ピック病

認知症にはどんな種類がある?認知症種類別の特徴まとめ

認知症の種類

認知症の種類について見ていきます。

「認知症」と聞いて、漠然としたイメージをお持ちの方も多いと思います。実は認知症にはその原因や症状によって、種類が分かれており、それぞれに行うべき対処法も異なっています。

ここではまず、認知症にはどのような種類があるのかについてご紹介していきます。

1.認知症とは?

人間の活動をコントロールしている脳。脳の細胞がいろいろな原因で壊れてしまったり、働きが悪くなると精神や身体に障害が起こります。認知症とは、そのような障害が約6カ月以上継続し日常生活、社会生活を営めない状態を指します。

65歳以上の高齢者のうち認知症を発症している人は2012年時点で約462万人、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の高齢者も約400万人いるとされており、65歳以上の4人に1人が認知症とその“予備軍”であることがわかっています。

さらに2015年1月に発表された厚生労働省の推計によると、2025年の認知症患者は今よりもさらに増え700万人を超えるといわれています。これにMCI患者を加えると、近い将来65歳以上の3人に1人が認知症患者とその予備軍となる時代がやってくるのです。

2.認知症の種類とそれぞれの特徴・症状

認知症には「アルツハイマー型認知症」、「血管性認知症」、「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症(ピック病)」などさまざまな種類があり、原因となる病気によって症状が異なります。中でも最も多いとされる代表的な症状は「アルツハイマー型認知症」です。

2-1.アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、アミロイドβやタウと呼ばれるタンパク質が脳に蓄積することで、神経細胞が壊れ脳の委縮が進行し、体の機能も徐々に失われる病気です。男性よりも女性に多く見られます。

早期の診断が可能で、認知症状の起こる数年前には、紙に立体図形が描けない、時計の図に針を記入できないなどの特徴が認められます。

特徴としては、記憶障害により物忘れがひどくなる、判断能力が鈍り不必要な買い物をする、時計が読めなくなる、家の中のトイレの位置がわからなくなるなどの症状が現れます。病状が進行すると、暴言・暴力・徘徊などの問題行動、幻覚症状などが現れ、身体機能が低下し、すべての生活に介護が必要となります。

関連記事:アルツハイマーとは?250万人以上の患者がいる認知症

2-2.レビー小体型認知症

レビー小体病は、アルツハイマー型認知症に次いで多い認知症です。認知症全体の2割を占めており、男性の発症率が高く、女性の約2倍と言われています。

脳内に「レビー小体」という特殊なタンパク質が出現し、大脳皮質や脳幹に集まることにより神経細胞が壊れて減少し、認知症の症状が現れます。

アルツハイマーなど他の認知症との大きな違いは、初期の段階で「幻視」が見られることです。「知らない子どもが部屋で遊んでいる」「蛇が部屋にいる」などの幻視が本人にははっきりと見えています。

若い頃と同じように今も働いていると訴えたり、自宅にいながら自分の家ではないと思い込むなどの誤認妄想が見られることもあります。

また、手が震える、筋肉がこわばる、表情が乏しくなるなどパーキンソン病に似た症状が現れるため、パーキンソン病と間違われることもあります。

症状の進行の仕方にも特徴があり、しっかりしている時とぼんやりしている時を繰り返しながら症状が進んでいきます。

うつに似た症状や、食欲がない、眠れないなどの訴えもしばしば見られ、睡眠中に大声を出すなどのレム睡眠行動障害が出ることもあります。

関連記事:レビー小体型認知症の3つの特徴と家族がすぐ実践できるケア

2-3.脳血管性認知症

脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害の後遺症として発症し、男性の方が女性よりも多く発症している認知症です。脳血管障害で脳がダメージを受けた部位によって症状が微妙に変わることが特徴です。高血圧、糖尿病、脂質異常症などの治療を行うことで予防や進行の抑制が可能な認知症です。

脳血管性認知症では、「まだら認知症」と呼ばれる独特の症状が見られます。例えば、物忘れがひどく計算力が低下しているのに、判断力や理解力が正常に保たれているなどの症状があげられます。起きたばかりの出来事をすぐに忘れてしまうほど酷い物忘れがあるのに、理解力が必要な受け答えはしっかりできるなどの、できたりできなかったりする症状を「まだら認知」と呼びます。

