とは

アルツハイマーとは?250万人以上の患者がいる認知症

アルツハイマー

アルツハイマーについて見ていきます。

アルツハイマー型認知症は250万人の患者がいるといわれ、もっとも患者数の多い認知症とされています。

しかし、「アルツハイマー」という言葉は聞いたことがあっても、どんな認知症なのかについて知らない人も多いのではないでしょうか?

そこでアルツハイマー型認知症の

  • 概要
  • 前兆
  • 症状
  • 進行
  • 周囲の対応
  • 予防
  • 若年性アルツハイマー

について解説していきます。

気になる点だけ確認してもらうだけでも、アルツハイマー型認知症への理解につながるかと思います。

1.アルツハイマー型認知症とは?

  • もっとも患者数の多い認知症
  • 脳が萎縮する病気
  • 60歳以降に症状が現れる

認知症の中でもっとも患者数が多いとされており、脳の神経細胞が長期間にわたり死んでいき、脳全体が徐々に委縮していく病気です。

そのため、記憶や思考能力が徐々に損なわれ、最終的には単純作業を行う能力さえも失われます。

アルツハイマー型認知症患者のほとんどが60歳以降に初めて症状が現れます。

1-1.日本国内のアルツハイマー型認知症患者数の推移

アルツハイマー型認知症の患者数が増加

  • 患者数は250万人を超える
  • 高齢者の増加に伴い、患者数が増えている

国内のアルツハイマー型認知症患者数は、1995年126万人、2000年156万人、2005年189万人、2010年226万人と年々増え続けています。

2015年は250万人を突破。患者数262万人となりました。

さらに、高齢者人口の増加にともない、今後数十年でより多くの人がアルツハイマー型認知症になると予想されており、2035年には330万人を超えるとされています。

1-2.アルツハイマー型認知症の寿命

アルツハイマー型認知症の寿命は人それぞれ

  • 発症から10~15年以上
  • 人によって期間はさまざま

アルツハイマー型認知症は他の認知症と比較すると、進行がゆっくりとしているため、その寿命は発症から10~15年以上ともいわれています。

とはいえ、あくまで平均的な数値に過ぎず、人それぞれの状態や環境などによって大きく変わってきます。

また、80歳を過ぎてから発症した場合は3~4年といわれています。

2.アルツハイマー型認知症の前触れ・前兆

アルツハイマー型認知症の前触れ

  • 物忘れから始まる
  • 軽度認知障害(MCI)からアルツハイマー型認知症へ移行する
  • 発見は困難

多くのアルツハイマー型認知症は軽い物忘れから始まるといわれています。

認知症と診断される5~7年ほど前から物忘れが多くなります。

アルツハイマー型認知症に移行する前段階として、軽度認知障害(MCI)になるとされていますが、この段階で発見・対策できればアルツハイマー型認知症への移行を止められるといわれています。

アルツハイマー型認知症の前触れ・前兆として見られる具体的な症状は以下のようなものです。

  • 新しいことを覚えられない
  • 人や物の名前が出てこない
  • 気が短くなる
  • スケジュールを立てられない
  • 憂うつになる

2-1.アルツハイマー型認知症になりやすい人は?

肥満女性はアルツハイマー型認知症になりやすい

アルツハイマー型認知症は女性がなりやすい?

以下はアルツハイマー型認知症になりやすい傾向の人です。

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 動脈硬化
  • 60歳以上の高齢者(高齢になるほどなりやすい)
  • 偏食
  • 喫煙
  • 運動不足
  • 女性

多く当てはまる人は注意が必要ですが、必ずアルツハイマー型認知症になるというものではありません。

反対に、多くが当てはまらないからといって、アルツハイマー型認知症にならないというものではありません。

3.アルツハイマー型認知症の具体的な症状

アルツハイマー型認知症の症状

アルツハイマー型認知症は、具体的にどのような症状が現れるのでしょうか。

ここでは、アルツハイマー型認知症の症状の特徴を一緒に確認していきましょう。

3-1.記憶障害

物忘れが起きるようになります。

一般的な物忘れと違い、アルツハイマー型認知症の患者は少し前に起きた事を思い出せません。

会話中に席をはずし、5分後に戻ってきて会話を続けようとしても話題を思い出す事ができないといった例があげられます。

3-2.判断能力の低下

例えば「料理に使う食材を自分で判断出来ない」「部屋の片付け方がわからなくなる」「季節外れで、ちぐはぐな服装をする」などの行動が見られるようになります。

判断力の低下により、悪気なく万引きをしたり、詐欺などの事件に巻き込まれる可能性もあるので注意が必要です。

3-3.見当識障害

見当識障害は、記憶障害と並んで早い段階から現われる症状です。

見当識とは、日付や時間、場所など自分がおかれている状況を認識する能力です。

今日の日付や時間を間違う、通い慣れている場所がわからなくなり、症状が進むと自宅さえもわからなくなります。

また、息子を孫と間違ったり、既に成人した子どもを幼児であると思い込むなど、人に対する認識間違いが起きる事もあります。

3-4.周辺症状

家の中や外をウロウロと歩きまわる「徘徊」と呼ばれる行動がしばしば現れます。

また、大切な物を誰かに盗られたという「物盗られ妄想」を訴え、家族を疑って責めるような症状も見られます。

さらに、薬を嫌がって飲まないなどの「介護拒否」や、家族や自分の顔がわからなくなる事もあります。

4.アルツハイマー型認知症の原因

原因は不明

アルツハイマー型認知症の直接的な原因はまだ解明されていません。

脳に「アミロイドβ」や「タウ」と呼ばれる特殊なたんぱく質が溜まる事で神経細胞が壊れて減り脳が萎縮するために、身体の機能が失われることがわかっています。

危険因子(アルツハイマー型認知症の発生を高める病気や習慣)としては、

  • 高血圧
  • 高コレステロール
  • 糖尿病などの生活習慣病
  • 偏食
  • ストレス
  • 運動不足
  • 頭部への強い衝撃
  • 慢性期な脳または脳周辺の炎症

などが挙げられます。

5.アルツハイマー型認知症の7つの進行段階

アルツハイマー型認知症の進行段階

  • 不可逆性で時間の経過とともに進行する
  • 7つの進行段階がある

アルツハイマー型認知症は、時間の経過とともに進行する病気で7段階の枠組みに分けられています。

この7段階の枠組みは、ニューヨーク大学薬学部シルバーステイン老化と認知症研究所の臨床部長であるバリー・ライスバーグ博士により考案されました。

5-1.段階(1)正常

記憶能力は低下しておらず、認知機能の障害がない状態です。

5-2.段階(2)年相応(非常に軽度の認知機能の低下)

  • 日頃よく使う言葉や名前を忘れる
  • メガネや財布など日用品の置き場所を忘れる

など。

健康診断で問題となることなく、友人や家族も気づかない程度の軽度の認知機能の低下が見られる段階です。

5-3.段階(3)境界状態(軽度の認知機能の低下)

  • 文章を読んでもほとんど覚えていない
  • 家族や友人が気付くほど言葉や名前を思い出せなくなる
  • 職場での作業スピードの低下に同僚が気付く
  • 計画を立て整理する能力が低下する

などの症状が現れたら、初期段階のアルツハイマー型認知症である可能性があります。

5-4.段階(4)軽度(あるいは初期段階)のアルツハイマー型認知症

  • 「100から7ずつ引く」など難しい暗算が解けない
  • 最近起きた出来事を知らない
  • 清算、支払い管理など複雑な作業ができなくなる
  • 自分の生い立ちの記憶が薄れる

などのはっきりとした症状が現れ始めます。

5-5.段階(5)中等度(あるいは中期段階)のアルツハイマー型認知症

  • 「40から4ずつ引く」あるいは「20から2ずつ引く」などの簡単な暗算が解けない
  • 服を選ぶのに助けがいる
  • 場所・日付・曜日・季節がわからなくなる
  • 現住所・電話番号・卒業した大学など大切な情報を思い出せない

などの症状が現れます。

記憶が欠落し、認知機能に障害が現れ、日常生活でサポートが必要となり始めます。

5-6.段階(6)やや高度(あるいは中期段階)のアルツハイマー型認知症

この段階では、記憶障害がかなり進行し,性格が大きく変化し、日常生活に大幅な手助けが必要となります。

  • 最近の経験および出来事や周囲の環境がわからない
  • 自分の生い立ちを完全に思い出せない
  • 配偶者や顔なじみの介護者の名前を忘れる
  • 着衣・トイレに手助けが必要となる
  • 徘徊し迷う事が増える
  • 尿失禁や弁失禁がたびたび起きる
  • 妄想や、幻覚、強迫的または反復的な行動

などの行動的症状が見られるようになります。

5-7.段階(7)高度(あるいは後期段階)のアルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症の最終段階では、患者は環境や状況に応じて反応し会話することができなくなります。

そして、最終的には体を動かす事が出来なくなります。

時には単語や文章を話す事もありますが、食事やトイレなどの日常生活を1人では出来なくなり介護が必要となります。

筋肉が硬直し、嚥下に障害が出る事もあります。

6.アルツハイマー型認知症の人にどう対応したらよいか?

