの方が心理的に上回ってしまう、ということもあるようです。

病院であれば、ある種の仲間がいたり、そこに医療の専門家たちが揃っているので、なんとか重い腰を上げてくれるものの、もっと他にどこか日常的に気兼ねなく出かけられるようなところはないか、と認知症の人だけでなく、その家族も頭を悩ませています。

そこで近年注目されつつあるのが「認知症カフェ」です。

2.認知症カフェと急増の背景・目的とは?

では、「認知症カフェ」とはいったいなんのための、どんなものなのでしょうか?

2-1.認知症カフェとは?

認知症カフェで仲間をつくる

  • 認知症の人、家族、専門家、地域住民が集う場
  • 交流や情報交換が主な目的
  • 定期的なイベント的開催のケースが多い
  • 参加費数百円~2000円程度

認知症カフェは、認知症の人やその家族、各専門家や地域住民が集う場として提供され、お互いに交流をしたり、情報交換をしたりすることを目的として近年急増しています。

認知症の人が「スタッフ」として、コーヒーや軽食をふるまうこともあり、自分の存在意義を確認するという役割も果たしています。

カフェといっても現状では、一般的なカフェのように営業するのではなく、月数回の定期イベントとして開催されるケースが多いです。

場所は主催者の自宅などの民家や、各種レンタルスペースなどを借りて実施されることが多く、参加費も数百円~2000円程度のところが多いです。

2-2.認知症カフェ急増の背景・目的は?

コーヒーを飲む2人

  • 高齢者の絶対数が増え、認知症の人が増えた
  • 今後も高齢者の数は増えるため、認知症の人も増えることが懸念されている
  • 対策として厚生労働省は新オレンジプランを策定した

現在、日本では軽度認知障害を含めると、約800万人ほどの認知症高齢者がいるとも言われています。国民の約15人に1人、65歳以上の高齢者の4人に1人が認知症の人ということになります。

今後、高齢化が進む中で、認知症の人がさらに増加することが懸念されるため、彼らに対する支援として、厚生労働省が「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」を策定しました。

この新オレンジプラン内の一施策として、認知症カフェの設置を挙げています。

2-3.新オレンジプランとは?

新オレンジプランでは、

「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す」

ということを基本的な考え方としていて、策定にあたっては認知症の人やその家族といった関係者から広く意見を取り入れています。

そして、新オレンジプランでは具体的な施策として、以下の「7つの柱」を置いています。

  1. 認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
  2. 認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
  3. 若年性認知症施策の強化
  4. 認知症の人の介護者への支援
  5. 認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
  6. 認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進
  7. 認知症の人やその家族の視点の重視

この中の、「認知症の人の介護者への支援」の中で、認知症カフェの設置を推進していく予定となっています。

参考:認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)

2-4.海外で始まった認知症カフェ

海外の認知症カフェ

認知症カフェはイギリスの「メモリーカフェ」、オランダの「アルツハイマーカフェ」などを参考に設計されています。

認知症に対して具体的な国家戦略を持ち、認知症ケア先進国とも言える両国では、「認知症カフェ」が認知症の人たちの社会に参画するための場として大きな役割を担っています。

3.認知症カフェの15のメリット

認知症カフェに行くことで認知症の人、そしてその家族が得られる15個のメリットをそれぞれ見ていきましょう。

3-1.主に認知症の人が認知症カフェで得られるメリット

パソコンを見ながら楽しげに話す人たち

3-1-1.本音で話せる

健常者と会話するとなると、「認知症について触れるべきか触れないべきか」、もしくは「できれば話したくないな」などと思うこともあるでしょう。

しかし、お互いに認知症の人だとわかっていれば、自分の症状について話すことについてもあまり抵抗がなくなりますよね。極端な話、自分の失敗談ですら同じ仲間の中であれば笑い話として披露できてしまうものなのかもしれません。

3-1-2.さまざまな情報を受け取れる

お互いの経験を聞けるわけですから、自分ひとりで実際に経験するよりも多くのことを学ぶことができるはずです。

「ここはいいよ」「あそこは危ないよ」などと話している内に外への興味もわいてきて、自然と普段も外出したい、という気持ちになるかもしれません。

3-1-3.心理的な不安の軽減、心のよりどころ

同じ仲間がいるというのはそれだけで不安をやわらげるものです。

そして、次第に「ここに来れば本音で話せるし、同じ悩みを分かち合える」と心のよりどころにもなりえるでしょう。

3-1-4.単純な娯楽として

みんなで世間話をする、音楽を聴く、歌をうたう、料理をする……というような活動をする、運動をすることは気持ちを明るくさせる娯楽になります。

「楽しいから来たい」

それだって十分な理由ですよね。

趣味仲間同士で向き合う

3-1-5.趣味の発見

人と一緒に活動をすることで、いつしかそれが趣味につながるかもしれません。何か熱中するものがあるというのは、脳の働きを活発にするので、認知症の人にとって非常に良いことであるといえるでしょう。