また、脳の血流が悪い状態のときは何もできないので、調子の良い時間帯と悪い時間帯があります。朝は1人で何もできなかったのに、お昼を過ぎると介護なして過ごせることもあります。時間帯だけでなく、日によっても症状が変化します。

泣いたり怒ったりなどの感情の変化が激しくなることもあります。さらに、話しづらくなったり、箸や歯ブラシなど日用品の使い方がわからなくなる場合もあります。

2-4.ピック病・前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症は前頭葉と側頭葉の委縮によって起こる病気でピック病と呼ばれることもあります。

若い人でも発症する認知症で、原因がいまだ解明されておらず有効な薬も出ていません。アルツハイマー型との違いは、記憶障害よりも人格障害が主な症状として現れることです。そのため性格・行動面の変化が目立つことが特徴です。

同じ言葉を繰り返し発し続ける、決まった時間に家の中を歩きまわる、延々と身体を揺すり続ける、机を叩き続けるなどの行動をとることもあります。

また、食行動にも異常が現れ、毎日同じ料理を食べ続けたり、驚くほど濃い味付けを好んだり、食欲が極端に旺盛になる場合もあります。

他にも、集中力が低下するため落ち着きがなくなる、言葉が出にくくなるため自分から進んで会話をしないこともあります。悪気なく万引きをしてしまうなど反社会的な行動が見られることもあります。

関連記事:働き盛り世代が万引きやモラハラ!? ピック病の症状と2つの対策

2-5.若年性認知症

64歳以下の人が認知症と診断された場合、若年性認知症と呼ばれます。物忘れがひどく仕事でミスが重なっても若いため認知症であることに気付かず、病院で診察を受けてもうつ病や更年期障害と間違われることもあります。発症年齢は平均51歳、女性よりも男性に多く見られる認知症状です。

若年性認知症は、初期の段階で記憶障害や見当識障害が見られます。そのため、大切な予定を忘れてしまったり、書類に今日の日付を書くことができなくなってしまうなどといったことが起きます。また、複数の事柄を一度に考えられなくなるので、部屋の片付けができなくなる、料理の手順がわからなくなる、無謀な車の運転をするといった危険な行動が起きることもあります。

若年性認知症は、脳血管性型とアルツハイマー型が多く、脳血管性型やアルツハイマー型以外にも、前頭側頭葉型やレビー小体型、事故による脳の損傷が原因となる頭部外傷後遺症型、アルコール性の認知症などがあり、現れる症状も型によって違います。

関連記事:高齢者だけじゃない!40代50代にも忍び寄る若年性認知症とは?

2-6.MCI(軽度認知障害)

認知機能には、記憶、決定、理由づけ、実行などがあります。MCIとは、それら認知機能のうち1つに問題が生じているものの、日常生活は支障がない状態を指します。

厚生労働省は、65歳以上の4人に1人は、認知症及びMCIであると発表しています。
また、MCIを放置すると、5年間で約50%の人が認知症へと症状が進行する可能性があると警鐘を鳴らしています。症状の進行を阻止するためにも、MCIの段階で認知機能の低下に気づき予防対策に取り組むことが大切です。

2-7.正常圧水頭症

正常圧水頭症とは、脳脊髄液が脳室に溜まり周囲の脳が圧迫されて障害を起こす病気です。正常圧水頭症が原因で起こる認知症は、早期に発見すれば脳外科手術で治療が可能です。
早期に歩行障害が現れるとともに、バランスを崩し転倒しやすくなります。集中力、注意力の低下とともに意欲が低下し、抑うつ状態が現れます。また、切迫性の尿失禁が見られることがあり、排尿の回数も増えます。

3.認知症は早期発見が重要

「同じことを何度も言っている」「大切な物を置き忘れることが多くなった」といった症状が見られたら早めに医師に相談しましょう。認知症は完治の難しい病気ですが、適切な治療によって症状の進行を遅らせることができます。

また、早めに治療を開始した場合ほど高い治療効果が得られ、症状もゆっくりと進むことがわかっています。そのため認知症は早期診断・早期治療が重要です。

3-1.早期発見するには?