アルツハイマー型認知症の人への対応

アルツハイマー型認知症にかぎらず、認知症の人には周りのサポートが不可欠です。

家族や周囲の人がアルツハイマー型認知症になった場合、どう対応したらいいのか、考えていきましょう。

6-1.怒らない、許してあげる

アルツハイマー型認知症の人は、同じ話を繰り返すことも多いのですが、怒らずに出来るだけ付き合うようにしましょう。

6-2.約束は書いておく

約束などを忘れないようにカレンダーに書き出したり、メモなどを使うのも有効です。

家族やヘルパーが薬を管理することで、薬の飲み忘れなどを防げます。

1度にたくさん飲んでしまう事もあるので飲み終わるまで見届けましょう。

6-3.迷うことを前提に対策する

外出先で迷わったときのために、連絡先を服に付けたり、小型GPSをポケットに入れるなどの対策をしておきましょう。

徘徊が始まった場合は、鍵を手の届かない場所に格納し、民生委員などにも連絡して協力をしてもらいましょう。

6-4.話を合わせてあげる

幻視や物取られ妄想などの訴えを否定すると興奮する事があるので話を合わせることも大切です。

6-5.お互いに嫌な気持ちにならないように

どちらかが我慢していると、ストレスがたまっていってしまい、後々のトラブルにつながってしまいかねません。

介護の合言葉は「使えるものは使う」。

介護サービスを使えるだけ使い、介護者と介護される側のどちらも快適に過ごせるように気をつけましょう。

7.アルツハイマー型認知症の予防と改善策

アルツハイマー型認知症の予防に運動

  • 予防には生活習慣の見直しが重要
  • 生活習慣の見直しは発症後の改善にもつながる

アルツハイマー型認知症は時間の経過とともに発症の可能性が高まり、絶対にかからないようにする、という方法は現在のところありません。

ただし、生活習慣の見直しによって、認知症発症の予防につながると考えられています。

また、アルツハイマー型認知症は、早期発見、早期治療により進行が緩やかになる事がわかっています。

異変に気付いたらすぐに、認知症専門病院、神経内科、物忘れ外来、老年病内科などに行きましょう。

大きな総合病院が近くにない場合は、かかりつけ医に相談して専門医を紹介してもらうのも良いでしょう。

7-1.生活習慣の改善

脳の状態を良好に保ちアルツハイマー型認知症を予防するには、食習慣や運動習慣を見直すことが大切です。

認知機能を重点的に使うには、知的行動習慣を意識した日々を過ごすことが重要だと言われています。

7-2.食生活の見直し

野菜・果物を食べてビタミンC、E、βカロチンを摂取し、ポリフェノールを含んだ赤ワインを飲みましょう。

青魚やカマンベールチーズを食べると発症リスクが下がるとも言われています。糖尿病患者はアルツハイマーの発症リスクも高いと言われています。

食べる時は腹八分に抑え、甘い物ばかり食べないように注意し、糖尿病を防ぎましょう。喫煙、飲酒も控えるようにしましょう。

関連記事:今日から実践できる!認知症の予防に効果的な16の食材と食事

7-3.定期的な運動

週3日以上の有酸素運動を心がけましょう。食べた後すぐ横になって寝る生活を改善し、日常的に小まめに体を動かす事も有効です。

7-4.十分な睡眠の確保

睡眠不足もまた認知症と関係があるとされています。

ストレスが原因の睡眠不足に注意し、夜更かしし過ぎないで早く寝る習慣をつけましょう。

また、30分未満の昼寝や起床後2時間以内に太陽の光を浴びるのも良いでしょう。

7-5.脳を活性化させる活動

脳の状態を良好に保つため意識的に、文章を書く・読む、囲碁・将棋・マージャンなど頭を使うゲームをするなどの知的行動習慣を身につけましょう。

  • 数日遅れの日記をつける
  • 旅行の計画を立てる
  • 料理を何品か同時進行で作る
  • 新しい事にチャレンジする

など、脳機能を集中的に鍛える行動は、発症を遅らせる効果的な方法であることがわかっています。

8.若年性アルツハイマーとは?

64歳以下の人もアルツハイマー型認知症になる可能性があります。

64歳以下のアルツハイマーは若年性アルツハイマーと呼ばれます。

若年性アルツハイマーの患者は、大事な予定を忘れたり、書類に日付を書けないなどの症状の他に、例えばドアが見えているにも関わらず部屋から出られなくなり室内を歩き回るなどの視空間失認が起きることがあります。

8-1.若年性アルツハイマー型認知症を扱った作品

若年性アルツハイマー型認知症と宣告された主人公とその家族を描いた映画をご紹介しましょう。

8-1-1.「アリスのままで」

50歳で若年性アルツハイマーを発症した女性を描いた作品。高名な言語学者でありニューヨークコロンビア大学の教授を務めるアリスは、若年性アルツハイマーを宣告され闘病の日々が始まります。

8-1-2.「ビューティフルレイン」

ある日突然、若年性アルツハイマーと診断される父親と幼い娘の親子愛を描く人間ドラマ。

8-1-3.「明日の記憶」

若年性アルツハイマー型認知症と診断された夫と、それを受け止めいたわる妻。痛みを共有し共に病と闘う夫婦の情愛を描いた感動作。

9.認知症とは?

認知症とは、後天的原因で起こる知能の障害です。

生後、正常に発達した精神機能が減退・消失し正常な日常・社会生活ができなくなる状態を指します。

10.まとめ

アルツハイマーについて見てきました。

アルツハイマー型認知症の原因は未だ不明ですが、予防方法は少しずつ解明されています。

食習慣や運動習慣など、生活習慣全般を見直すことで糖尿病、高血圧、脳卒中などの生活習慣病の発症リスクが低下すると同時に、アルツハイマー型認知症も予防可能であることがわかっています。

自身の生活習慣を今一度見直し、健康的な日々を送るように心がけましょう。

認知症患者の3分の2に有効な薬?アリセプトとは?

アリセプト

アリセプトについて見ていきます。

認知症の多くは不可逆性です。しかしながら、不可逆性であっても、役に立つ薬というのはたくさんあります。今回はそのなかから、「アリセプト」を取り上げましょう。

1.アリセプトの概要

まずは、アリセプトとはどういうものか、ということを考えていきましょう。

1-1.アリセプト(ドネぺジル塩酸塩)とは?

アリセプトとは、認知症の薬として開発されたものであり、1999年の終わり(10月~11月)に販売が開始されました。アリセプトというのは商品名であり、「ドネペジル塩酸塩」というものです。

現在は、ジェネリック製品もでています。

1-2.アリセプトの種類と剤形

アリセプトは基本的には錠剤です。しかし現在では、細粒タイプの物も出ています。また、それ以外にも、少量の水(唾液でも可)で溶ける、「口腔内崩壊錠」と呼ばれるものや、ゼリータイプ、シロップ状態になっているものもあります。それぞれの嚥下能力の状態などによって使い分けられており、多くの人が飲みやすいように工夫されています。

1-3.アリセプトの承認状況

アリセプトは、15年以上の歴史を持つ薬です。1999年に初めて、アルツハイマー型認知症(当時は「アルツハイマー型痴呆症」と言われていました。この名称が「認知症」に変わるのは、それから5年後のことです)の薬として打ち出されました。当時は錠剤タイプでしたが、2年後には細粒タイプのものが承認されました。

2007年になると、それまでは「軽度~中等度を対象とした薬である」とされていたものが改められ、「高度にもきく」として追加承認をうけました。いまでは、ゼリータイプやシロップタイプもあります。

2.アリセプトの作用基準と効果

少し専門的な話になりますが、作用基準と効果についてみていきましょう。

2-1.作用基準

認知症では、記憶にまつわる能力が低下します。この「記憶」には、アセチルコリンが関わっているのですが、これ働きが落ちて不活性化すると、認知症は進んでしまいます。

このアセチルコリンは、アセチルコリンエステラーゼという物質(酵素)によって分解されます。

つまり、アセチルコリンエステラーゼの働きを妨害すれば、アセチルコリンが減らず、記憶能力の低下を防げる、ということです。アリセプトは、このアセチルコリンエステラーゼの妨害役として開発されました。

関連記事:認知症の進行を抑制?症状を緩和するコリンエステラーゼ阻害薬とは?