3-1-6.地域や社会との関わり

引きこもったままの生活を続けていると、自分(たち)がその地域や社会から孤立してしまっているような感覚におそわれることがあります。

孤独が不安を呼び、不安が孤独を呼ぶという悪循環を繰り返してしまいます。

「認知症カフェ」を訪れ、他人と会話をし、同じ空間を共有することで、その地域に、社会に、「自分がいるんだ」と改めて認識することができます。

また、「認知症カフェ」では自分がコーヒーやお茶菓子を提供する側にまわることもできるため、他者への貢献を感じることもできます。

3-1-7.友人や仲間ができる

同じ悩みを共有する人たちと、交友関係を深め、情報の交換をしたり、お互いに安否確認をしたり、カフェの外でも同じ趣味を楽しんだり、などといったこともできます。

3-1-8.支援し(助け)てくれる人がいるという気づき

「認知症カフェ」では医療従事者やケアマネージャー、認知症サポーターなどの専門家、または民間のボランティアに出会うでしょう。

家にこもっているとどうしても孤独を感じ、「自分を助けてくれる人などいないのではないか」などと考えてしまいがちですが、カフェを訪れることで自分のことを喜んで助けてくれようとする彼らの存在に気づけるわけです。

3-1-9.専門家(医療従事者、ケアマネージャーなど)とのつながり

医療関係者たちと高齢者

医療や介護の専門家とつながりを持つことは非常に重要で、「認知症カフェ」を継続的に訪れることで、適切な医療・行政のサービスについて提案してもらうことができるでしょう。

3-1-10.各種症状等の早期発見・診断

専門家はちょっとした違いや異変にも気づいてくれることがあるため、重症化しかねない兆候を早期に発見し、その後の適切な処置につなげることができるかもしれません。

また、顔を合わせ会話をすることが、心身の状態を把握するための診断にもなります。

関連記事:その症状もしかして?アルツハイマーが持つ3つの特徴的症状幻視が危険信号!レビー小体型認知症に見られる主な3つの症状働き盛り世代が万引きやモラハラ?ピック病の症状・特徴と2つの対策もしかして若年性認知症?チェックしておきたい7つの症状

3-1-11.生き生きとした生活が送れる

不安を取り除き、楽しみを得ることができるので、少なからず生き生きとした毎日の生活につながっていくことでしょう。

3-1-12.認知症の進行を遅らせる

人との触れ合いや、娯楽、刺激などを得ることによって、認知症の予防になったり、進行を遅らせる効果があったりするのではないかと考えられています。

関連記事:アルツハイマー型認知症の7つの進行段階とその症状レビー小体型認知症の3つの進行段階と予後|初期~中期~末期

3-2.主に認知症の人の家族が認知症カフェで得られるメリット

3-2-1.家族同士の情報交換

老人ホーム

認知症の人の家族を持つもの同士の有益な情報交換ができるかもしれません。

普段、自分は何の気なしにしていることも、他の家族からすれば「なるほど」と思うようなこともきっとあるでしょう。

3-2-2.家族の(心理的)負担軽減

「辛い思いをしているのは自分たちだけではないんだ」と感じられるだけでも、心がスッと楽になるのではないでしょうか。

3-2-3.家族の介護についての専門家への相談

「認知症カフェ」には医療・介護の専門家も参加するケースが多いため、今後認知症の人である家族をどのように介護していったらいいか、など相談に乗ってもらったり、アドバイスを求めたりすることができます。

4.認知症カフェの今後の発展について

認知症の人を囲み笑顔の家族(娘と孫)

新オレンジプランでは「認知症カフェの設置」を掲げているため、今後も広がりをみせていくでしょう。

2018年(平成30年)にはすべての市町村に「認知症地域支援推進員」が配置されます。これに伴い、多くの地域で認知症の人や家族が参加できる場が増えていくことが期待されています。

5.まとめ

認知症カフェについて見てきました。

認知症カフェの15のメリット
■認知症の人のメリット
1.本音で話せる
2.さまざまな情報を受け取れる
3.心理的な不安の軽減、心のよりどころ
4.単純な娯楽として
5.趣味の発見
6.地域や社会との関わり
7.友人や仲間ができる
8.支援し(助け)てくれる人がいるという気づき
9.専門家(医療従事者、ケアマネージャーなど)とのつながり
10.各種症状等の早期発見・診断
11.生き生きとした生活が送れる
12.認知症の進行を遅らせる
■家族のメリット
13.家族同士の情報交換
14.家族の(心理的)負担軽減
15.家族の介護についての専門家への相談

超高齢社会となり、認知症の人が増加することが懸念される中、非常に重要な取り組みとして認知症カフェは注目されています。ぜひ一度参加されてみてはいかがでしょうか?

参考:
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12304500-Roukenkyoku-Ninchishougyakutaiboushitaisakusuishinshitsu/01_1.pdf
http://www.sakura-urban.jp/news/pdf/20130327.pdf
http://www.alzheimer.or.jp/webfile/cafe-web_0001.pdf