認知症を早く見つけて対処するためのチェックリストがあるので積極的に活用しましょう。下記は「家族の会」の会員が、日常の暮らしの中で認知症ではないかと思われる言動をまとめたものです。

思い当たる言動・行動が多い場合は迷わず医師に相談しましょう。

家族がつくった 「認知症」早期発見のめやす

もの忘れがひどい
1 今切ったばかりなのに、電話の相手の名前を忘れる
2 同じことを何度も言う・問う・する
3 しまい忘れ置き忘れが増え、いつも探し物をしている
4 財布・通帳・衣類などを盗まれたと人を疑う
判断・理解力が衰える
5 料理・片付け・計算・運転などのミスが多くなった
6 新しいことが覚えられない
7 話のつじつまが合わない
8 テレビ番組の内容が理解できなくなった
時間・場所がわからない
9 約束の日時や場所を間違えるようになった
10 慣れた道でも迷うことがある
人柄が変わる
11 些細なことで怒りっぽくなった
12 周りへの気づかいがなくなり頑固になった
13 自分の失敗を人のせいにする
14 「このごろ様子がおかしい」と周囲から言われた
不安感が強い
15 ひとりになると怖がったり寂しがったりする
16 外出時、持ち物を何度も確かめる
17 「頭が変になった」と本人が訴える
意欲がなくなる
18 下着を替えず、身だしなみを構わなくなった
19 趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなった
20 ふさぎ込んで何をするのも億劫がりいやがる

公益社団法人認知症の人と家族の会作成のものを引用)

3-2.認知症にはどんな相談窓口がある?

家族が認知症かもしれないと思ったときは、早めにお住まいの市町村の相談窓口を利用しましょう。ここでは、認知症に関する悩みや疑問を専門家に相談できる窓口をご紹介します。

3-2-1.地域包括支援センター

「地域包括支援センター」は、介護保険法で定められた全国約4000カ所にある相談センターです。病院や介護サービスの情報提供の他に、地域の専門家と連携して総合相談・支援を行い、地域の介護相談の最初の窓口の役目を担っています。認知症の悩みや困り事は、まずは「地域包括支援センター」に相談するのが良いでしょう。

3-2-2.社団法人認知症の人と家族の会

全国47都道府県に支部がある「社団法人認知症の人と家族の会」も相談窓口を設けています。研修を受けた介護経験者が認知症についての相談・疑問への対応、解決に向けてのサポートを行っています。

■認知症の電話相談(社団法人認知症の人と家族の会)

電話受付(月曜~金曜 10:00~15:00)
0120-294-456

【社団法人認知症の人と家族の会ホームページ】
http://www.alzheimer.or.jp/?page_id=146

3-2-3.介護支え合い電話相談(社会福祉法人浴風会)

社会福祉法人浴風会「介護支え合い電話相談」でも相談を受け付けています。介護の経験があり研修を受けた相談員が正確な情報提供を行い、地域ネットワークとの連携支援などを行っています。

■介護支え合い電話相談(社会福祉法人浴風会)

電話受付(月曜~金曜 10:00~15:00)
0120-070-608

【社会福祉法人浴風会ホームページ】
http://www.yokufuukai.or.jp/call/index.html

4.まとめ

認知症の種類について見てきました。

認知症にはさまざまな種類があり、それぞれ違った症状が現れます。中には予防や治療が可能な認知症もあるので、早めに症状に気付き治療を開始することが重要です。完治が難しい認知症であっても早期に適切な治療を施すことによって進行を遅らせることが可能です。

認知症についての相談は、市町村に設置されている「地域包括支援センター」などの電話相談窓口で受け付けています。「認知症かもしれない」と少しでも不安を感じたら迷わず相談しましょう。