2-2.効果

このような作用でもって認知症対策に貢献するアリセプトですから、とても有効ではあります。しかしアリセプトができるのは、当然のことながら、認知症を「治すこと」ではなく、「進行速度を遅らせること」になります。

3.アリセプトの注意点

アリセプトは薬ですから、当然取扱いには注意が必要です。

3-1.アリセプトの副作用

アリセプトの副作用としては、「胃腸」に作用するものがあります。しばしば、食欲が減退したり、嘔吐、下痢などが起こったりすることがあります。場合によっては服薬中止になることも。

また、不自然に会話が増えたり、動き回ったりという症状がみられることもあります。

3-2.アリセプト服用に関する禁忌

心筋梗塞などの病気にかかった場合や、ペースメーカーを使用している人は医師に相談しなければなりません。また、ピペリジン(化合物の一種)誘導体に過敏に反応する人は使えません。

4.レビー小体型認知症に関する適応追加

アリセプトは、アルツハイマー型の認知症にも、レビー小体型の認知症にも効果を示します。アリセプトが「レビー小体型にも効果がある薬だ」と承認されたのは、実はつい最近であり、1年もたっていません。(承認は2014年9月)

関連記事:レビー小体型認知症の3つの特徴と家族がすぐ実践できるケアレビー小体型認知症に治療方法はある?どんな薬があるのか?

5.まとめ

アリセプトについて見てきました。

アリセプトは非常に効果的な薬といわれています。レビー小体型認知症とアルツハイマー型認知症をあわせた総数は、認知症全体の3分の2になると言われています。このように考えると、(禁忌であり使用できない人はいるにせよ)アリセプトは、認知症の人の3分の2に使える、極めて汎用性の高い薬である、と言えるでしょう。

コグニサイズって何?認知症予防のための運動

コグニサイズ

コグニサイズについて見ていきます。

認知症予防のためには、運動が有効だと言われています。そのなかから、今回は「コグニサイズ」というものを取り上げましょう。

1.コグニサイズとは?

コグニサイズとは、国立長寿医療研究センターが開発した運動のうちの一つです。認知症予防に効果的だと言われているプログラムをもとに組み立てています。

1-1.認知症予防を目的とした取り組み

平均寿命が延びていることなども一因となり、認知症の患者さんは増えています。そのため、認知症を予防するための取り組みがたくさんなされています。コグニサイズも、そのなかのうちの一つです。

関連記事:今日から実践できる!認知症の予防に効果的な16の食材と食事

1-2.国立長寿医療健康センターが開発

国立長寿医療センターが開発したコグニサイズは、「cognition」と「exercise」という言葉を組み合わせた造語が語源です。これはそれぞれ、「認知/認識」と「運動」という意味を持つ言葉です。

しっかりとしたエビデンスを元に作られたこの運動は、2015年に、普及拡大する、と同センターにより発表されました。

2.コグニサイズはどんな動きをする?

ここからは、具体的なコグニサイズの「動き」についてみていきましょう。

2-1.コグニステップ

「自分の両足でしっかりと立ち、数字を数え、3の倍数のときに手をたたく」というものです。

また、あわせて、

  1. 右足を出して
  2. それを戻し
  3. 次に左足を出して
  4. それを戻す

というステップも組み合わせます。

2-2.コグニラダー

コグニラダーというのは、はしごを使って行うものです。4色のはしごを使い、これを床に置きます。

はしごには4つの枠がありますが、一つの枠内で足踏みをしていきます。また、それ以外にも、「特定の色のときに、足を外に出す」などの課題があることもあります。

2-3.コグニウォーク

しりとりなどをしながら行う早足でのウォーキングを指します。頭の運動にもなるため、これも認知症予防に効果的です。

3.コグニサイズを行う際の注意点

運動量能力、特に高齢者のそれは、個人によって大きな差があるものです。そのため、コグニサイズを行っているときでも、人によってつらさを感じたり、大きな負荷になったりすることがあるでしょう。また、転んだり、それ以外の怪我をしたりする可能性もあります。このようなときは無理をせず、しっかり休むようにしましょう。また、水分補給も大切です。

加えて、コグニサイズには、「慣れ」が生じます。慣れてしまうと、刺激が少なくなってしまうのでしょう。そのため、新たな課題を作っていくことも大切です。

4.まとめ

コグニサイズについて見てきました。

具体的なコグニサイズの動き
1.コグニステップ…左右の足を交互に出しながら数字を数え、3の倍数のときに手をたたく
2.コグニラダー…床に置いたはしごの一つの枠内で足踏み
3.コグニウォーク…しりとりなどをしながら行う早足でのウォーキング

認知症予防のためのコグニサイズは、毎日やることで効果があがりやすくなります。誰にでもできる運動ですから、ぜひ取り組んでみてください。

急増するサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは?10の特徴

サービス付き高齢者向け住宅とは

サービス付き高齢者向け住宅について見ていきます。

高齢者向けの住まいというのは、非常に選択肢が豊富です。自分のライフスタイルにあったものを選べるようになっています。

1.サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは?

そのなかに、「サ高住」と呼ばれるものがあります。これの正式名称は「サービス付き高齢者向け住宅」と言います。ただ、大変長い名前ですから、「サ高住」と略されて書かれていることが多いようです。今回の記事の本文では、この略称である「サ高住」という言葉を使ってお話をしていきましょう。

1-1.サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の概要

サ高住は高齢者向けの住居ですが、その基準は厳密に定められています。詳しくは後述しますが、広さなどがその基準です。

ちなみに、サ高住は、「有料の高齢者施設」ではありません。一般的な住まい(マンションや一戸建てなど)と同じ区分に位置するものであり、「高齢者向けに打ち出されている住宅である」と考えるとよいでしょう。

1-2.サービス付き高齢者向け住宅の入居条件

どのサ高住にも共通する入居条件はたった一つ、「60歳以上である」ということです。というのも、サ高住はあくまで「住宅の形態の一つ」というべきものでもあるからです。

そのため、明確に、「このような症状の人はダメ」ということはなく、要介護状態の人であっても、また逆に自立している人であっても、施設の基準を満たせば使えます。もっとも、多くの施設は、軽度の介護状態までの人を対象としているケースは多いです。

ただ、この「入居基準」というのは、「明確な基準としては60歳以上である、ということだけ」という意味です。独自の基準を設けているところもあります。

関連記事:サービス付き高齢者向け住宅の5つの入居条件

1-3.サービス付き高齢者向け住宅の費用

月額費用は10万円~20万円程度です。入居時に支払う費用は施設によって異なり、「まったく必要ない」というところから、数百万円に及ぶところまであります。

関連記事:サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)での生活にかかる費用まとめ

2.サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)ならではの特徴とは?

サ高住ならではの特徴についてみていきましょう。

2-1.国土交通省が定めた登録基準

サ高住として登録するためには、国土交通省が定めた「登録基準」を満たす必要があります。そしてこれこそが、サ高住のもっとも大きな特徴と言えます。ちなみに、この「サ高住」は、平成23年に生まれたものです。

2-1-1.①広さ

サ高住の場合、「十分な広さが確保できること」を条件としています。その基準は、「居室の広さが25㎡以上」というものです。(共有部分が大きければ18㎡以上となる)「広さの確保」が、サ高住の特徴であり、魅力でもあります。

2-1-2.②設備

サ高住には、設備の基準もあります。まず、バリアフリー構造であること。高齢者対象住宅であるため、これは重要です。

また、専有部分に、台所や水洗トイレ、収納ペース、浴室、洗面所がついていることも基準の一つです。一般的な「家」に求められる設備があることが原則となります。

2-2-2.③管理(行政指導)

サ高住は、その特性上、「公平さ」が求められます。そのため、誇大広告を打ち出したり、契約前の説明があいまいであったりということは禁止されており、情報の適正な開示を行う必要があります。また、行政による立ち入り検査や指示も入ります。

2-2.求められるサービス

サ高住に求められるサービスについてみていきましょう。

関連記事:サービス付き高齢者向け住宅のサービス内容ってどんなもの?

2-2-1.④安否確認サービス

常駐しているスタッフによる「見守り」は行われています。嫌な言い方ではありますが、いわゆる「孤独死」などを防ぐ機能としても機能しています。

関連記事:サービス付き高齢者向け住宅の安否確認サービスとはどんなもの?

2-2-2.⑤生活相談サービス

生活全般に関する相談を行うことができます。解決策や改善策を聞くことができますし、「人に話すこと」だけでも気が楽になるでしょう。

関連記事:サービス付き高齢者向け住宅の生活相談員にはどんな役割がある?

3.サービスへの疑問点

よくあるであろう疑問点を解消していきます。

3-1.⑥介護サービスは受けられる?

基本的にはサ高住の場合は外部の介護サービスを自分で選び、依頼することになります。

関連記事:サービス付き高齢者向け住宅のサービスに介護保険サービスは含まれる?

3-2.⑦医療サービスは受けられる?

これも、原則としては対応していません。しかし、施設によってはリハビリなどを含む医療サービスを受けられるケースがあります。この点に関しては介護サービスと同じで、施設ごとの性格の違いがでます。

関連記事:サービス付き高齢者向け住宅で行うことのできる医療行為とは?

4.入居後の生活

入居後の生活についても見ていきましょう。

4-1.入った後はどうなるか

基本的には「家」であるため、退去を強制されることはありません。しかし、長期入院や症状の悪化などが、その施設の掲げる「条件」と合致していない場合は、退所となることもあります。

4-1-1.⑧認知症になったら

認知症に関しては基本的には対応していません。しかしながら、施設によってばらつきはあります。

4-1-2.⑨介護レベルが進んだら

その施設の「条件」によります。「要介護状態になっても、施設内で対処する」というケースもあるでしょうし、「外部の介護スタッフが対応できれば可」としているケースもあるでしょうし、「条件が折り合わないので退所をお願いする」というケースもあるでしょう。

4-1-3.⑩入院したら

長期の入院に関しても判断がわかれます。「それは困る」としているところもあれば、「賃貸住宅であるから、その家賃などを払っていてくれるならば、退去の必要はない」とするところもあります。

5.他の施設との違いは?

ここまではサ高住の特徴についてみてきましたが、他の施設との違いも見ていきましょう。

5-1.入所施設にはどのようなものがあるか

入所施設にはさまざまなものがありますが、ここでは特に代表的な4つを取り上げます。

5-1-1.介護付き有料老人ホームとの違い

介護付き有料老人ホームとサ高住の違いは「介護がついているかどうか」ということにあります。上でも述べたように、サ高住のなかには介護に対応しているところもないわけではありませんが、絶対条件ではありません。

5-1-2.在宅介護との違い

在宅介護は、その名称通り、家で介護を受けることを指します。サ高住の場合、確かに介護状態になった人はこれらのサービスを利用することになりますが、自立している人にとっては不要であり、利用しなくてもよいものです。

5-1-3.短期入所施設との違い

短期入所施設の連続使用期間の上限は30日間です。しかし、「賃貸住宅」であるサ高住は、このようなしばりがありません。

5-1-4.養護老人ホーム

養護老人ホームは「さまざまな理由により、自宅で生活を営めない(営むことが難しい)人が入る施設」です。この「さまざまな理由」には経済的な困窮も含まれており、比較的資金が潤沢であることが求められるサ高住とは、方向性が大きく違います。

関連記事:入居困難な養護老人ホーム|入居条件とサービス内容について

6.まとめ

サ高住は、広さなどが確保されているという意味で、とても住みやすいものです。また、施設ごとの差が大きいので、内容についてはしっかりと確認しておく必要があります。

他の施設との差を明確にし、上手に選択しましょう。

参考URL:
http://www.kaigo104.com/shurui/yougo.html
http://www.cocofump.co.jp/faq/
https://www.satsuki-jutaku.jp/faq/228.html
http://kaigo.chintai.mynavi.jp/guide/detail_01/02/
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000005.html
http://kaigo.homes.co.jp/manual/facilities_comment/service/
http://dot.asahi.com/wa/2014093000097.html
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000005.html

ユニット型特別養護老人ホームとは?従来型との違い・メリット・デメリット

ユニット型特別養護老人ホーム

ユニット型特別養護老人ホームについて見ていきます。

高齢化社会である、と言われて、すでに長い時間が過ぎました。平均寿命が年々長くなってきていること、高齢者の割合が多くなっていること、ライフスタイルが多様化していることなどから、高齢者の入る施設の形や介護サービスというものは、非常に選択肢が増えています。

一昔前なら考えられなかった形態の施設やサービスが出てきたのも、この流れを考えれば、当然であると言えるでしょう。

今回はそのなかから、「ユニット型特別養護老人ホーム」を取り上げようと思います。

1. ユニット型特別養護老人ホームとは?

ユニット型特別養護老人ホームと、従来の「特別養護老人ホーム」では、その形態が違います。ここでは、その2つを差別化することを目的として、話を展開させていきましょう。

1-1.ユニットケアとは?

そのためには、まずは、「ユニットケアとはそもそも何か」ということを考えなければなりません。

ユニットケアとは、「個別ケア」とも言いかえるものができるものです。全室が個室であり、大部屋ではありません。そのため、プライバシーに最大限配慮した部屋作りとなっています。入浴やレクリエーションなどは団体で行うことになりますが、その人数は小規模で、10人以下です。また、スタッフも専任であり、めまぐるしく変わる、ということはありません。

レクリエーションなどでコミュニケーションをとることができる一方で、従来の施設の問題点であった「プライバシー性の配慮」が十分になされているケア形式である、と考えることができます。

2.従来型とユニット型の違い

上記でも触れましたが、もっと細かく見ていきましょう。

2-1.入居者を中心に設計されている

ユニット型特別養護老人ホームが目場とするものは、「入居前と入居後の生活が、連続したものとなること」です。

「介護をしやすい施設」というスタッフ側の目線からではなく、「今までと変わりにくい生活を送れること」を考えて作られたという、入居者中心の構成となっているのです。もちろん、従来の施設がそうではない、というわけではありませんが、ユニット型特別養護老人ホームの方が、より「自分らしく」「自分でやりたいことを」「自分で決めてやる」という性格が強い、と言えます。

2-2.少人数ケア体制

上でも述べましたが、ユニット型特別養護老人ホームの場合、少人数単位でのケアが可能です。大人数を対象とするケアがいけない、というわけではありませんが、少人数ケアが可能なユニット型特別養護老人ホームの方が、きめ細やかな対応を求めることができるでしょう。特に、「その人、その人の生活リズムやパターンにあった介護を受けられる」というのは、ユニット型特別養護老人ホームの大きな特徴です。これこそが、ユニット型特別養護老人ホームをユニット型特別養護老人ホーム足らしめている要素である、ともいえるでしょう。

3.ユニット型特別養護老人ホームのメリット・デメリット

上では、ユニット型特別養護老人ホームの「メリット」を中心としてお話してきましたが、ここからはユニット型特別養護老人ホームのデメリットも含めて、具体的に考えていきましょう。

3-1.ユニット型特別養護老人ホームのメリット

何度か述べてきましたが、プライバシーが確保できる、というのがユニット型特別養護老人ホームの大きなメリットです。加えて、専任スタッフがいたり、関わる人が少人数であったりすることから、入居者やスタッフとの交流が密になり、お互いの理解度を深めたり、仲良くなったりすることが期待できます。

少人数である、という特徴を生かし、できる限り一人ひとりの生活リズムなどにあったケアがなされている、というのも、ユニット型ならではの美点でしょう。
施設側からのメリットもあります。

「徘徊がへった」という報告や、「個別の部屋があるため、風邪などを患ったときでも、他の利用者に移る可能性が低い」という事実もあります。このような観点から、ユニット型特別養護老人ホームには、非常に多くのメリットがある、と言えるでしょう。「家」に近いため、落ち着きやすく、家族が訪問しやすいのも魅力です。

3-2.ユニット型特別養護老人ホームのデメリット

病院における「個室」が高いことからもわかるように、このような少人数制というのは、従来型に比べて、多くの場合は割高になります。個室を確保するための土地や、個室の光熱費、設備の維持費などを考えると、これは想像がつきやすいでしょう。