参考:
http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/dementia/a01.html
http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/dementia/a05.html
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_recog.html
http://www.ninchishoucare.com/kind/
https://info.ninchisho.net/type
http://www.isshogaiine.com/about/type.html
http://www.alzheimer.or.jp/?page_id=2196
https://info.ninchisho.net/check
http://sodan.e-65.net/check/
http://www.mental-navi.net/ninchisho/shindan/sohki.html
http://www.yokufuukai.or.jp/call/index.html

働き盛り世代が万引きやモラハラ?ピック病の特徴・症状と状況に応じたケアとは

ピック病

ピック病について見ていきます。

「ピック病」は家族や周囲の人が驚いてしまうほどその人の人格を変えてしまう病気で、万引きや痴漢行為をするといった異常行動も見られます。

決定的な治療方法もないと言われているピック病に自分や家族がかかっていることを発見するために何をし、症状をどのように和らげることができるのでしょうか。

ピック病の症状や原因などの詳しい情報を確認した上で、早期発見や患者に対するケアといった対策について見ていきましょう。

1.ピック病とは?

ピック病で万引き?

ピック病とは、脳の前方にある前頭葉と横側にある側頭葉が萎縮する(やせてしまう)ことで引き起こされる神経変性の病気です。

人格や言動に障害が表れるのが特徴で、初老期(40~60歳)に起こりやすく、詳しい原因はいまのところ判明していません。

「前頭側頭型認知症」の一種と考えられているピック病は、アルツハイマー型認知症などと比較すると、社会的な認知度が極めて低く、初めて耳にされる方も少なくないでしょう。

また、現状では明確な診断基準がないため、実際にかかっても気づかれなかったり、場合によっては他の病気と誤診されてしまったりすることもあります。

参考:脳のピック病前頭側頭型認知症

2.ピック病の症状

2-1.人格障害

暴力性

  • 認知症の中で最も強い人格障害
  • 反社会的行動にも及ぶ
  • 栗田貫一さんもピック病が原因でモラル・ハラスメント?

ピック病の最も大きな特徴とも言うべきは人格障害です。

アルツハイマー型や脳血管性の認知症でも確認されることがありますが、ピック病の場合は非常にこの症状が強く表れます。

普段おとなしかった人が大声を出して騒がしくなったり、明るく社交的だった人がふさぎがちで部屋にひきこもってしまったり、と周囲から見ると急に変貌したかのように人格が変わってしまうことがあります。

また、一般的に反社会的ともとれる行動を起こすことも少なくありません。

周囲に暴言を吐いたり、万引きをしたり、痴漢をしたり、運転時に高速道路を逆走したり、といったことを悪気もなくしてしまいます。

それらについて注意する、咎めるなどしても、本人は気にも留めず、場合によって怒りだしてしまうこともあります。

ピック病患者は自分の病気に対する病識(病気であることの認識)がなく、かつ社会的な通念による「抑制」に対し無関心になるため、本能的な行動が目立つようになることが原因となっています。

残念ながら、社会全体にピック病に対する理解がないため、上記のような反社会行動によって、失職するなど社会的地位を失うケースもピック病の人には珍しくないと言われています。

声優、ものまねタレントとして知られる栗田貫一さんもテレビ番組でピック病の疑いがあると診断されました。

番組内では、栗田さんと妻・大沢さやかさん(女優)の生活の様子が取り上げられ、そこでは乱暴な言葉を浴びせたり、急に怒り出したりなど、「モラル・ハラスメント」と思われる言動が見られました。

他にも、いきなり車を購入するといった一見異常行動とも思える場面も。

脳検査の結果、「前頭側頭型認知症(ピック病)」の疑いがある、と診断されていました。

実際のところ罹患しているかどうかについてはわかりませんでしたが、栗田さんの様子は正にピック病の人に見られる障害に似たものでした。

2-2.行動障害(常同行動)

時間を気にする

  • 時刻表的生活
  • 滞続言語

ピック病では行動障害として「常同行動」の傾向が見られます。

常同行動とは、特定の行動や発言を何度も繰り返す状態のことを指し、手を叩くなどの単純な行動から、いつも同じものを持ちたがる、など繰り返される「行動」の範囲は非常に広いです。