「入居者やスタッフとの交流が密になること」をメリットとしてあげました。しかしこれは裏を返せば、デメリットにもなり得ます。スタッフの場合はまだ「仕事」だからいいのですが、入居者同士でトラブルが起きた場合、非常に気まずくなってしまいます。そして、「密に関わる」ということは、このようなトラブルを引き起こすリスクをあげることになる、というのは、想像に難くありません。

人間は、それほど付き合いのない人間の行動は気になりませんが、身近にいる人に対しては、欠点も長所も目につきやすくなるからです。このようなトラブルがもとで、せっかく入ったユニット型特別養護老人ホームを退去することになった……ということであれば、次の施設を探すことにも、時間とお金がかかってしまいます。

4.ユニット型特別養護老人ホームの料金

ユニット型特別養護老人ホームの料金は、介護の状態にもよりますが、12万円~14万円程度です。従来型の個室の場合は10万円前後、4人部屋の場合は7万円~9万円ほどです。

施設にもよりますが、その差額は、毎月3万円~5万円程度です。1年間で36万円~60万円の違いです。

5.まとめ

ユニット型特別養護老人ホームについて見てきました。

従来の形とは違い、一人ひとりにあわせたケアが期待できるという意味で、ユニット型特別養護老人ホームは魅力的なものです。密接な人間関係を結べることから、ストレスの軽減も可能です。しかし同時に、料金や人間関係の面ではデメリットもあるのが事実です。

その特徴とメリット・デメリットを踏まえ、「どの形が望ましいか」と考えていくことが、何よりも大切でしょう。

住宅型有料老人ホームとは?メリットとデメリット

住宅型有料老人ホーム

老人ホームにはさまざまな種類があります。その種類と特徴を知ることは、老人ホーム選びに欠かせません。

1.住宅型有料老人ホームの概要

住宅型有料老人ホームとは、その名前の通り、有料の老人ホームです。民間の企業が運営しており、比較的健康状態のよい人が入所できます。最大の特長は、「住宅型有料老人ホームの場合、介護スタッフは常駐していない」ということです。このため、介護が必要な際には、外部の介護サービスに依頼し、介護してもらうことになります。

2.住宅型有料老人ホームの費用

住宅型有料老人ホームに入居する場合にかかる費用について見ていきます。

2-1.初期費用

「民間の企業が運営している」というところからイメージすることができるかと思いますが、住宅型有料老人ホームは、基本的にはかなり高額であり、初期費用も発生します。初期費用は数十万円~数千万円とかなり幅が広く、施設ごとによって大きく異なります。

しかしながら、この「初期費用」は、入所後すぐに退所した、という場合などだと、未償却分として返還されることも多いようです。

2-2.月額費用

これも施設や状態によって変わるでしょう。ただ、それほど安くはなく、15万円以上はかかる、と考えておいた方がよいでしょう。

3.住宅型有料老人ホームの入所基準

住宅型有料老人ホームの入所基準は、「介護度が進んでいない」というところにあります。要支援~軽度の介護状態までが入所条件とされています。介護を受ける側としても、介護は外部に依頼することになるため、住宅型有料老人ホームに住み続けたまま介護を受けようとすると、費用が非常にかかる、という問題が起きます。このため、このような条件というのは、入所する側、される側ともに意味のあるものだと言えるでしょう。

4.住宅型有料老人ホームのサービス内容

上でも紹介しましたが、住宅型有料老人ホームの場合、介護スタッフが常にいるわけではありません。そのため「日常的な介護」「医療ケア(点滴など)」を期待することは、原則としてできません。ただし、医療ケアに関しては、取り扱っている施設もあります。

リハビリに関しては、すべての施設が完備しているわけではありません。基本的には、リハビリを受けるときというのは、介護と同じように、外部のサービスに依頼することになります。しかしながら、これも医療ケアと同じで、施設によっては対応していることもあります。

住宅型有料老人ホームでできるのは、主に、「生活全般のサポート」です。食事の世話や、洗濯などの身の周りのことがサービス内容として盛り込まれています。「見守り」もその対象のうちの一つです。

5.住宅型有料老人ホームのメリット・デメリット

住宅型有料老人ホームには、良い点もあれば悪い点もあります。メリットとデメリットを見ていきましょう。

5-1.メリット

後で詳しく触れますが、住宅型有料老人ホームの場合、レクリエーションのための設備が整えられていることが多いです。また、介護付きの有料老人ホームに比べるとお買い得です。介護が必要になっても、外部に依頼する、という形で、ある程度までは対処できます。

5-2.デメリット

しかし反面、この「ある程度」をすぎ、介護状態が進むと、入所を継続できなくなることもあります。また、民間施設であるからか、費用もかなり高く、お金に余裕がないと少し厳しいでしょう。

6.住宅型有料老人ホームの設備

住宅型有料老人ホームの場合、施設によって、ジムがあったりカラオケがあったりと、レクリエーションのための設備が用意されていることが多いです。そのため、入所者は、入所後に新しい趣味を見つけたり、今までの趣味を続けたりすることが可能です。これらは「どの住宅型有料老人ホームにするか?」ということを判断する判断基準ともなりますから、見学などに訪れたときにチェックするとよいでしょう。金銭面の確認も忘れずに。

7.住宅型有料老人ホームに入所するには?

ここからは、「住宅型有料老人ホームに入所するときのポイントや流れ」についてみていきましょう。

7-1.選ぶときのチェックポイント

上でも挙げたように、「設備の充実」は住宅型有料老人ホーム選びのポイントの一つです。雰囲気なども確かめられるため、一度と言わず、二度三度と見学しておきたいものです。
それ以外にも、「外部への介護以来はスムーズに行えるか」などもチェックしておきましょう。どこまで対応可能か、という点も忘れずに見ておきたいものです。

7-2.手続きの流れについて

入所の流れは、細かく見ていけば、施設ごとに違いがあることでしょう。ただ、全体的な流れとしては、

  1. 入所申込書の作成~提出・電話での相談
  2. 面談
  3. 見学
  4. 書類提出
  5. 決定

というものになるでしょう。事前にこの点も確認しておきましょう。

8.その他の介護施設との違い

ここまでは住宅型有料老人ホームの特長についてみていきましたが、混同しやすいサービスとの差異も確認しておきましょう。

8-1.介護付き有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームと混同しやすいものが、介護付き有料老人ホームです。ただしこの2つには、明確な違いがあります。住宅型有料老人ホームは基本的には介護は外部に依頼するものであるのに対し、こちらは施設内で介護が行えます。費用は住宅型有料老人ホームに比べて高いのですが、「介護度が進んでも住み続けられる」というメリットがあります。

8-2.サービス付き高齢者向け住宅

「サービス」という面から考えれば、サービス付き高齢者向け住宅も住宅型有料老人ホームもほとんど同じです。その違いは「広さ」にあります。

サービス付き高齢者向け住宅は「25㎡以上」という規定があるのに対し(条件によっては18㎡以上となる)、住宅型有料老人ホームの場合は「13㎡以上であればよい」となっています。施設にもよりますが、基本的には、住宅型有料老人ホームの方が、居住スペースは狭い、と考える方が自然です。

9.まとめ

住宅型有料老人ホームは、要支援~介護状態が軽い人向けの施設です。ただし、外部に介護サービスを頼むことができます。費用はかかりますが、入所難易度もそれほど高くありません。

介護付きの老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅と混同されやすいのですが、両者との差異を理解して、望ましいものを選びましょう。

参考:
http://kaigo.homes.co.jp/manual/facilities_comment/jutaku/
http://www.homemate-s.com/useful/grounding/yuryo_rh_02/
http://en-count.com/archives/yuryo7

グループホームとはどんな施設なのか?8つのポイントから解説

グループホーム

グループホームについて見ていきます。

認知症高齢者グループホームは、認知症の人の増加にともない、施設数を増やしています。

しかし、「グループホーム」と聞いても具体的なイメージがわかない方も少ないないのではないでしょうか?

そこで、グループホームについて、

  • グループホームとは?(概要)
  • サービス
  • 設備
  • メリット・デメリット
  • 選び方
  • 費用
  • 入所条件・利用対象者
  • 入所手続き

といった8つの内容にわけて解説していきます。

認知症の人のご家族など、グループホームに興味をお持ちの方はご参考いただければと思います。

1.グループホームとは?

グループホームの共同生活

  • 認知症の人のための共同住宅
  • 1ユニット9人までの「ユニット制」
  • 認知症の進行をゆるやかにする
  • 認知症の人の家族の負担軽減

グループホームとは、認知症の高齢者の方が共同生活を送るための介護施設です。

認知症の人だけではなく、介護を行うためのスタッフも一緒に生活を送ります。

入居者は少人数(5~9人)単位のユニットでの生活が基本となっていて、現在では最大2ユニット(18名)までの施設しか認められていません。

この人数には介護スタッフも含まれます。

認知症の人たちにも自分でできることは自分でやるようにしてもらい、認知症の進行を少しでも遅らせることが目的となっています。

また、専門スタッフが常駐しているため、家族が安心して預けることができ、家族の介護負担を軽減してくれます。

認知症対応型共同生活介護、認知症高齢者グループホームとも呼ばれます。

2.グループホームのサービス内容

グループホームのサービス

グループホームでは以下のようなサービスがあります。

  • 基本的介護サービス
  • 生活(食事・掃除・洗濯など)支援サポート
  • 機能訓練(リハビリ・レクリエーションなど)
  • 緊急時の対応

認知症に理解のある専門のスタッフと共同生活を送りますが、できるかぎり自分たちのことは自分でやれるようにするため、スタッフはそのサポートをすることがメインとなります。

また、グループホームでは医療行為は原則として行いません。

そのため、常に見守りを必要とする重度の認知症の人は受け入れしないことも多いです。※施設によります

2-1.グループホームでの一日の流れ

各施設によっても異なりますが、以下にグループホームでの一日の流れの一例を紹介します。

■朝

  • 起床
  • 健康チェック
  • 朝食(準備~片付け)
  • 散歩

■昼

  • 昼食(準備~片付け)
  • レクリエーション
  • 昼寝
  • 入浴
  • おやつ
  • 健康チェック

■夜

  • 夕食(準備~片付け)
  • 趣味
  • 共同生活者との団らん
  • 就寝(午後9時頃)

3.グループホームの設備

グループホームのレクリエーション

グループホームの基本的な設備は以下の通りです。

  • 居室(個室・準個室)
  • 食堂(キッチン・ダイニングルーム)
  • リビング
  • トイレ
  • 浴室
  • リハビリ・レクリエーションルーム
  • 健康チェックルーム
  • 洗濯室

自室となる居室を除くと、基本的な設備は共同になっています。

居室内にトイレやキッチンがないグループホームが多いです。

4.グループホームのメリット・デメリット

グループホームのメリット

グループホームを利用する上での、入居するにあたってのメリットとデメリットについて見ていきます。

4-1.グループホームのメリット

  • 認知症の専門スタッフが常駐
  • 認知症のためのレクリエーションやリハビリが充実
  • 少人数のためお互いのことがわかる・覚えておける(家族も)

グループホームは専門スタッフが常駐しているため、認知症の人にとっては安心して過ごせる介護施設です。

特に、認知症の進行を遅らせるために、日々リハビリやレクリエーションが行われます。

また、1ユニット最大9人という少人数での共同生活のため、基本的に顔見知りの人たちとやりとりができます。

4-2.グループホームのデメリット

  • 費用(利用料)が他施設に比べやや高め
  • 医療行為には対応していない
  • 重度の認知症の場合、入居できない(退去を求められることがある)
  • 入居条件がやや厳しめ

月額費用は概ね15~30万円がかかり、他の介護施設と比較しても決して安いとはいえません。

また、認知症の人を対象とした施設ではありますが、医療行為には対応していないため、重度の認知症の場合はそもそも入居ができません。

入居後に症状が進行した場合も、退去を求められることがあります。

5.グループホームの選び方

グループホームの選び方

グループホームを選ぶ際のポイントは以下の通りです。

  • 必ず見学に行く
  • 清潔さ(ゴミの有無・ニオイなど)を確認
  • スタッフの対応を確認
  • 料金の内訳を確認
  • 入居状況を確認

それぞれについてどのようにチェックしていくかを解説していきます。

5-1.必ず見学に行く

広告やインターネット情報だけで入居を決めてしまうと、入居後にトラブルになるケースが非常に多くなります。

5-2.清潔さ(ゴミの有無・ニオイなど)を確認

見学に行った際に、

  • 床にゴミが落ちていないか
  • 嫌なニオイがしないか
  • 施設内の植物が手入れされているか

などをチェックしましょう。

清潔さが保たれていない施設は、入居者への対応も蹴っ知ってい良いとはいえません。

5-3.スタッフの対応を確認

  • 入居者にどのように接しているか
  • 見学者(自分)にどのように接しているか

両方の観点で、気持ちよく過ごせそうかどうかをチェックしましょう。

5-4.料金の内訳を確認

聞きづらいことかもしれませんが、

  • 月にいくらかかるのか
  • 施設費に含まれるものと含まれないもの

をしっかり確認するようにしましょう。

確認しておかないと、実際の入居後に考えていたよりも費用がかかってしまうということがあります。

5-5.入居状況を確認

空きが多い場合、入居のチャンスではありますが、その施設が「人気がない」ということもいえます。

同じ地域内で入居状況に差がある場合は、「待機者がいる・多い」方が無難であるかもしれません。

入居を急いでいないのであれば、人気のグループホームを選びましょう。

6.グループホームの費用

グループホームの費用

グループホームでは、入居の際の初期費用と、毎月の月額費用がかかります。

関連記事:グループホームにかかる費用はどのくらい?

6-1.グループホームの初期費用

入居時にかかる初期費用は「入居一時金」とも呼ばれます。

まったく初期費用がかからないグループホームもあれば、数百万円がかかるところもあります。

初期費用が高めに設定されている場合、その分、月額費用が低めに設定されているケースがあります。

6-2.グループホームの月額費用

毎月かかる費用です。

平均すると15~30万円の範囲内の施設が多いようです。

7.グループホームの入居条件・利用対象者

グループホームの利用対象者

グループホームに入居するためには、以下の条件を満たしていることが条件となります。

  • 65歳以上
  • 要支援2または要介護1以上
  • 認知症
  • ある程度の自立ができ、共同生活に支障がない
  • グループホームと同じ市区町村に住民登録している
  • 収入や資産などが少ないほど優遇されやすい

施設によっては、この他に条件を課していたり、逆に条件をゆるくしているところもありますので、まずはお住まいの自治体や各グループホームに問い合わせされることをおすすめします。

8.グループホームへの入所手続き

グループホームの手続き

各グループホームに直接入所の申し込みをします。

申込書を提出の後、グループホームスタッフの面談を行います。

グループホームによって必要書類は異なりますが、

  • 住民票
  • 健康診断書
  • 所得証明書
  • 診断書

などの提出を求められます。

9.グループホームは地域密着型サービス

地域密着型

グループホームは地域密着型サービスのうちの一つです。

「そこに住む人が、快適で安全で健康にすごせるように」ということを目的としたサービスです。

「転居」というのは、年の若い人であっても大変な負担を感じることですが、認知症などを患った人が引っ越す場合というのは、特に大変です。

このような負担を軽減することも目的として、「自宅や、その周りの生活圏内で介護を行って行こう」という考えのもとで提供されています。

家族もお見舞いなどがしやすく、「生活の場」が大きく変動しないというメリットがあります。

10.まとめ

グループホームについて見てきました。

グループホームの8つのポイント
●グループホームとは?(概要)
●サービス
●設備
●メリット・デメリット
●選び方
●費用
●入所条件・利用対象者
●入所手続き

増加が続く認知症への対策という目的も持ったグループホームは、認知症の人への対応が優れている介護施設です。

その反面、入居条件がやや厳しめであり、月額費用も安いとはいえない施設です。

メリット・デメリットをよく把握し、他の介護施設と比較の上、入居を検討すると良いでしょう。

介護認定基準とは?要介護認定されるまでの4つのステップ

介護認定基準

介護認定基準について見ていきます。

要介護認定の基準はどんなものなのかについて要介護認定されるまでのフローとともに解説していきます。

1.要介護認定基準とは?その概要について

介護保険制度により、要介護状態になった場合は介護サービスを受けることができます。要介護状態とは、認知症や寝たきりなど、介護が常時必要となる状態を言います。介護サービスを受けるためには、要介護認定を受ける必要があり、認定を受けるためには、市町村に設置されている介護認定審査会の判断が必要となります。要介護認定は、介護サービスの給付額を決めることになるため、全国で一律の基準が設けられています。

これが要介護認定基準です 。

1-1.要介護認定基準の目的は?