この行動は自閉症患者や精神分裂症患者にも見られるため、誤解や誤診されるケースがあります。

常同行動の主だったものとして以下の2点が挙げられます。

  • 時刻表的生活

時刻表的生活とは、毎日「時刻表通り」のように決まった時間に決まった行動をすることです。

時間軸は分や時間単位のケースもあれば、「木曜日はお昼に近くのパン屋でフランスパンを買ってくる」といった曜日で考えるという場合もあります。

  • 滞続言語

滞続言語も常同行動に見られる特有の症状です。

滞続言語とは、話の流れや質問に関係なく同じフレーズ(単語、文章など)を繰り返す症状を指します。

参考:脱抑制行動、常同行動

2-3.失語症症状(進行性失語症)

ピック病では、失語症の症状が表れることがあります。

スムーズに言葉が出てこず、そういった機会が徐々に増えていきます。

2-4.ピック病のその他の症状

その他の症状

  • 意味性認知症
  • 自発性の低下
  • 注意の転動性の亢進、維持困難(影響されやすい)

ピック病では上記のような症状も現れます。

意味性認知症では、言葉の意味がわからなくなってしまったり、物の名前がわからなくなったりします。

自発性の低下により、常同行動以外には何もしなくなることがあり、また、質問を投げかけても特に考えることなく「適当に」答えるような場合があります。

また、注意がそれやすく、外部からの刺激にすぐ反応してしまい、他者が話したことをオウム返ししたり、書いてある文字を読み上げたり、外部の刺激が無くても、落ち着いていられないということもあります。

このように様々な症状がピック病では発症します。

3.ピック病の症状段階

ピック病の経過

3-1.ピック病の初期症状

常同行動や人格障害は、発症初期の頃から目立ちます。

これらを止めようとすると怒りだして、暴力を振るったりすることもあるため、この病気について知っていればわかりやすいとも言えるかもしれません。

ピック病の疑いがある場合は、早期に専門機関に相談されることをおすすめします。

3-2.ピック病の中期以降の症状

ピック病が進行するにつれ、自発性の低下が顕著になり、活動性や意欲が無くなっていきます。

対して、初期症状としてみられた、粗暴な言動は減っていきます。

常同行動は続きますが、複雑な行動が減っていき、単純行動の反復が増えていきます。

徐々に運動機能も低下していくため、何もせず寝たままで一日を過ごすようになっていきます。

4.ピック病の治療方法

具体的な治療法や、進行を抑えるための薬は現状ではありません。

一般的には対症療法として、行動障害の症状を抑えるために抗うつ薬や抗精神病薬を利用することは多くあります。

参考:脳のピック病

5.ピック病の原因

前頭葉と側頭葉

「ピック球」と呼ばれる異常な構造物が神経細胞内に溜まっていくという状態が確認されますが、ピック病の詳しい原因というのは判明していません。

アルツハイマー型認知症が少しずつ病気の原因が解明されているのに対して、ピック病はピック球以外の特徴的な病理がないため、研究が遅れています。

5-1.診断基準がなく、誤診されやすい

日本国内にピック病の人は約1万人いると推定されていますが、明確な診断基準がなく、誤診が多い病気であるため、実際にはもっと多いとも考えられています。

アルツハイマー型認知症や、うつ病、統合失調症と誤診されるケースがあり、適切ではない治療を受けることで症状の進行を早めてしまう可能性が危惧されています。

5-2.若年層に多い傾向

働き盛りともいえる40代~50代に発症するケースが多く、他の認知症と比較すると、若年層に多いと言えます。

6.ピック病と他の認知症との違い

ピック病と他の認知症ではどのような違いがあるのか、確認してみましょう。

6-1.症状の違い

症状の違い

症状の違いとしては、特に「人格障害」が大きく目立ちます。

時に反社会的な行動をとってしまうこともあり、周囲からは「人が変わった」と見られることが少なくありません。

他の認知症では「もの忘れ」が顕著に出るケースが多いですが、ピック病の場合はあまり目立ちません。

参考:アルツハイマー型認知症の7つの進行段階とその症状幻視が危険信号!レビー小体型認知症に見られる主な3つの症状

6-2.病気の部位

脳の前頭葉や側頭葉に萎縮が起きることが特徴です。

ほぼ同義と考えられていますが、ピック病は「前頭側頭型認知症」の一つであるとされています。

7.ピック病になりやすい人

中年期の男女

7-1.ピック病の平均発症年齢は49歳

40代~60代の働き盛りの世代に多く見られ、平均発症年齢は49歳です。

7-2.ピック病に性差は見られない

他の認知症に性差があるのとは異なり、ピック病に性差はほぼ見られません。

7-3.ピック病は遺伝する?