日本は高齢化社会と言われ、介護に対する需要が増えています。介護を必要とする高齢者を社会全体で支えあう目的で創設されたのが、介護保険制度です。要介護認定基準は、高齢者がどの程度の介護を必要としているのかを判定するために定められました。介護サービスの提供及び給付額に直結するため、客観的かつ公平な判断が行われます。

1-2.要介護認定基準の「基準」はどんなもの?

要介護認定の基準は介護サービスの必要度について、客観的かつ公平な判断を行うため、一次判定と二次判定の二段階に分かれています。一次判定はコンピュータを使って行われます。二次判定は一次判定の結果を用いて学識経験者が行います。

1-2-1.認定基準は7段階(要支援1~要介護5)

要介護認定基準は7段階に分かれています。軽度なものから順に、要支援1、要支援2、要介護1、要介護2、要介護3、要介護4、要介護5というように重度なものになっていきます。要支援とは、介護サービスを利用することによって、心身の状態が回復に向かう可能性が高いと思われる方が分類されます。

1-2-2.要介護認定等基準時間

要介護認定では「要介護認定等基準時間」というものを用いて、介護の手間を算出します。要介護認定等基準時間の分類には以下のものがあります。

要支援1 要介護認定等基準時間が25分以上32分未満又はこれに相当すると認められる状態
要支援2
要介護1
要介護認定等基準時間が32分以上50分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護2 要介護認定等基準時間が50分以上70分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護3 要介護認定等基準時間が70分以上90分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護4 要介護認定等基準時間が90分以上110分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護5 要介護認定等基準時間が110分以上又はこれに相当すると認められる状態

参考:http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/gaiyo2.html

上記の要介護認定等基準時間から要介護度を判定していきます。

○ 要介護認定の一次判定は、要介護認定等基準時間に基づいて行いますが、これは1分間タイムスタディという特別な方法による時間であり、実際に家庭で行われる介護時間とは異なります。

○ この要介護認定等基準時間は、あくまでも介護の必要性を量る「ものさし」であり、直接、訪問介護・訪問看護等の在宅で受けられる介護サービスの合計時間と連動するわけではありません。

1-2-3.要介護認定等基準時間の分類

要介護認定基準には7段階あります。この要介護状態区分は、要介護認定等基準時間によって算出されています。

1-2-4.要介護状態の状態像

要介護認定基準には7段階ありますが、それぞれ要介護状態の状態像が定められています。必ずしも当てはまるとは限りませんが、下記の項目に当てはまる場合は、その要介護認定基準と判断される可能性があります。

要介護状態区分別の状態像(高い割合で低下が見られる日常生活能力)

要支援1 要支援2
要介護1
要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
●立ち上がり
●起き上がり ●片足での立位 ●買い物
●歩行 ●洗身 ●つめ切り ●薬の内服 ●金銭の管理 ●簡単な調理
●排尿 ●排便 ●口腔清潔 ●上衣の着脱 ●ズボン等の着脱
●寝返り ●両足での立位 ●移乗 ●移動 ●洗顔 ●整髪
●座位保持 ●食事摂取 ●外出頻度

参考:WAM NET「要介護状態区分別の状態像」

1-3.要介護認定を受けるにはどうすればいい?

要介護認定を受けるためには、お住まいの市町村に申請し、審査を受けなければなりません。主治医の意見書が必要であったり、心身の状態に関する調査が必要であったりするため、申請を考えている方は、申請の方法や流れについて知っておきましょう。

2.要介護認定の流れ

要介護認定を受けるまでの流れを説明します。

まずは、お住まいの市町村に申請書を提出する必要があります。申請書を提出したあとは、市町村から依頼された専門家が心身の状況について聞き取り調査を行います。調査が終わると、介護認定審査会でまずはコンピュータによる一次判定、その結果を元にした学識経験者による二次判定が行われます。審査が終わると、申請してから30日以内に市町村から結果の通知が来ます。

2-1.申請

要介護認定には、まず申請が必要です。

まずお住まいの市町村の窓口へ相談に行くとよいでしょう。わからないところは市町村の職員の方に聞きながら、必要な書類を揃えます。申請書の提出は本人はもちろん、ご家族の方の申請も可能です。また、住宅介護支援事業者(ケアプラン作成事業者)や介護保険施設、地域包括支援センター、成年後見人など、本人からの申請が難しい場合は、他の方からの申請も受け付けています。

2-2.認定調査

申請が受け付けられると、市町村により介護が必要な状態かどうか、調査が行われます。

調査の際は、市町村の職員や、委託された介護支援専門員(ケアマネジャー)が家庭や施設などに直接訪問します。全国共通の調査項目にそって、日頃の心身状態などの聞き取り調査が行われます。調査票の内容を元に、コンピュータによって判定が行われます。これが一次判定です 。

一次判定の結果を受け、介護認定審査会で二次判定が行われます。

2-3.介護認定審査会での審査・判定(二次判定)

介護認定審査会による二次判定では、どのくらいの介護が必要かを審査します。

介護認定審査会は、保険や福祉、医療に関する学識経験者5~6人で構成されています。コンピュータによる判定(一次判定)の結果や、主治医の意見などに基づき、介護認定審査会での二次判定が行われます。支援や介護が必要な状態かどうか、介護を必要とする度合いつまり、要介護度が定められます。

2-4.自治体(市区町村)による認定

審査が終わると、申請から30日以内に市町村から認定結果の通知が来ます。

7段階の何れかの要介護認定または非該当の結果になります。認定の有効期限は新規の場合、原則6ヶ月です。変更申請の場合も原則6ヶ月、更新申請の場合は原則12ヶ月と定められています。有効期限を経過すると介護サービスを利用できなくなるので、継続して介護サービスを利用する方は更新申請が必要です。

2-5.認定基準を変更する際には?

要介護認定の認定基準を変更する際には、変更申請が必要になります。

また、審査の結果、申請が却下され同様の要介護度になることや、希望に反する結果となることもあるので、注意が必要です。要介護度が変わると受ける介護サービスの費用や、利用できるサービスの種類や回数なども変わります。ケアマネジャーなど介護サービスに関する担当者とよく相談しておくことが必要です。

3.要介護認定基準と介護保険

要介護認定を受けると、介護サービスを1割の自己負担で利用することができます。

要介護度により、介護保険で受けられるサービスが変わってきます。判定された要介護度では、どのようなサービスを受けることができるのか、どのような事業所を選ぶかなど、ケアプランの作成を行い、それに基づいたサービスの利用が開始されます。

利用できる介護サービスの支給限度額は要介護度別に決められており、限度額内での利用時は1割の自己負担、限度額を超えた利用は超えた分すべてを自己負担しなければなりません。

3-1.要介護認定の基準の違いによる保険給付額の違い

要介護認定の基準によって、保険給付額の違いがあります。

1カ月あたりの保険給付限度額は下記のとおりです。

在宅サービスにおける区分別支給限度基準額
(2015年8月時点)

区分 支給限度基準額(月額/1割負担の場合)
要支援1 500,30円(利用者負担5,003円)
要支援2 104,730円(利用者負担10,473円)
要介護1 166,920円(利用者負担16,692円)
要介護2 196,160円(利用者負担19,616円)
要介護3 269,310円(利用者負担26,913円)
要介護4 308,060円(利用者負担30,806円)
要介護5 360,650円(利用者負担36,065円)

参考:厚生労働省「区分支給限度基準額について」

要介護が高ければ高いほど、支給限度額も高くなります。

3-2.民間の介護保険はどのような保障がある?

近年、民間の介護保険が注目を集めています。

要介護認定を受けることができれば、公的な介護サービスを受けることができますが、少子高齢化社会の日本では、要介護状態と認定される方が増加しています。そんな中、保険会社が介護保険に力を入れています。

民間の介護保険では、保険会社の定める心身状態となった時に、給付金が支払われるシステムです。給付金には主に3種類あり、一時金タイプ、年金タイプ、一時金と年金の併用タイプとなっています。

保険会社によって給付金の支払要件に違いがあるので、注意が必要です。保険会社が独自に基準を設けているところもあるので、保険加入前には、どのような時にどのような保障が受けられるかを確認しておくことが大切です。

3-2-1.公的介護保険と民間の介護保険の違い

公的介護保険と民間介護保険にはいくつかの違いがあります。

まず、加入についてです。公的介護保険は40歳になったら自動的に加入することになり、保険料を必ず支払わなければなりません。

民間介護保険は、公的制度と違い、商品次第で20代からでも加入することができます。保険料や加入するプランなどを選ぶことができ、自分のライフスタイルや人生設計に合った保険を選ぶことができます。

どんな時に保障を受けることができるのか、という点にも違いがあります。公的介護保険を利用するには、市町村への申請が必要となり、要介護認定を受けなければなりません。

また、判定された要介護度によって受けられるサービスや給付額も変わってきます。民間介護保険は、公的介護保険の要介護度を参考にする場合と、保険会社が独自に定めている場合に分かれます。民間の場合、どのような状態の時にどのような保障があるのかは、保険会社やプランによって違うので、確認が必要です。

保障についても大きく異なります。公的介護保険は自己負担1割の保障になります。民間介護保険は現金が支給される場合が多いです。

まとまった金額を受け取れる一時金保障、定期的に現金を受け取れる年金保障、といったように、現金を受け取ることができるのが特徴です。

3-2-2.民間介護保険のメリット

民間介護保険の最大のメリットは、要件を満たした時、現金を支給してくれるというところにあります。

将来、介護が必要になったときのことを考えている方は、早めに民間の介護保険に入っておくというもの1つの方法です。20代からでも加入できる保険もありますし、早くから加入しておくことで、保障も手厚くなります。やはり、現金支給が第一だと考える方は、民間介護保険を検討する価値があるでしょう。

4.まとめ

介護認定基準について見てきました。

要介護認定を受けることにより、公的な保障を受けることができます。

申請や審査などが必要になりますが、要介護認定を受けることができれば、介護サービスを利用したり、自己負担額が1割になったりと、介護にかかる手間や費用を軽減することができます。また、近年では保険会社が民間介護保険に力を入れており、20代から加入できる介護保険も登場しています。

現在介護でお悩み中の方も、将来の介護についてお考えの方も、一度要介護認定や介護保険制度について見なおしてみてはいかがでしょうか。

介護タクシーとは?活用するための7のQ&A

介護タクシー

「介護タクシー」という言葉を聞いたことはないでしょうか?これは上手に使えば、大変便利なものです。今回はこの「介護タクシー」についてお話していきましょう。

1.介護タクシーとは?その概要

まずは「介護タクシーとはそもそもどのようなものか」ということを考えていきましょう。

1-1.介護タクシーの定義

「介護タクシー」という言葉は、実はかなりのあいまいさを含んだ言葉です。厚生労働省が、「いわゆる介護タクシーの実態調査の結果について」では、下記のものを「介護タクシー」として調査しています。

  1. 介護保険法に基づく指定を受けている指定訪問介護事業者
  2. 通院・外出介助に特化した基準該当訪問介護として市町村が認めている事業者

1-2.介護タクシーの運転手について

介護タクシーの運転手は、ほかのタクシーとはその基本が違います。乗り降りの際の手助けなどを必要とされることが多いため、一般的なタクシーの運転手がそのまま介護タクシーの運転手になる、ということは可能性としては低いと言えます。

多くの場合、介護タクシーの運転手となるのは、訪問看護員2級の資格を有するものです。これが全体の90%を超えています。それ以外には、1級の人員が5%程度、介護福祉士が3%程度、3級の人員が0.5%となっています。

1-3.業務の内容について

上でも挙げましたが、介護タクシーには、「乗り降りの際の手助け」というが入ってきます。これは「身体介護」のなかに含まれるものです。

「乗り降りの際の手助け」というのは、単純に「車から降りるときだけ手伝う」というものではありません。実際に家のなかに入り、健康状態のチェックを行い、着替えを手伝う、というところから始まります。この上で、タクシーにのせ、移動を手助けすることになるのです。場合によっては消灯や火の世話も必要となります。

「家を出られる状態になるまで介助をして」「タクシーに乗せて運び」「目的の施設についたらフォローをし」「場合によっては受け付けなどを手伝う」というところまでが、介護タクシーの業務である、と考えるとよいでしょう。

1-4.介護タクシーの位置づけ

このような観点から見ていくと、介護タクシーというのは、「タクシー」としての注目度よりも、「介護」ということに重きを置かれている、ということがわかるでしょう。あくまで、介護タクシーは、「訪問介護の一つ」なのです。

1-5.利用対象者

介護タクシーは、その性質上、「利用できる人」が限られています。それには5つの条件があります。

  • 支給限度額以内での使用である
  • 要介護1以上の状態である
  • 自宅で生活している
  • 契約をしている
  • 必要性がある

大事なのが「要介護1以上の状態である」ということです。見守りは必要だし、生活の基本能力は衰えているけれども、日常的に人の手を借りなければ生活を営むことが難しいわけではない、という「要支援」の場合は、介護タクシーを利用することはできません。また、「必要性がある」というところからもわかる通り、自分自身でバスなどの公共の交通機関を利用できる、という場合も対象外となります。

1-6.料金体制と介護保険

介護タクシーの料金形態に関しては、少し難しい問題があります。「移送方法」として考えた時に割引は発生するのか?介護のときにかかる料金についてはどうなるのか?など、その規定はそれほど明確ではなく、事業者によって異なるのが普通です。介護保険を利用する場合、1割が利用者の負担となりますが、事前に確認する方がよいでしょう。

2.活用するための7のQ&A

ここらは、より実践的に、「活用する際に出てくるであろう疑問」に答えていくことにしましょう。

Q1.車両の種類は?

A.車いすやベッド(ストレッチャー)を備え付けた「福祉車両」と呼ばれるものと、セダンやワゴンといった一般車両の2つに分けられています。「介護タクシー」という名称上、前者の福祉車両の方が多い、という印象を持つ人も多いでしょう。しかし実際には、後者の、福祉車両ではないものの方が圧倒的多数です。その比率は7:93程度であり、福祉車両はとても少ないと言えます。

Q2.利用可能時間は?

A.介護タクシーは「施設などに向かうための車両」です。そのため、その稼働時間も、基本的には、病院や施設が開いている時間、ということになります。ただし、やむを得ない事情のときなどは、夜に利用することも不可能ではないようです。

Q3.緊急時は利用可能か?

A.基本的には、介護タクシーは完全予約制です。このため、緊急時に利用できる、という考え方は捨てた方がよいでしょう。深夜帯などもそれにあたります。介護タクシーを運転する人員などを考えれば、介護タクシーと緊急時のコールは相性が悪いものだ、ということがわかると思います。突発的な事故の場合は、救急車などを利用するようにしましょう。

Q4.法定代理受領サービスとは?

A.介護タクシーの支払い方法には「法定代理受領サービス」というものもあります。これは、事業者側が、使った利用実績をケアマネージャーに報告して、ケアマネージャーがそれを確認し、国保連合会に請求をかけます。これによって、事業者は、介護報酬を受け取ることができる、というものです。

Q5.介護タクシーに家族の同乗は可能か?

A.「おじいちゃんが心配だから、私も一緒に乗っていきたい」と考えるご家族もおられるでしょう。しかし、原則としてこれはできません。というのも、介護タクシーというのは、「介護の必要性がある人」が乗るものであるため、「介護ができる家族がいるのなら、その人の手を借りて、公共の交通機関などを利用することができるだろう」と判じられるからです。このため、「介護者」がいる介護タクシーは利用できません。

ただし、介護できない家族の場合、特段の事情(医師から説明を聞くなど)があれば認められるケースもあります。

Q6.介護タクシー乗務員はどこまで通院のための介助をしてくれるのか

A.基本的には、介護タクシーも「タクシー」ですから、乗り降りまでの補助までとなるでしょう。しかし場合によっては、受付などの手助けをすることもあるようです。これも事業所によって違いがあります。

Q7.通院先としっかり連携がとれているか?

A.介護タクシーと通院先の連携がとれているかどうか、というのは、やはり事業所によって違いがあると言えるでしょう。病院のスタッフや、担当のケアマネージャーに相談してみるのもよいかもしれません。

3.まとめ

「介護タクシー」という言葉は、かなりあいまいな語句であり、事業所によってプランにばらつきがあるという問題があります。しかし、介護と移動をプロにお願いできる、ということは、大きなメリットです。ケアマネージャーや病院と連携し、上手に選んでいきたいものですね。