日本ではピック病の家族歴(患者の家族や近親者の病歴)はほとんど確認されていませんが、海外では家族歴を認めるケースがあり、判断がわかれるところです。

ただし、家族同士は生活環境・生活様式が非常に似通っていることが多いので、そのことが影響している可能性も否定できません。

8.ピック病と介護~家族がピック病になったら~

家族のケア

8-1.ピック病の「人格障害」へのケア

行動はワンパターンであることが多いため、2回目以降は行動の予測がしやすいです。

一人での外出はさせないようにし、問題行動を起こす場所では先回りして周囲に理解をもらうようにしましょう。

周囲に暴力などの迷惑行為をはたらくようなことでもないかぎり、本人の行動を遮るようなことはせずに、見守るようにしましょう。止めようとすると、かえって興奮させてしまうことになります。

また、外部からの刺激に非常に「影響されやすい」ため、こちらが感情的になってしまうと、さらに興奮してしまう可能性が高いです。

ピック病の人を寛容に受け入れる姿勢が重要と言えるでしょう。

8-2.ピック病の「常同行動」へのケア

常同行動は遮ったり乱したりしなければ、むしろスケジュール通りに規則正しく過ごせるため、本人のためにもなるとも言えます。

本人の常同行動にうまく合致するように、作業的な日課を用意してあげて、うまく同じような行動を続けてもらうようにしましょう。

「気分転換に」と言って、色々なところに連れ出したり、新しいことをさせたりすると、急激な変化や刺激に弱いので、機嫌が悪くなるなどピック病の人にとってあまり良くありません。

いい意味で常同行動を「利用」しましょう。

8-3.決して無理はしない

ピック病は、前述の通り、暴言を吐く、暴力をふるうなどの激しい言動が見られる傾向もあるため、介護者にとっても非常に負担となります。

決して無理はしないようにし、デイサービスや老人ホームの短期入所を利用したり、ケアマネージャーに来てもらったりするなど、外部の施設やサービスにお願いすることも選択肢の一つに入れるようにしましょう。

9.ピック病の早期発見のためにできること

できること

ピック病の初期症状で見られる常同行動や人格障害、粗暴な言動は、他の認知症と比較すると表に出る症状としてわかりやすいとも言えます。

自分の家族や周囲の人が、いままでとまるで変わってしまったように感じられたら、できるかぎり早い段階で病院、専門機関に相談するようにしましょう。

10.まとめ

ピック病について見てきました。

この記事のまとめ

1.ピック病は若年層に見られ、診断基準が曖昧なために他の病気と誤診されやすいという特徴を持つ

 

2.ピック病では人格障害・行動障害・失語症などの症状が見られる

 

3.ピック病では人格障害や行動障害に合せた理解・ケアと、決して無理はしない(させない)という姿勢が重要

ピック病を知らない人からすれば驚くような症状ですが、知っていることで対処もしやすくなるのではないでしょうか。

また、遠慮せずに専門家の意見を聞くようにしましょう。

参考:
http://www.aricept.jp/alzheimer/e-clinician/vol59/no608/sp06_02.html
http://www.kikuchi-nhp.jp/pdf/monowasure_gairai/monowasure_gairai2.pdf
http://www.ninchisho.jp/kind/04.html
http://www.juntendo-koshigaya.jp/clinic/neurology/ftd.html
http://www.tyojyu.or.jp/hp/page000000300/hpg000000264.htm
http://www.hochi.co.jp/entertainment/20150511-OHT1T50112.html
http://www.benesse-kaigo.jp/kaigo-chie/vol12